日常―中編―〜体育始め〜
一時期、この話の文章の真ん中辺りがすっぱりと抜けていました。
修正したのを改めて投稿させてもらいましたので、よろしくお願いします。
ご迷惑をおかけしました。
「さて……と」
屈伸、伸脚、前屈、と一通りの準備運動をする蓮斗。体育は体育館で行われるらしく、半分ずつ女子と男子で使われる。
「バスケか、定番だな」
当たり前と言えば当たり前。そう思いながらも口にしてみる蓮斗。革の手触りを確かめながら、何気なく適当にゴールに向かって放ってみる。
ボールは高い曲線を描きながら、ゴールに向かい……
「ありゃ」
外れた。女子のコートへと転がっていくボールを、蓮斗は走って取りに行く。転がっていく先には、見知った顔がいた。恋だ。
「はい」
ボールを拾い上げ、笑顔で蓮斗にボールを渡す恋。その笑顔に、蓮斗は一瞬見入ってしまう。
「コラ」
「あっ……え?」
「何してんの?授業、始まっちゃうよ」
こつん、と頭を小突かれて、蓮斗はハッとする。それからぶんぶんと頭を振って、赤くなっていたかもしれない顔を手で被った。
「……?どうかしたの?」
「い、いや」
「変なレン君」
恋はそう言うと、じゃあね、と告げて女子の集団へと紛れていった。それを見てから、蓮斗は踵を返して男子のコートへと戻る。そして、並んでいた列へと何気なく紛れ込んだ。
「…………」
ボールを手で弄ぶ事、数十秒。
「なぁ」
「?」
前の列の男子の1人が、蓮斗に声をかけた。学校に行き始めてからほとんど話し掛けられた事がなかったので、蓮斗は少し反応が遅れてしまう。周りの反応も似たようなものだ。そんな蓮斗の反応など意にもかいさず、男は口を開いた。それは、蓮斗にとって意味がわからないものだった。
「君って、『あの』蓮斗だよな?」
「……どういう意味」
「……まぁいいや。じゃあ、恋とどういう関係?」
「!?」
思わずボールを落としてしまう蓮斗。男はそれを拾い上げ、蓮斗へと手渡す。
「桐歩だ。よろしくな、蓮斗」
唖然とする蓮斗。
そこでチャイムが鳴り響いた。