中央国家「カトラス」 ③
ジンと部屋を出た。
すると、シズクが部屋の外で待っていた。
ずっとそこにいたのだろう。
ジンはシズクに何か話すと、次の部屋へ先導するために先に歩きはじめる。
その後ろにロイ、僕、アザレアとマツリの順でついていく。
一番後方にはシズクがついて来る形となった。
ガゼットの部屋を出て廊下を曲がったところでマツリが大きくため息をつく。
「緊張した~。疲れちゃった」
「そうだね。僕も疲れたよ」
「そうなんですか!?良かったー、私だけ緊張しているのかと思っていました」
そんなわけないだろう。
ガゼットがいる空間自体に重い空気が流れていて、かなり疲れた。
何をしゃべっていたのかあんまり覚えていない。
それぐらい自分にとっては辛かったということだろう。
ただ、ロイとアザレアはいつも通りの顔ですたすたと歩いている。
この二人にとっては、これぐらい朝飯前ってことなのかもしれない……
勇者と魔王としては、よくあるシチュエーションってことか。
確かにそういう会議に出ているイメージはある。
完全に偏見ではあるが。
すると、アザレアが僕の横にスッと来て、僕にしか聞こえない声で話しかけてくる。
「どうだった?疲れた??」
「そりゃ疲れるよ……アザレアは?」
「まったく。よくあることよ」
「……こんなことが毎日あったら、僕は死んじゃう」
アザレアはクスクスと笑う。
冗談のつもりはなかったのだが。
「で、ガゼットのことはどう思ったのかしら?」
「どうって言われても……まぁ、話の筋は通っているとは思ったけど」
「……マスターはこんなこと言っているけど、ロイはどう思う?」
アザレアは前を歩くロイに話しかける。
ロイはこちらを見ずに、前を向きながらも僕たちにしか聞こえないような小さな声で話す。
「マスターはお人よしってことだな」
「やっぱり私と一緒の答えか、そりゃそうだよねー」
「僕がお人よし?どうして??」
ガゼットと話した内容を思い出してみるが、そこまでおかしいとは感じなかった。
というか、どうしてお人よしなんだ?
「ガゼットが嘘でもついていて、それを僕が信用しちゃってるってこと?」
「いや、そういうことじゃない」
ロイは答える。
そして振り向いて僕の方を見てボソッと言った。
「あの野郎は、本当のことを言ってないってことだよ」
その一言を言ったのち、すぐに前を見る。
ジンのことを警戒してのことだろう。
本当のことを言っていない?
どういうことだ??
意味が分からないものの、アザレアは頷いている。
ということは、アザレアも同じ意見ってことか。
アザレアは僕が困惑していることが見て分かったのか、話しかけてくれる。
「マスター、そこまで悩む話じゃないの。私もガゼットが何を隠しているのかまではわかっていない。ただ、何かを隠してそうだと思っていることが重要なのよ」
そう言うとアザレアも僕の方からスッと離れ、歩く。
僕は理解しきれないが……まぁ、用心しとけってことだろう。
すると、ジンはとある部屋の前でピタッと止まり、僕たちの方を向いた。
「皆様、どうぞこの部屋へ」
そう言うと、部屋を開けて案内してくれる。
僕たち四人とシズクは、促されるままに部屋の中に入った。
部屋の中央に大きな机が置いてあり、そこに地図のようなものが置かれている。
自然とその地図を囲うようにみんなが立った。
全員いることを確認してから、ジンは話し始める。




