表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

第3話 下水への穴

 

「それで、サチエさんはどうしてここに?」

「私?」

 サチエさんは美少女の姿になっていた。異世界転移して、メインヒロインの中身がお爺ちゃんなのは嫌だ。美人看守でも探すしかないのだろうか。

「あぁ...あなたも召喚者だろ?」

「まぁ...そうだけど...年寄りだからって理由で...」

「まぁ...そうだよなぁ...失礼だけど...何歳?」

「ピチピチの18歳!」

「真面目に答えて?」

「87歳...です...」

「思った以上にお爺さん...それで、本名は?」

「言いませーん!サチエのキャラが壊れるので言いませーん!」

 サチエは美少女の姿で答える。

「それで、修一の能力は何?」

「俺は...千里眼だ!」

「千里眼か...あ、私は肉体変化だよ!」

「肉体変化?」

「えぇ!年齢や見た目、性別などを色々変えられるの!」

「ほげぇ...すごいな...」

「千里眼があるなら...脱獄の道に近づいたな...」

 これまで沈黙を貫いていた響が口を開く。

「えぇ...」

「え、脱獄?え?」

「逃げ出したくないのか?」

「それはもちろん!でも...できるのか?」

「{できる}じゃない!やるんだ!」

「は...はぁ...」

「飯の時間は終わりだ!」

 シュウジが食堂に戻ってきた。先程の話を聞かれてしまったのだろうか。

「次は、修一が新しく来たから、今日は仕事ではなく自由時間とする!」

「自由時間か!」

 俺たちは修一に付いていく。俺たちは少し開けた公園のようなところに連れてこられた。

「ここが自由広場だ!この中なら自由に過ごして貰ってもいい!」

「はい!」

 俺たちは自由広場に入る。すると、入ったドアが閉じて、外から鍵がかけられる。

「響!案内をしてやれよ!」

「わかりましたー...」

 自由広場の外には監視員が常に見張っている。ここから逃げるのは無理そうだ。

「ここは自由広場だ!それで、ここの地下に図書館がある!」

「図書館?」

「あぁ!図書館にある本は自由に読める!」

「そうなんだ...」

 俺たちは図書館に移動する。図書館の中は閑散としていた。誰もいない。

「ここなら...監視もいないな...」

「えぇ!そうね!」

「それで、どうやってここから脱出するかだ...」

「第一に、刑務所から出ないと行けないだろ?まずは、出る方法を知らなくちゃならない!」

「刑期が終わって出る人を見たことがある...その人は最初に入って来たところから出ていた...」

「最初に入ってきた所...か...」

「出口は多分そこだけだろうな...職員用の玄関があるかもしれないが...」

「そうだな...」

「普通に逃げるわけにはいかないだろう?」

「あぁ...そうだな...強行突破しても駄目そうだ...時間逆行でやり直しはできると思うが...」

「でも、数日は寝込むんだろ?」

「あぁ...そんな連続で使えるわけでもない...」

「そっか...」

「ねぇ...君たち...何の話?」

「誰だ!」

 俺たちは一斉に声がした方を向く。そこには、一人の少年が立っていた。

「君たち...脱獄の話を...してるの?」

「お前は...話を聞いたのか?」

「うん...脱獄...するの?」

「こいつ...ここで殺したら...」

「駄目よ!監視にバレる!」

「じゃあ...どうする!」

「僕も参加させてくれないか...」

「「え...」」

「僕の名前は梶隼人(かじはやと)...16歳...能力は脳内通話さ...」

「の...脳内通話?」

「うん...やってみるよ...」

 {あーあー...聞こえますか?}

 {おい!聞こえるぞ!}

 {これは、近くにいなければ話せないとかあるの?}

 {特にはないよ?}

 {マジ?じゃあ、仲間になるか?}

 {うん...よろしく!}

 俺たちは脳内会話で自己紹介をした後、図書館を見て回った。

「色々な本があるけど...読めなさそうだな...」

「召喚者用」という文字は日本語だったが、他の文字は全く読めない。絵のようだった。

「こんなん読めないよ...」


 ”ドンッ”


 本を運ぶ台車にぶつかる。

「おっと...」

 俺は台車を元に戻す。ん、なんだ、これは。

「これは...」

 台車の裏には穴があった。頑張れば人一人入れる程の穴があった。

「ここ...は...」

 俺はそこに顔を近づける。

 ”チョロチョロチョロ”

 水の流れる音がする。この穴は下水道に近づく穴だ。

「ここ...なら...」

「おい!修一!どこだ!」

 シュウジの声がする。俺を探しているみたいだ。

「あ、ごめんなさい!本を片付けたらそっちに行きます!」

 俺はそう言いながら、台車で穴を隠した。そして、シュウジの方へ向かう。

「ごめんなさい!」

「修一は本が好きなのか?」

「そうでもないですけど...体を動かすよりかは...」

「そうか!」

「それじゃ、行くぞー!」

 俺と響・サチエはシュウジについていく。

「次は風呂だ!汗水を流してこい!」

「はーい!」

 俺たちは風呂に入る。サチエさんは美少女から老人の姿に戻っていった。

「どうして...戻ったんですか?」

「なんだ?やましい!変態のクソガキが!」

「うるせぇな!見たいわけじゃねぇよ!」

 見たいだけだった。まぁ、千里眼を使えばいくらでも覗けるのだが。


「それにしても...本当に...粗チンだな...」

「う、うるせぇ!」

評価を大量にありがとうございます!

できればコメントも...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ