駐車場―中編―〜強さと恐怖は比例する〜
厚かましいお願い……。
ポイントが欲しいです……。
後編は喧嘩が目立ちます
蓮斗の強さを目の当たりにして腰が抜けてしまった威吹。それを見た南貴は、思わず吹き出してしまう。
「ぶっ…アハハハ!」
「な、何よぉ…」
そう返すのが精一杯なのか、威吹はそう言いながらも視線を蓮斗から離さなかった。
一瞬にしてパニックに陥りかけた駐車場内は、ある意味蓮斗のおかげで冷静さを取り戻していた。
現在、駐車場には南貴の笑い声しかない。他の人間は、威吹を含め全員同じ事を思っていた。
「アイツ……本当に何者なのよ……」
全員の気持ちを代弁するかのように呟く威吹。
南貴の笑いが収まり、静寂がまた訪れる。が、
それも長くは続かない。
「……南貴。この音、まさかと思うが」
「あぁ。多分そうだ。頼むぜ蓮斗。…多少予定が狂っちまったけどな」
「俺にとっちゃお前が俺の家にきた時点で狂いまくりだっつの」
駐車場の外から聞こえてくるのは、大量のエンジン音。
恐らくは、先程の数人は様子見の生贄だったのだろう。
いきなりの不意打ちを仕掛け、パニックに陥った所を攻める。
「相手も考えてんな」
頭を掻きながら呟く蓮斗。しかし、焦った様子は微塵もない。
既に『もう1つの自分』がでかけているのかもしれない、と蓮斗は思う。
(だって、平和を望むはずの俺が、こんな事を考えるはずがないから)
口元に手をやると、確かに端が釣り上がっている。
(久々だから、かな。なんだろ……楽しみなんだろうか?)
南貴は、蓮斗の表情を見て少したじろぐ。
その好戦的な笑顔に、若干の恐怖を覚えつつも、非常に頼もしくもあった。
「敵に回したら……。想像したくねぇな」
「もう1回なっただろ」
「……そうでした」
あの時の恐怖を、南貴はしっかりと覚えている。
背を向けて無様に逃げた屈辱を受けてまでも、逃げ出すことを選んだ。
つまりはそれほど、蓮斗は南貴にとって『危険人物』。警戒しなければならない相手なのだ。
そんな南貴に、蓮斗は言う。
「もし俺が暴走したら、そん時は南貴。よろしくな」
そんな事を当たり前のように言う。
それが、どれだけ度胸のいることか知らずに。
南貴がその言葉に苦笑いをすると同時、駐車場に『敵』がなだれ込んだ。