表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/95

電流〜走る痛みが道標〜

蓮斗は廊下をただひたすら走っていた。

正直な話、保健室から飛び出した時、すでにそこには誰もいなかった。なので蓮斗は当てもなく、ただ本当に走っているだけなのだが―――。


走り続ける蓮斗に、電流のような頭痛が走った。


(痛ゥッ……!また……!)


思わず顔をしかめるが、走るのをやめなければいけない程ではない。

人影に注意を向けながら、蓮斗は考えを巡らせる。


(さっきもこの痛み、あったよな……。何だ?何の意味がある……)


数秒だけ、走る事よりも考える方に意識が向いてしまう。

目の前には曲がり角。

起こりうる事といえば、当然、


「あ」

「え?」


ドン!と何かにぶつかり、予想外の衝撃を受けた蓮斗は尻餅をついてしまう。一体何が、と思い視線を向ければ、そこには蓮斗と同じように尻餅をついている桐歩がいた。


「いてて……全く、ちゃんと前見ろ…って、蓮斗じゃないか」


そう言った桐歩は、なぜか慌てたように後ろを振り返る。そして、誰もいない廊下を数秒見つめたかと思うと、あぁ〜、と気まずそうな声を出した。


「何だよ、その反応」

「あ、いやな?もうちょっと引き止めておけばよかったかな、と」


苦笑いをしながらそう言う桐歩。

その言葉を聞いて、蓮斗はすぐに理解した。


「景は?景はどこにいった」

「そうだな、この先に走ってったから、体育館か、または展望台か……って、オイ蓮斗!?」


全てを聞く前に、蓮斗は駆け出していた。

例の電流が頭に走る。

だんだんと、蓮斗はこの頭痛が何を意味しているかがわかってきていた。


向かう先は、展望台。



















自分の知らない記憶が辿る道。螺旋階段を駆け上がり、梯子の前にたどり着く。


もう、急ぐ必要はない。


ただゆっくりと、梯子を昇りはじめる。

そこまで長くはない梯子は、あっという間に終わりが見えた。


そして。そこには。













あの日と同じ、景がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ