表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

かくれんぼ

作者: 夕

小学校のころ、近所の神社でかくれんぼをするのが日課になっていました。

その神社は敷地内に小さな公園があるんですが、その日も公園の遊具で少し遊んだ後、かくれんぼをすることになりました。

いつものようにじゃんけんで鬼を決めて、残った者は鬼が100数える間に隠れました。

私は自分だけが知っている秘密の隠れ場所、本殿の裏側にある杉の大木の隣にある小さな小屋に行きました。

そこはそれまで一度も見つかったことがない、私だけが知っている場所でした。

小屋と言っても本当に小さなもので、子供の私が入って少しだけ余裕があるくらいの広さしかありません。おそらく境内を掃除する道具入れとして使っていたんじゃないかと思います。

小屋の中でしゃがんでじっとしていると、外から友達の声が聞こえたり、時折、砂利を踏む足音が近づいてきたりしますが、見つかることはありません。

今回も私だけ残るかな……

そんなことを考えながら息を潜めてじっとしていると、ふと小屋の扉が少し開いていることに気付きました。

閉めわすれちゃったかも、と思いましたが、下手に動くとバレてしまうかもしれないので、放っておくことにしました。

それから何分経ったかわかりませんが、隙間から入ってくる日の光を見つめながら、膝を抱えてじっとしていると、隙間から影が差し込んできました。

私は咄嗟に顔を上げました。


白くて長い手が伸びていました。


怖いとかそういう感情はなかったように思います。

ただ、明らかに子供のものではないその手がとにかく不思議で、しばらく眺めていました。

手は私の目の前までスッと伸びてきて、真っ白い手のひらが顔を覆うように迫ってきました。

私は反射的に思わず目を瞑りました。


「Aちゃん、見つけた!」


目を開けると、友達が数人扉を開けて立っていました。

白い手のことは聞きませんでした。

それからなんとなくかくれんぼをする気が無くなり、別の遊びをするようになりました。

やがて小学校を卒業、中学生になりその神社に近づくこともなくなりました。

未だに何だったのか、よく分からない体験です。


 

 

友人や知人が体験した実話を、極々短い小説にしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ