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戦争を止めろ! ②


あまりの轟音と雷に驚き、戦場にいる物は全て戦闘を止めてまで、音が鳴った方向を確認している。

もちろんマツリ、中央で戦っていた元勇者一行のシズクと四天王のリズも例外ではない。

ほんの一瞬、目が行く。


ただ僕は何かがあるだろうと思っていたためか、ずっとロイの方を見ていた。

するとロイは轟音と雷鳴がなった瞬間、まったく鳴った方を見ずにシズクの方に一直線に走っていった。


ドスッという音が少し聞こえ、シズクは倒れる。

そのシズクをその場に放置してすぐに僕たちの居るところに戻って、いつもの顔で横に立つ。

本当に一瞬の話だった。



「何をしているのかしら」



雷鳴の方から声がする。

アザレアは空から降りてくる。

うーん、ほんの数分前にも聞いていた声だ。

声色とかはちょっと違うけど。

その声にリズがビクッとした。


「ま……魔王様。こちらに来られていたのですね」


そう言いながら、リズは魔王としてきたアザレアの方にひざまずく。

アザレアは魔王城で見たドレスの格好をして、リズの前に立つ。

いや、その服装はどこで用意したんだ?


「リズよ。私が申しつけた『人間には攻めるでない』という言いつけは聞こえていなかったのかしら。それとも理解できなかったのかしら?」

「いえ……」


リズは下を向いたまま返事をする。


「では……今は何をしているのかしら?」

「いえ、魔王様のことを思って人間の町を滅ぼそうと思った次第であります」

「ほぉ……なるほど」

「で、今しがた、元勇者一行と戦っており……」


そう言って、先ほどまで戦っていたシズクの方を見る。

もちろん、さっきロイに気絶させられているから地面でのびている。

その光景を見て、リズは目を白黒させる。


そりゃ、直前まで戦っていた奴が気づいたら地面に倒れていたら誰でも驚くだろう。

リズも恐らく魔王が来たことに驚きすぎて、戦っていた男がのびていることに気づかなかったんだろうなぁ……

その様子を見ていたアザレアはすかさず話しかける。


「戦場で倒れているその男が元勇者一行だと?」

「はい……そのように聞きました」

「本当か?こんな戦場で寝ている者が本当に勇者一行である確証は?」

「……いえ、ございません」


リズはアザレアに頭を下げながら話す。

そして一つ思い出したのか、リズは顔をあげてアザレアの方に話しかける。


「魔王様、ただ町の防御魔法は先ほど破壊いたしました。今攻め込めば、必ずや人間の町を攻め落とせるかと」

「……リズよ。私を馬鹿にしているのかしら?」

「えっ?」


リズは人間の町の方を見る。

もちろん、アザレアが展開した防御魔法で守られている。

リズは青ざめる。


「いや……確かにこの目で見ました。防御魔法を破壊した瞬間を……」


リズは混乱している。

恐らく、リズは防御魔法を破壊して攻め込もうとしたタイミングでシズクと戦い始め、その戦闘が長引いている間に防御魔法をアザレアが治したことに気づけなかったのだろう。

リズの混乱している様子を見て、アザレアが声のトーンを数段下げて尋ねる。


「もう一度聞こう。リズよ。どの町の防御魔法を破壊したのか教えてくれるかしら」

「……いえ……私の気のせいでございます」


リズは消え行く声で答える。

ただ、これだけは絶対に間違えないことを話したかったのか、アザレアに話しかける。


「魔王様……今、この戦況は魔族の方が優位でございます。魔王様が加勢していただけるのであれば、間違いなくこの戦争は勝てるかと」


確かに、パッと見た限りの戦況だと魔族の方が、人数が多いから優位だと言える。

アザレアはどう答えるんだろうか。


アザレアはリズの方を見ずに遠くを見る。

そしてニコッと笑った気がした。


「リズよ。確かに、今この瞬間の戦況は魔族の方が優位だな」

「そうでございます。だからこそ……」

「ただお主……よく人間側の陣営を見てみろ」

「……?」


リズは人間側の陣営がある、森の方を見る。

何も見えない……が、足音がかなり多く聞こえる。


「……まさか!!!」


森の中からたくさんの人間の兵が現れる。

どう見ても、この戦況がひっくり返りそうなぐらい多い人数だ。


「さてリズよ。私はとても優しい。たとえ、私の言いつけを守らず、元勇者一行を倒したと言ったり、町の防御魔法を壊したと言われたり、戦況が優位だと言ったり……そしてその内容がたとえ何一つ達成されていないこの現状でも、何も怒ってはいない」


リズはアザレアの言葉を聞くうちに、がたがたと震えはじめた。

うん。僕でも怖くて震えるだろう。

だって、絶対怒っている人が言う言葉だし。


「ただ一つ、そなたに問おう。私のことを愚弄したいのか?」


アザレアはとても優しげな口調でリズに話しかける。

ただ、実際これが一番怖い。

明らかに怒っている人が怒るより、明らかに笑顔の人が怒っている方が何倍も怖かったりする。

リズは震えながら、アザレアに土下座をする。


「本当に申しわけございませんでした……私目の独断で侵略を開始したこと、何卒お許しを……」


リズは声を震わせながらアザレアに許しを求めている。

まぁ、リズが土下座をしてアザレアの方を向いていないことをいいことに、アザレアは僕の方を向いて、小さくウインクをしてくれた。

そして声だけ真面目に話しかける。


「リズよ。お前の私に対する気持ちはありがたい。ただ、勝てもしない戦で、むやみに同族を減らすことだけは、私が許さない。今すぐに撤退せよ」

「承知いたしました!!!」


そう言うと、リズは起き上がり魔王に一例したのち、全軍撤退の指示を出す。

アザレアは轟音と雷を鳴らしながら一瞬で消え去る。


なんか今まで少しだけど旅をしていたから、アザレアは賢いメイド的なイメージになっていたが、今目の前で本当に魔王だったんだという実感が湧く。

本当にすごいやつだったんだ……


そして、魔族の一斉撤退が始まった。

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