決断〜何を思い、何をするか〜
放課後の教室。部活動の掛け声が校舎の中から、あるいは外から聞こえて来るなか、
恋は1人、主のいない机を眺めていた。
「レン君……」
あの日から1週間。蓮斗は学校に来ていない。
「本当にそれでいいのか?」
「はい。しばらくは、学校には行きません。……決めたんです」
あの日から1日後の昼。
蓮斗は職員室で秋奈にそう告げた。
秋奈は、休学するための書類を片手に、驚いた顔で蓮斗を見ていた。
「最近、色々ありすぎて……。落ち着きたいんです」
「それは分かるが……。
もう少し明確な理由を言え。じゃないと、私としてもこれを通すことができない」
書類を蓮斗に突き返し、秋奈は仕事に戻ろうとした。が、次の言葉を無視することは出来なかった。
「……おかしいんです。……最近、自分が抑えられなくて……」
蓮斗は、今までボケットに入れたまま出さなかった右手を秋奈へと差し出す。右手は真っ赤に腫れ上がってしまっている。それは休む暇もなく物を殴り続けた結果だった。
「このまま学校にいたら、俺、いつか問題を起こしてしまいます。……お願いです、先生……」
動揺が簡単に見て取れる。
秋奈は、それ以上は何も言わずに蓮斗から書類を受けとった。




