倉庫―中編―〜どこまで進む、この欲は〜
短いですが、今回はかなり(この作品の中では)濃い描写が全体に及んでおります。
倉庫の中は薄暗い。そんなどうでもいい事を考える。
(……って、そんな場合じゃない、よな)
鈍くなる思考回路を無理矢理奮い立たせ、蓮斗は今自分がおかれている状況を整理しようとする。が、
「…っふぅ…はっ…」
耳に届く恋の声が、蓮斗にそれを許さない。
ただひとつ、確かに分かることは、恋にキスをされている。これだけだった。
(ヤバい…これはこれで、ヤバい)
長い間口を合わせるかと思えば、ついばむように唇が何度も重なり合う。
蓮斗は、その度に頭がクラクラするのを感じた。
自分の弱点がキスなのは、蓮斗は重々承知している。しかし、ディープキスでなければ少しは耐えられると思っていた。
だが、こう『合わせるだけ』のキスが続くと、逆に蓮斗の方が求めたくなってくる。
ダメだとは思っているのに、身体がいうことを聞かない。
終いにはその自制心すら、頭がぼやけて危うくなっていく。
(……なら、せめて…!)
「……っあ」
蓮斗は、唇が離れた隙に恋を抱き寄せ、恋の顔を自分の胸に押し当てた。
「っ、駄目だ、恋。それ以上やられたら、俺っ……!」
だが、恋は止まらない。蓮斗のワイシャツのボタンを外し、はだけた胸にキスをする。
「………う…あ」
首筋に舌を這わせられ、蓮斗は腕の拘束を解いてしまう。
その瞬間、恋は蓮斗を押し倒した。
「はぅ…」
「どうしたんだよ…恋…」
蓮斗は恋の顔に手を伸ばした。恋は、それを掴んで、蓮斗の指を甘噛みする。
それだけで、恋はたまらなくなった。
そして、そのまま手を絡ませて身体も密着させる。
「…欲しいよ」
恋はそう呟いて、再度キスをした。
蓮斗がビクリと奮え、何かに耐えるように目を強くつぶる。
そして、恋はとうとうためらいながらも舌を侵入させた。
2人の唾液が絡まり、薄暗い空間にぴちゃぴちゃと水音が響く。
その時、倉庫の扉がゆっくりと開いた。