気絶〜情けないと自身を罵り〜
短いです。
今日中にもう1つ更新しようと思います。
威吹と別れた蓮斗は、なるべく人目を避けながら帰路についた。そうして、自分の家について部屋に入る。そして制服を脱ぎ捨て、ベッドに腰掛けた。
「……にしても、『蓮斗』は俺が居なきゃだめなのかねぇ……。簡単に気絶なんかして……」
蓮は呆れた様に呟いた。
あの時、蓮は蓮斗の意識を無視して出てきた訳ではない。男に殴られる寸前、蓮斗はなんと気絶してしまっていたのだ。
蓮は自分の意思で表に出ることは出来ないので、蓮斗が蓮を認識しているか、もしくは蓮斗の意識が無いときが蓮が表に出る事になる。しかし、今蓮斗は蓮を認識していない。そうなると必然的に、蓮は蓮斗の意識が無いときに表に出ることになるのだが……。
「さすがに情けなさすぎる……」
頭を抑え、うなだれてからベッドに倒れ込む蓮。
蓮斗は蓮を認識してはいないから関係ないかもしれないが、蓮は蓮斗で、蓮斗も蓮なのだ。自分が情けないと思いながらも何も出来ないのは、かなり歯痒かった。
瞼が重くなってきたのを感じた蓮は、自分の時間が終わる事を理解した。
「頼むから……しっかりしてくれよ……『蓮斗』……」
そう言って、蓮は意識を手放した。