表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/95

朝の出来事〜いきなりの急接近!?〜

くっつきまくりです。主旨がずれてますが、たまにはありということで。

「ん…」

朝の日差しが瞼ごしに蓮斗の目に突き刺さる。毎度のことながら、慣れないベッドではなかなか寝付けないものだ、と蓮斗は思った。

起き上がろうとして、体を起こす。が、右半身がやけに重たく起き上がれなかった。目を擦りながら、ふと蓮斗は思った。

(なーんか、前にも同じような事があったような……)

何だったっけ、と覚醒しきらない頭で考える。

「あ、起きたんだ」

耳元で恋の声。

「!」

即、覚醒。

そう。右半身の重みの正体は、恋が蓮斗の身体に引っ付いていたからだった。もはや右腕とかそんなレベルではない。完全に蓮斗の身体は恋の抱きまくらと化していた。

蓮斗は叫び出したくなるのをすんでのところで堪え、恋をひきはがす。

「なんで…!?」

問い詰めようとする蓮斗だが、

「しー…。皆が起きちゃうよ。いいの?」

その言葉で黙り込む。ズルイ顔で笑う恋が少し本気で憎らしい。

「…なんでここで…てか俺のベッドで寝てんだよ」

今度は小声で。すると、恋は少し顔を赤くして、ズルイ笑みから悪戯っぽい笑みに変わった。

「実は私、……その、なんか抱いてないと眠れなくて…けど、抱きまくらは荷物になるし…だから」

つまりは、蓮斗は抱きまくらがわりにされたのだろう。

「でも、宿泊研修の間はどうすんだよ。あと3日あるんだぞ?まさかとは思うが…」

「……ダメ?」

「ダメ?って…お前なぁ」

「んん…?どしたぁ、蓮斗…」

「「!!!!」」

突然、隣のベッドがもぞりと動いた。隣は確か南貴だったかな…と蓮斗は思い返す。

マズイ…南貴はマズイ。そういえば恋を狙ってる発言をしてたような気もする。

「っ、我慢しろよ」

「へ?きゃっ…」



「よう、起きたか南貴」

「おぅ…って、なんだよそれ」

南貴は蓮斗の布団を指差してそう言った。やけに不自然に膨らんでいる。

「…太ったか?」

「寝ぼけてんじゃねぇよ」

「じゃあ何だよ」

「抱きまくらだよ。悪いか。これないと寝れないんだよ」

「ふーん…」

「いいから鏡見てこい。頬っぺたに『馬鹿』ってかいてあるぞ」

「マジ!?くっそぉ、俺の顔が台なしだぁ!」

南貴はそう叫びながら部屋を飛び出して行った。ちなみに今は午前5時半。うるさいことこのうえない。

「…いいぞ、恋」

蓮斗がそう言うと、ぷはっと息を吐いて恋が出てくる。

「ふぅ〜。苦しかったぁ」

「そ、そうか?この布団結構厚いから…」

「そうじゃなくて!…その、強いんだもん。力が」

「う…」

ばつが悪そうに目を逸らす蓮斗。南貴に指摘された布団の膨らみは、当然の如く恋だった。恋を覆うように抱きしめて、何とか抱きまくらでごまかしたのだ。

「…悪かったよ」

そういった後に、自分達がかなりの至近距離で会話していることに気付いた蓮斗は、パッと腕を解く。

「ふふ、やっと気付いたんだ」

実は抱きしめている感覚が心地よくて離せなかった、とは言えない蓮斗だった。

恋は立ち上がり、部屋の入口に向かって行った。自分の部屋に戻るのだろうか、と蓮斗は思ったが、直後にガチャリ、と音が聞こえてくる。

「…?何を…」

蓮斗が喋り終わる前に、恋は駆け足で戻って、そのまますっぽりと蓮斗の懐に入り込む。

「えへへ…」

いきならの事に蓮斗の体温は急上昇。

「なっ、な、なにを…」

さっきまで同じようなことをしていたのに、と蓮斗は思ったが、やはり自分からするのとされるのとは訳が違う。しかも今度はしっかりと顔が見える分余計に緊張、心拍数は朝とは思えないほど高ぶっている。耐え切れずに目を閉じると、今度は首に腕が絡み付いてくる。身体の密着度はかなりの高さ。高密度である。

目を閉じて他の神経に気を向ければ、恋の規則正しい吐息が顔に薄くかかっている事がわかる。

「っ!からかうのもいい加減に…」

覚悟を決めて(我慢が出来なくなって)目を開く。が、そこにはからかってるような恋の笑顔はなく、目をとろんとさせて、何か安心しきってるような顔をした恋がいた。

「……なに?」

「…なんでもない。好きにしろ」

蓮斗は自然とそう答えていた。こんな幸せそうな顔を見て、今更突き放すのは流石に良心が痛む。

恋の頭を撫でてやると、恋は嬉しそうな表情のまま目を閉じた。

(喧嘩してる時とは大違いだ。いつもこうならいいんだけどな)

そう思いながら、部屋の時計に目をやる。今は6時。――後1時間は、このままでもいいか。

そう思い、蓮斗も目を閉じた。




「あれ?鍵しまってら。オーイ、蓮斗ー?開けてくれー!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ