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自己愛〜傷付いたのは、つけたのは〜

更新遅れてすいません。

「それじゃあ、お願いします」


倒れた恋を、蓮斗は保健室に連れていっていた。

途中で出会った秋奈に事情を話し、栗実と2人で看てくれるとの事なので蓮斗は任せることにした。


「よいしょ……」


なるべく丁寧に恋を下ろす。お姫様抱っこにして正解だった、と蓮斗は思った。

恋の身体はとても軽く、その軽さが逆に蓮斗を不安にさせる。


「さて」


秋奈は椅子に腰を下ろし、煙草を懐から取り出す。が、恋をちらりと見たかと思うと煙草をしまう。そして溜め息をついたかと思えば、蓮斗を一瞥した。


「……はい」


蓮斗はその意味が直ぐに分かった。秋奈は自分に、早く行け、と急かしている。

ベッドに横たわる恋。蓮斗は最後に頭を撫でようと手を伸ばすが……。


「……っ。…………失礼しました」


直ぐに踵を帰して保健室から出ていってしまった。その時の蓮斗の悲痛な顔を、秋奈は見て見ぬ振りをする。そして、口を開いた。


「起きたらどうだ?とっくに気が付いてるぞ」

「…………」


恋はぱちりと目を開き、ふう、と息を吐く。栗実が持ってきた水を口に含み、また同じように息を吐いた。


「いつから気付いてました?」

「廊下で会った時からだ。お前、本当は気絶なんてしていないだろう」

「…………」


無言で頷く恋を見て、秋奈は外に視線を移した。わからないな、と呟いて。


「全く……お前らは互いに傷付け合って何が楽しいんだ」

「傷付け合う……?」


何の事だかわからない、といった感じで聞き返す恋。秋奈は外を眺めたまま、恋に視線を戻すことはしない。


「おや、自覚無しか。じゃあ質問しよう。『お前は今誰を傷付けた?』」

「えっ……それ、は」

「わかるだろう?ほら、あいつだよ」


秋奈はそう言って、保健室の入り口を指差した。磨りガラスの向こうには、黒い人影が佇んでいる。

恋は人影をしばらく見つめ、そして視線を落とした。


「……それくらい、わかっています」


搾り出すように、恋は言った。


「いいや、わかっていないよ。お前は」

「……!?」

「もしかして、お前は自分だけが傷付いた、とか考えてないか?」


相変わらず外へ視線を向けたまま、抑揚のない声で秋奈は恋へ問う。

恋は、答えられない。それは肯定の証で、それでも認めたくないから返事はしない、といった感じだった。


「…勘違いするな。傷付いているのはお前だけじゃない。蓮斗や、ここにいる栗実に比べれば、そこらの奴の悩みなんて捨てられたチリのようなものだ」

「……どういうこと?」


恋は身体を起こし、秋奈の後ろで佇んでいる栗実を見た。とても哀しそうなその表情は、見ているだけで心が痛む。

ふと、彼もこんな表情をしているのだろうか、と恋は思ってしまう。


「いいか。何も知らないくせに訳知り顔でやり過ごそうとするな。あいつが……蓮斗がどれだけ傷付いたと思っている。何故あいつの事を知らないくせに、あいつを突き放す。それがどれだけ苦しいことかわからないか。理解もされず、理由も話せず、ただ突き放される……。お前は、それを蓮斗にやったんだ」

「…………レン君に、一体何が……?」

「私から蓮斗の過去を言うわけにはいかない。知りたければ自分で聞き出すんだな」


秋奈は立ち上がる。俯く恋には目もくれずに保健室の扉に手をかけた。


「……人は誰だって、嫌われたいわけじゃない」

それだけを呟いて、秋奈は保健室を後にした。










今の言葉は、恋にだけ向けられた言葉なのか。


秋奈は、すぐ傍でうずくまる人間の頭を撫で、今度こそその場を後にした。

ポイント入れて下さった方々、ありがとうございます!



ところで、皆様どのキャラがお気に入りですかね……?

もしそういうのがあれば、教えて欲しいです!

勿論、私が気に入られる程のキャラを作れていれば、ですが…………(汗)

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