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蓮斗と恋―後編―〜流れる涙が罪となり〜

「ぅぁああ!!!!」

「っ……」


次々と繰り出される恋の攻撃。蓮斗に着実に傷を負わせていく。

何発かは、すんでの所で止めたり、避けたり出来る。が、全ては無理だった。


このまま続けば、蓮斗は負けるかもしれない。

だが、蓮斗の懸念はそこではなかった。


蓮斗が心配しているのは、先程から表に出ようとしているもう一つの人格。

抑えても抑えても、攻撃を食らう度に衝動的に出てこようとする自分が、一番怖かった。


「っ痛…!」


抑えるのに気を取られた一瞬、恋の蹴りが横っ腹に突き刺さる。蓮斗はその場に膝をついてしまう。


「……どうした。追撃しないのか?」

「………」


そのままの体制で蓮斗は言った。恋の様子が、明らかにおかしいからだ。

本来の恋なら、敵と見なした相手には、話す隙も与えない。とどめは容赦なく刺すはずだ。

だが、この状況で、恋はなにもしてこない。

それどころか、唇を噛み、身体を震わせていた。


「………恋?」


蓮斗が声をかけた、その時、とうとう恋の目から涙が零れた。


「……やっぱり無理…。出来ないよぉ…」


大粒の涙を零し、蓮斗と同じように膝をつく。


「どんなに怖くたって!他の娘とどんな関係だって!!」


あぁ、と蓮斗は思った。


恋は、寂しかった。本当は、辛かった。蓮斗にぶつけた感情は、怒りが全てではなかった。怒りの陰に隠れて、蓮斗に対する純粋な想いを、ぶつけていた。


「私を受け入れてくれた、初めての人だもん……!」


隠れていた想いが溢れ出す。涙と共に流れ出ていく。

それは、蓮斗の心に直接流れ込んだ。


そして、痛む身体などお構いなしに立ち上がり、そのまま恋を抱きしめる。


「…ゴメンな。気付いてやれなくて」

「れ、レン君…?」


腕の中で震える身体が、とても小さく見えた。

そこには、喧嘩好きな問題児は居なくて。

そこには、寂しがり屋の、普通の女の子が居た。


「なぁ…。俺はまだ、負けてないよな」

「…? うん…」


蓮斗は言葉を続ける前に、抱きしめる力を強めて、恋の存在を確かめる。


「…だから、まだ俺から離れちゃ駄目だ。約束だからな」

「……うん。……ぅっ…」

「泣きなよ。これぐらいじゃ報いにはならないけど、泣き場所位にはなれるから」




それから、恋は大きな声で泣いた。校舎に囲まれた裏庭に、恋の声が響き渡る。

蓮斗は、それを自分の心に刻み付ける。

自分がふがいないばかりに、泣かせてしまった事実。

それを己の罪として、しっかりと刻み付けた。

どうでしょうか…?物語、きちんとえがけていますでしょうか?感想、あったら是非とも!お願いします。

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