魔族からの攻撃 ①
音の場所に行くため、僕たち四人は宿屋から出る。
すると、町に備え付けられたスピーカーから放送が入る。
「魔族の攻撃です!軍の方々は直ちに中央詰所まで集まってください!!民間の方は安全な場所で待機をお願いします!!!」
その放送を聞いた時、
ロイが目をカっと開き怒る。
「なんだと!魔族の攻撃!?魔王め……ってあれっ?」
そこでロイは横を見る。
アザレアはあくびをしながらのんびりしている。
「おいメイド。何かしたのか?」
「できるわけがないでしょ。あんたとずっといたじゃない」
「……だよなぁ。ということは今回の一件は……」
「私じゃない。なんなら、勝手に人間に攻撃するなと伝令を送って魔王城は出てきた。お前がいない人間と戦争しても、メリットないし」
うん。確かに理屈は通っている。
勇者も魔王もここにいるってことは戦争したところで大将がいない戦になる。
つまり、戦っても大将がいないのだから価値がないと魔王も思っているようだ。
魔王ってやっぱり頭いいんだなぁ。
勇者と違って。
「ということは、この戦いはアザレアがやったわけじゃなく、どこかの奴が勝手にやっているってこと?」
「そうなるわね……癪だけど」
アザレアとしても、自分の意見を無視する奴がいるのは気に食わないようだ。
マツリがその様子を見て話しかける。
「マスターさん、ロイさん、アザレアさん。とりあえず町の方に行きませんか?この素敵な町が壊れるのは嫌なので」
「マツリちゃん、僕もちょうどそう思ったところだよ。行こうか」
「おいメイド、さっさと行くぞ。あんたの部下が問題なんだから」
「うるさいわね。わかったわよ」
僕たち四人は、砲撃のあった方向に進んだ。
砲撃のあった場所は露店街の近くようだった。
幸いにも町の防御魔法によってなのか、怪我をしている人や町が破壊はされていなかった。
「とりあえず良かったです。誰も怪我をしている人はいなさそうですね」
マツリはほっと一息つく。
ただ、空の方を見ると、先ほどの砲撃ほどではないものの明らかに魔族の攻撃が見え、、町の防御魔法に当たってはじけている。
町の防御魔法は透明の半円であるのが、魔族の攻撃魔法から見えるようになっていた。
その様子を見たロイが呟くように話す。
「こんなショボい魔法なら、この町の防御魔法でとりあえずは耐えられるか」
うーん。僕から見ると魔法の強さは全くわからない。
ただ、アザレアも同じ意見なのか、うんうんと頷いている。
そして、マツリは少し怖そうに見える。
「ロイさん、本当ですか?すごく怖いんですけど」
「まぁ、この攻撃ぐらいなら大丈夫だよ。でも鬱陶しいね。ちょっと行ってくるわ。メイド、二人を頼んだ」
「わかったわ。二度と私の言うことを無視できないぐらいにボコっといて」
「あいよ」
ロイはそう言うと、砲撃されている方向に走っていく。
信じられないぐらい速い速度で。
「まぁ、私たちは宿にでも戻ろうかしら。やることないし。」
「そうだね。マツリちゃんもそれでいいかな」
「はい」
僕たちは来た道を戻ろうとした。
その瞬間、アザレアは何かに気づいたのか大声で叫ぶ。
「伏せて!!!!!」
アザレアは僕とマツリを押してまで倒す。
そしてそのあと、
ドゴォォォォーーーーーーーン!!!
雷がそばに落ちた時のような果てしない大きな音と共に、
今までの攻撃とは全く比較できないほど大きな魔法が轟音と共に飛んできていた。
そしてその魔法を受けたこの町の防御魔法の割れるのが見えた。
ガラスが割れたときのように砕け散り、それが消えていく様を。
そしてそのあとから今まで防御魔法で守られていたはずの小さな魔法が町の中に入ってくる。
町一帯がパニックになった。