愛〜目の前の、キミの記憶〜
感想、評価が欲しいです……。
やる気が……。
「キャッ……!」
恋は目を開いたと同時にベッドから落ちてしまった。正確に言えば、突き落とされた。先程まで身体を預けていた蓮斗によって。
「ハァッ……ハッ…」
胸を抑え、苦しくに息をする蓮斗。
明らかに様子がおかしい蓮斗を見て、恋はすぐに蓮斗を力付くでベッドに押し倒した。そうしないと、何をするかわからないからだ。
「落ち着いて!……大丈夫、大丈夫だから」
そのまま強く抱きしめる。抵抗されていないことがわかると、恋は少しだけ力を緩め蓮斗の頭を優しく撫で落ち着かせようとした。やがて、強張っていた蓮斗の身体はゆっくりと力が抜けていき、苦しそうな吐息も規則正しくなっていく。しかし、恋の背中に回された腕だけは、しっかりと力が篭められていた。
「なぁ……恋……」
心なしか、お互いを抱く腕に力が篭る。そして、蓮斗が次の一言を口にしようと口を開いた瞬間、
「ん……」
恋が、蓮斗の唇に自分のそれを重ね合わせていた。その『次の一言』を、恋は言わせたくなかったかも知れない。恋はゆっくりと口を離し、蓮斗の目を真っすぐと見据える。
「レン君……」
突然のキスに驚いてしまった蓮斗は、目を逸らすことが出来ない。しかし、それ以上に、なぜか懐かしいような感覚を蓮斗は感じていた。
あれだけの狂乱が、恋に抱きしめられただけで治まってしまった。キスだって、驚きさえしたが、その実とても大きな安らぎが蓮斗を包み込んだ。
「…………」
「……ん…」
気が付けば、2人はもう1度口づけを交わしていた。触れるだけの、しかし長く深いキス。どちらからでもなく離れ、恋が口を開く。
「……本当に、記憶を取り戻したい?」
その問いは、恋の出した1つの答えだった。
最初は、絶対にレン君に記憶を取り戻してもらうんだ、と、それだけだった。しかし、桐歩とのやり取りを見て、皆の蓮斗に対する反応を見て、本当にそれが正しいのか、と考えたのだ。
そして、答えを出した。
レン君に答えを委ねよう。その上で、レン君と過ごしていこう、と。
「真剣に考えてね。レン君が記憶を取り戻したいっていうなら、私は協力する。けど、必ずしも思い出す必要はないと思うの。それだけ、君の失ったものは辛くて、悲しい」
蓮斗の顔を自分の胸に埋めさせて、慰めるように語りかける恋。
「思い出さなくていいことだって……」
まるで自分に言い聞かせるかのように恋は呟いた。
蓮斗は思う。
この子は、なんていい子なんだろう、と。俺は、この子のことすら忘れてしまっているのか、と。
そう考えると、答えは自ずと決まっていた。いや、最初からこの答えしかなかったんだ、と心の中で蓮斗も呟く。
「俺は、記憶を取り戻したい」
恋の身体から、ほんの少し離れて顔を向き合わせる。
「俺は……思い出したい。君の…恋との、思い出を」
そう。自分が何をしてきたのかなんて、どうでもいい。背中の傷も関係ない。俺はただ、目の前にいる彼女の事を思い出したい。
「何があっても?」
「何があっても」
「それで、貴方が傷ついたとしても?」
「それで俺が傷ついたとしても、君を傷つけずに済むなら、それでいい」
「……そっか」
蓮斗の決意を知り、恋は一瞬だけ笑顔を見せた。しかしそれもすぐに崩れ、目から涙がボロボロと零れはじめる。
「バカァ……」
蓮斗の胸に顔を埋め、嗚咽をもらしはじめる恋の頭を撫でる蓮斗。
「なぁ、恋。俺はこうだったか?こんな時、俺はどうしてた?教えてくれ、恋。俺は、これで合ってるか?」
「そんなの、知らないよ、バカァ……。当たり前過ぎて、覚えてないよ……」
ドン、と蓮斗の胸を叩く恋。
蓮斗は、もう1度恋の名を呼び顔を上に向けさせると、優しく頬を撫でてからキスをした。
2人はその日、学校を休んだ。
物語が終盤に差し掛かってきました。
今まで読み続けてくれている心が壮大な自然のように広い皆様、感謝です。
できれば、最後までお付き合い頂けると幸いです