戦争を止めろ! ③
「おぉ!魔族が帰っていく。壮観だな」
ロイは座りながらのんびりと話す。
その横にマツリも座って一緒に話し始める。
僕もその横で立ちながら話に入る。
「今回、ロイさんとアザレアさんのおかげで人間と魔族の戦争を止めることができましたね」
「まぁな。今回はあのメイドのおかげだな」
「いや、ロイさんもちゃんと仕事していたじゃないですか」
「いや、俺は元仲間だった奴をケガしないように気絶させただけさ」
そう言いながらロイは気絶しているシズクの方を見る。
まだ、シズクはのびている。
「まぁ、この戦争を止められて本当に良かった」
「そうですね!これであのおじいちゃんとの約束も守れました」
「あのおじいちゃん?露店街の??」
ロイはマツリの言っていることがわからないようだ。
僕はロイに自身がいなくなった後の話をしてあげる。
「そんなことが。俺なんてマスターに止められて、前の町でマツリちゃんを見たから少しずつ魔族のことを理解しようと努力しているぐらいなのに……人間の中にもちゃんとしたやつが残っていて嬉しいよ」
マツリはロイの発言を聞いて少し悲しそうな顔をする。
「ロイさん……ロイさんは私を助けてくれたんです。過去のロイさんは魔族が嫌いだったかもしれませんけど、今のロイさんは私にも優しいですし。ロイさんも人間の中でもちゃんとしていますよ」
「そう言ってくれてありがとう。ちょっと気が楽になるわ」
ロイはマツリの頭を撫でる。
恐らくロイは……今まで自分が魔族にしてきた事もあるから、そう簡単に自分のことを許せないのだろう。
ただ、マツリの言っていることもわからなくはない。
過去のロイなんてどうでもよくて、今のロイが重要だということをいっている気がした。
そうこうしている間に、メイド服に着替えなおしたアザレアが帰って来た。
「どうよ、私の戦略と演技。どうだった?」
アザレアはどや顔で帰ってくる。
「アザレアらしさが出ていた。というか、魔王だって再確認したわ」
「アザレアさんのカッコよさしびれました!!」
「メイドにしては頑張ったよ。まぁ……今回はありがと」
「でしょ!!!」
アザレアとマツリはハイタッチをしている。
僕もその流れでアザレアとハイタッチをする。
ロイは少し嫌そうに手を出してハイタッチをした。
みんなとハイタッチができてうれしいのか、アザレアはニコニコしている。
和気あいあいとしていたところ、人間の軍の偉そうな人が近寄って話しかけてくる。
「少し聞きたいのだが……長老から手紙を預かったのはどなたかな?」
「長老……あのおじいちゃんですかね。それなら僕です」
僕は名乗りでる。
何かダメなことでもしたのだろうかと心配になる。
すると、偉そうな人は片膝をつき頭を下げる。
「我が町を助けていただき、感謝申し上げる」
急な態度に僕は意味が分からない。
そしてそのままその人は話をしてくれる。
「我が軍は魔族の侵略を防ぐのと、壊された町の防御魔法の立て直しの両方をしなくてはならず、かなり苦戦を強いられていた。その時、急に町に防御魔法が展開され、少し軍が混乱したのだが、長老の手紙にすべてが書いてあった」
軍のお偉いさんは手紙を僕の方に渡してくれる。
その手紙をみんなで見てみる。
・・・・・・
軍隊長へ
恐らく、町の魔法防御について色々心配しておるだろうから、先に伝えておく。
この手紙を渡した方たちがすべて解決してくれた。
全く気にしなくてええ。
なので、さっさと魔族を止めてくれ
そして、軍隊長であれば会うだけでわかると思うが……
その手紙のメンバーの中に魔族がいる。
ただ、その方たちは我らを守ってくれた。
その方たちは我らの恩人じゃ。
誠意をもって対応せい。
長老より
・・・・・・
長老がこんな手紙を書いていたとは。
かなり驚かされた。
僕たちは手紙から目の前にいる軍隊長に目を向ける。
「読んでくれたかな?長老からこの手紙が来たからこそ、ここまで軍を出すことができた。そして魔族の君たちもこの町を守ってくれて……ありがとう」
軍隊長は僕だけでなく、アザレアやマツリの方にも向いて頭を下げる。
「軍隊長さん。優しくしてくれたおじいちゃんを助けたいということしか頭になかっただけで……」
「私も。おじいちゃんがいなかったら、人間なんて助けていなかったわ」
マツリは人間からお礼を言われ慣れていないからか、恥ずかしいのを誤魔化すように話す。
アザレアは恐らく本音だろう。
その様子を見ていた軍隊長は大きく笑う。
「長老がそこまで好かれていたとは!いや、私としても嬉しい限りだ。どういう理由であっても、町を助けてくれたことには変わりない。せっかくだから祝勝会をするのだが、出てくれないか?」
その軍隊長の言葉に各人から返事が出る。
「パス。マジで疲れたから」
「俺も。のんびりしたい……あぁ、そこで寝てるやつ、ちゃんと軍でどうにかしてね。この戦争でかなり頑張ってたから」
「ロイさんとアザレアさんがいかないなら、私も結構です」
まぁそうだと思った。
決まりだな。
「軍隊長さん、申し出はありがたいのですが僕たちは不参加とさせてください」
「あぁ、わかった。ではまた会おう」
そう言うと、軍隊長はロイが指さした人を助けに行く。
その顔を見た瞬間かなり驚いた様子で、大声で軍医や人を集め始めた。
まぁいいか。僕たちはやることをやったし。
僕たちも今回のあったことについて色々話し合いながら水の都「カルム」に帰った。




