暴走―後編―〜『今は』 その言葉の真実を〜
最近、文章が雑になってきているのを感じています。
誤字、脱字があれば指摘をお願いします。
あと、感想くれるととてもうれしいです!
恋は蓮斗の上に馬乗りになり、彼を見下ろした。その拍子に、涙が1粒、蓮斗の服に落ちる。
蓮斗の淀んでいた瞳が、少しだけ元に戻った。
「恋……?」
蓮斗は、押し倒されたまま腕を伸ばし、恋の顔に触れようとする。が……。
「っ!……あっ!」
「きゃっ……。レン君…?」
蓮斗は、伸ばした腕を恋の顔から肩へと行き先を変えて、そのまま恋を自分から引きはがした。
「……やっぱり、ダメだ。俺に、近付くな……!」
後ずさりしながら、蓮斗は恋に背中を向ける。
「いやだ……いやだ、いやだ!私は、レン君から離れたくない!」
「!?」
突如、背後から響いた叫び。蓮斗が振り返る前に、恋は蓮斗の背中へと抱き着いていた。
「……なんだよ…、なんで、だよ。俺から、離れられるんだぞ?自由に、なれるのに」
「違うよ!レン君は何か勘違いしてる!私は……」
恋の腕に力が篭る。
「……私は、レン君と一緒にいたいんだよ?確かに、怖く感じることもあったけど、それでも、私は……レン君から離れたくない……」
涙を流しながら、恋は言い切った。
しかし、蓮斗は。
「……ダメだよ。それでも、俺に近づいちゃいけない」
恋の腕を振り払い、蓮斗は更に恋から離れた。恋の腕は、力の行き場をなくして、からぶったように空を切る。
「頼む……今は、ダメなんだ。だから……待っていて欲しい」
「……一体どうしちゃったの…?っ、どうして、今はダメなの!?わかんない、わかんないよぉ!!」
ヒステリックを起こし、恋は叫んだ。だが、蓮斗はそれに顔をしかめることはせずに、何日かぶりとなる、笑顔を見せた。
「…レン、君?」
「……ごめんな」
そう言って、蓮斗は走り出した。
「レン君!!」
慌てて恋も走り出す。しかし、一瞬遅れたぶん、蓮斗はすでに裏庭を出ていっている。
後を追い掛ける恋。だが、校門を出たその時に、恋の目の前を1台のバイクが通り過ぎていった。
辺りを見渡すも、周りには誰もいない。
気が付けば、既に夕陽が半分海に沈んでいた。
恋は、泣き出しそうになるのを必死にこらえ、たった1人で夕陽を睨みつけていた。
「……よかったのか?」
「……あぁ。今は、ああするしかないんだ……それよりも、南貴、早く……」
「……あぁ」
南貴は、後ろに蓮斗を乗せて走っていた。
蓮斗が、部屋を出る前に連絡を入れていたのだ。校門で待つように、と。
蓮斗は、こうなることを最初から予想していたのだ。
「あとちょいだ」
南貴は、そう言った直後に寒気を感じた。
殺気が、痛いほどに感じられた。
「……誰も、傷つけたくないのに……!!」
蓮斗は、血だらけの包帯をひきちぎる。
出てきた右腕は、傷だらけだった。