表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/95

体育館〜まさか、そんなまさか…!〜

更新が遅れてすいません…

「どう…こうかな?」

「あ…違う、そこに手を…うん、そう」

「…は、恥ずかしいよ…」

「まぁ、そういうもんだからな。ほら、もっと身体寄せないと出来ないぞ?」

「う…うん」



無人の体育館。恋と蓮斗は中央で身体を寄せ合う。

蓮斗は恋の腰に手を当て、更に恋を抱き寄せる。


「じゃ、いくよ…。ハイ!」


そして、掛け声と同時に2人は……。


ステップを踏みはじめた。


「あっ、あっ」

「落ち着けよ。まずはゆっくり」


拙さ全開の恋の足運び。それに合わせ、蓮斗がなだらかに踊りを進めていく。


「…難しい」

「ま、初めてやる人はそうだろうな。でも、出るって言ったのはお前だろ?」


試行錯誤しながら踊る恋。それに合わせ、やはりなだらかに踊る蓮斗。


「そうだけどさあ…」


2人が今しているのは、文化祭で行われるダンスの舞台練習である。


本来ならば、蓮斗と景がコンビで出場する予定だったのだが、景が突然の辞退を申し出たので急遽恋を出すことにしたのだ。

それというのも、この高校の文化祭は体育祭と同じようにクラスごとに順位がつけられ、更に上位入賞のクラスには案外高価な賞品が与えられることもあり、秋奈を中心とした蓮斗のクラスは優勝に向かって団結していたりする。

ガラの悪い高校といえど、それなりに良いところもあったりするのだ。そして、蓮斗と恋が出場するダンス部門は高得点が配分されている。

それならば、ということで、容姿も運動神経も良い恋が推薦されたのだ。


「うー……」

「なんだよ。なんか文句あるのか?」


推薦された時は、恋自身もやりたいとうるさかったが、いざ始めるとうまくいかない。

その理由は……。


「…なんでこんなに身体をくっつける部分が多いの?」

「……………」


そう。何故かダンスの振付には、2人が身体を密着させるものが多数入れられていた。

明らかに無意味な所で抱き合うような部分まである。


「ま、待ってろ。なんか心配になってきた。台本とってくる」


この調子では最後にキスの振りまで出てきそうな気がしてきた蓮斗は、荷物をおいてある体育館倉庫に向かう。その後ろを、恋がついていった。








「あったあった。さ、戻ろう」


薄暗い倉庫。2人は問題なく台本を見つけていた。

ここでは暗いからよく見えない、と呟いたのは蓮斗だった。


だが、そこでふと、恋が呟く。


「べたなテレビとかだと、ここで閉じ込められたりするんだよね」


言ってからクスリと笑う恋。つられて笑う蓮斗だったが、倉庫の扉に手を掛けた瞬間にそれは消える。


「…………うそだろ?」





扉は、開かなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ