普通―後編―〜普通←→異常〜
更新遅れてすいません……。
厚かましいですが、感想、ポイント、意見お待ちしております。
「やめろって言ってんだろ」
言うと同時に、蓮斗は2人を引きはがした。
2人は抵抗するが、いくら2人が強いとはいえ相手が蓮斗では分が悪い。
やがて無駄だと悟ったのか、2人は観念して離れる。そして、蓮斗を睨んだ。
「邪魔、しないでよっ!」
瞬間、バチン、と乾いた音が響く。
「……危ねぇだろ」
蓮斗は顔の目の前で恋の足を掴んでいた。
今の音は、恋の回し蹴りを蓮斗が素手で掴んで止めた音だった。
あまりにもいきなりだったので、威吹は正直驚いていた。
「お前、俺との約束覚えてるか?」
「…………っ」
掴んでいる手を離し、蓮斗は言った。恋は、それに対して答えずに後ろを向く。
「……答えろよ」
「……わかってない」
「は?」
「レン君はわかってないよ!私がどんな気持ちで……!」
詰め寄ろうとした蓮斗は、恋の言葉に目を見開く。その隙に恋は走りだし、その場から逃げるように去ってしまった。
「……なんだっていうんだよ……」
「……あ、あの、……痛くありませんか…?」
「うん。ありがと」
「素手で釘打つとか、無茶し過ぎだろ」
「勝ちたかったんだもん」
「いや、そんな可愛い風に言われても……」
保健室。
さすがに威吹の手の傷を放っておく事もできなかった蓮斗はそこに行っていた。毎度の如くオロオロというか、どこかおどおどしている栗実に応急処置をされた威吹は、どことなく悔しそうな顔をしている。
「どうした?そんな顔して」
「だって、なんか中途半端でスッキリしなくて……。蓮斗のせいなんだから」
「は?何でそうなるんだよ」
「良いところだったのに止めちゃって。恋が怒るのも無理ないよ。……まぁ、あっちはそれだけじゃないだろうけど」
威吹はそう言って、蓮斗の顔を見た。
それに対して蓮斗は首を傾げる事で答える。
「……?」
「はぁ……鈍感」
溜息をついて、やれやれといった感じで両手を上げる威吹。しかしすぐに蓮斗に近づき、耳元で囁いた。
「じゃ、責任とってもらおうかな……?」
「なっ……。なにしろってんだよ」
「うふふ…。それはね」
「やぁっ!!」
「……っ」
「もう、逃げないでよ!」
「責任とってもらうって、こういうことか、よ!」
顔面に飛んでくる攻撃をすれすれでかわしながら蓮斗は叫んだ。掠った髪を触りながらバックステップ。威吹から距離をとる。
「あったりまえでしょ!?……あ、それとも何か別の事期待してた?やらしぃ〜」
「ふざけんな!」
下げた足をそのまま蹴り足にして威吹の懐に飛び込む。そのまま平手打ちを叩き込もうとするが……。
「きゃっ。無理矢理は嫌われるよ?」
「!?」
威吹は、体勢を低くしていた蓮斗の肩を踏み台にして跳ぶ。
なんとも軽やかに着地する様を、蓮斗は自分の肩越しに見た。
「くそ……。面倒だな」
「ほらほら、私は手を使えないんだよ?捕まえてみなよ〜」
すぐに振り向いて呟いた蓮斗に、挑発じみた言葉を投げかける威吹。
その瞬間、威吹の身体は動かなくなった。
金縛りのように固まり、いいようのない悪寒が全身を支配する。
(……な、なに!?)
声にも出せず、心の中で叫ぶ。あまりにもいきなりのことだったので、それが恐怖であることすら威吹にはわからない。
「やれやれ……」
気がつけば、既に目の前には蓮斗がいる。威吹を支配する悪寒は更に大きくなりへたりこみそうになるが、それすら許されない。
今までに感じたことのない、正に殺気。それが蓮斗から発生していることに、威吹は今気付いた。
自分を睨みつけている蓮斗の存在が、ただ恐ろしい。
「満足したか?」
そう言って威吹の頭に手を置く蓮斗。その瞬間に威吹は崩れ落ちた。
「ありゃ」
倒れる威吹を支える蓮斗。その時、威吹は呟いた。普通じゃない、と。
蓮斗はそれに薄い笑いを浮かべ、そうかな?と聞いた。