第18話 情報収集
暖かくなってきた。
今年の桜の開花は早そうである。
マスクをつけている人が多いが
みんな花粉症に見えてくる。
ワクチンが配布されはじめ、
二種病原体の指定が
外される議論がされている。
暖かくなったころに
PCR検査のCT値を下げれば、
陽性者数は激減するだろう。
どのタイミングでやるのか不明だが?
それは、どうでも良い。
あれから、情報は結構収集できた。
やはり、小娘軍団を俺は侮っていた。
つまり、想像以上に、すごく役に立った。
俺も、その情報を元に精神エネルギーで監視したり
爺に記憶を見てもらったりして
ある程度、組織の関係者がわかってきた。
小娘軍団の倫花は田中さんから、
内閣情報局で把握している要注意人物のリストを
手に入れた。
バレたらえらいことになるだろうに、
田中さんは、倫花に頼まれれば傀儡のように動く。
俺は、そのリストの中から組織の関係者かどうかを
調べていった。
次に琴美であるが、今回の事業に反対しているのは
主に財務省のメンバーと閣僚メンバーだ。
その中でも数人が強く反発しているようなので
その人物も俺が調べた。
そして、日向であるが、テレビ局にうまく紛れ込んだ
ようである。
目元や髪形を変装してマスクをつけると、ほぼ本人と
わからない。
ニュースキャスターに変装したようだが、台本などを
手に入れてきた。
台本を読むと、ニュースなのにストーリーが出来ていて
この台本を渡されれば、キャスターやコメンテーターは、
ストーリーに合わせたコメントになってしまうだろう。
大体、内部に潜入して日向は、どこの部署が作成し、誰が
指示しているのか分かったようで、
俺はその指示しているらしき
その人物を調査した。
相手には悪いけど、監視能力と爺の記憶を見る技があれば
国内での組織に関連している人物たちの構成図が出来上がる。
50名程度であろうか。
しかし、これだけの人数で国や民意を動かせるのだから
大したものである。
俺は、組織図を作成して内閣情報局の田中さんに
倫花をとおしてトップシークレット情報として渡した。
内容は、組織の関連者の組織図としてではなく
不穏な動きに注意する組織図として。
恐らく、これら組織の関連者達
は隠密で調査されるだろう。
内閣情報局の下部組織や公安を使って。
まあ、警察が捕まえてくれれば楽なのだが、
証拠を見つけるのは難しいだろう。
ほとんどが、現金でやり取りされているからだ。
せめて、通話の傍受や、行動の監視、盗聴ぐらいは
してほしいが。
国の情報収集はあてにならない。
ということで、4人小娘役員たちが、すでに
スパイモードに入ったようで。
これら、
組織に関連するメンバーの情報収集を行っている。
危険なことをしなければ良いのだが、
まあ、基本的には普通の人達だから大丈夫だろう。
デュランのような能力者はいない。
ただ、メンバーの多くは権力者だ。政府の中でいえば
財務省、外務省、国防省、法務省、・・・
いたるところに
特に問題は、裁判所や検察に多くいることだ。
国家権力は強いのだ。
当然、国会議位やマスコミのトップなども。
どうやって、スパイするかは俺は知らない。
といって、止めることも出来ない。
精神エネルギーで監視することも可能だが、
小娘たちを監視することは俺の良心が許さない。
俺は俺で、とりあえずは、このメンバーの中で
与党と野党の幹事長をターゲットにして
監視している。
田中信一郎という裏の闇将軍がいなくなって、
しばらくは表に直接指示を出すのだろう。
直接と言っても経済界の人脈を通してだが・
しかも、与党と野党議員どちらも権力者に。
どちらが政権を取ろうと大丈夫なように組織は
パイプをつなげている。
今回不思議なのは、
U国が、この国の与党を潰すかのような
工作をしていることである。
U国大使館のジャックのもとに特定人物の情報が流れている。
普段なら、ジャックは、これらの者がU国や
この国に対して害するものと判断し、地検やマスコミに
情報を流すのであろうが、
俺の話を聞いたジャックは疑問に思っている。
ただ、組織に疑われないように、本国からの指示どおり
地検特捜部に情報は流したのだが。
組織はT国を台頭させようとしているのか?
U国だって黙っていないだろうに。
全くわからん。
戦争でも起こす気なのか?
まあ、与党幹事長は、今回、俺が提案した事業を潰した。
官僚さん達が一生懸命作った資料はゴミ箱行きだが、
予算計上を100分の一程度は確保してモデル事業として
なんとか、頑張ってくれた。
代わりに軍事費が相当、予算計上されたが。
組織に関連する外務省や防衛省官僚が暗躍したようだ。
いやしかし、予算時期ってお金が動くのだと感心した。
あっちから、こっちへ、こっちから、あっちへ
企業はもとより、U国やT国の大使館からも
それらを調整するのが議員達なのだが、国民の代表
なのか、企業や他国の代表なのかわからなくなってくる。
これらの証拠を掴めれば良いのだが、
俺の精神エネルギーでは証拠にならないし、精々、監視も
2時間程度しか出来ないので無理だ。
そう考えると、U国やT国の情報収集能力はすごいな。
ユウランがT国のスパイというのはカモフラージュに
思えてくる。
しかし、組織のこの国での戦力はわかった。
要所要所に権力者がいる感じで、人間1人を冤罪で
民意を煽りながら捕まえることなどは簡単だろう。
社会からの抹殺だ。
しかも直接、殺人なんかも出来る。
暗殺は、海外の特殊部隊で行ない、
ヒットマンは暴力団のルートだ。
暗殺などは、組織の関連者が証拠などを消してしまう
のだろう。
どちらも金で動く。
結局、すべて、金で動かされている感じだが、
本人たちは、自分に正義があると信じている。
いい訳なのか本心なのかはわからないが。
まあ、俺は自分と仲間を守れれば良い。
それだけだ。
その為に、情報収集が必要なのだ。
そのうえでの、戦略と戦術、そして自己研磨だ。
今のところは、俺たちの方が優位な感じ。
専守防衛は相手より強くなくては出来ないのだ。
ということで、こちらの戦力を強化しているのだが。
「エドワード、どうだい?」
「はい。和也さんのお手伝いもあって
自分なりに成長したと思います。」
そう、あれからエドワードは毎日、修行をしている。
さすが、もともと精神エネルギーが高かったことと
天才でありながら努力家でもあるため
成長が著しい。
俺と爺が見込んだとおりだ。
「あぐらを掻いて、体を浮かせたり出来る?」
「はい。何とか」
「毎日、準備運動でやった方が良いよ。
俺もやっているから。
こうやって。」
俺はエドワードの部屋で体を浮かせたり沈めたり
を高速でやって見せた。
「いや。す、すごい。
というより、気持ち悪いですね。
もう、人間ではないというか、何というか。」
やっぱり気持ち悪いよね。
「でも、結構、この修行が良いんだよ。
エドワードならすぐ出来るようになるよ。」
「いや、さすがにあのスピードは。
しかし、どうですか?
デュランの足元ぐらいにはなりましたかね?」
「そうだね。もう少しだと思うよ。
少しくらいの組織のメンバーなら大丈夫だろう。
ワンとか上層部になると難しいかも。
相手の力量を見て勝負することだね。」
「ハハハ。
そんな強敵だったら逃げられないでしょう。」
「確かにね。
だから、そういう相手には近づかないこと。
俺みたいに、エネルギーを内に
隠せる奴もいるだろうけど。
それほどは多くない。」
「そうですか。
結構修行も楽しいので、私なりに精進しますよ。
強敵が相手でも、すぐには殺されない程度には。」
「いや、エドワードには強敵と闘わせたくない。
自分の身を守ること。
それだけを意識してくれ。
あと、余裕があれば役員たちを守って欲しい。」
俺は、エドワードにお願いした。
「かしこまりました。
少しでもお役に立てるように頑張ります。」
本当にエドワードは律儀だ。
そして、
俺達はエドワードの部屋をあとにして、
目的の場所に向かうのであった。
T国大使館である。
まずは、近くのビルの屋上に行く。
そして、周囲に誰もいないことを確認して
着替える。
そう、正義の味方に変身だ。
日向がマスクと衣装を作ってくれた。
俺はエドワードを屋上において
T国大使館まで超高速で飛ぶ。
裏庭に着地したので正面玄関に歩いていく。
警備員らしき者が声をかけてきたが、面倒くさいので
気絶してもらった。
そのまま、目的の部屋までいって鍵を開ける。
「誰?」
「変態?」
2人の少女がT国の言葉で俺を馬鹿にする。
確かに「うんこマン」の衣装はかっこよくないのだが
日向が一生懸命、夜なべして作ってくれたのだ。
マスクは、白地に額にうんこマーク
白のピッチリしたタイツなので、モッコリしている。
マントは黄色で、やはりうんこマークは忘れない。
「私は、正義の味方、うんこマン
君たちを助けに来たよ。」
俺がT国の言葉で話しかけた。
その瞬間、
後ろから大勢の黒スーツの人たちがやってきた。
「何者だ?」
「ブリッと参上、うんこマン。正義の味方だ。
悪の手下ども、かかってこい。」
うん。これ小さいときからやってた。
いつもは、やられていたけど。
今日は負けられない。
「あの変態を捕まえろ。」
変態とは失礼な。
「うんこチョッツプ」
「うんこキック」
「うんこパンチ」
「そして、とどめだ。
うんこビーム」
数秒で、20人程度をやっけた。
「かっこいい。」
「正義の味方って本当にいたの?」
尊敬の声が上がってくる。
しかし、こんなところにいつまでも
こんな格好でいられない。
「君達、ここから脱出だ。」
おれは、そう言って、少女2人を
抱きかかえて、
窓から、近くのビルの屋上まで飛び立った。
「エドワード君、この子達を頼む
私はうんこ星に帰らなくてはならない。
このことは、誰にも内緒だよ。
それでは、さらばだ。」
そう言いながら、恥ずかしそうに
着替えを持って高速で飛び立った。
「うんこマーン。
ありがとーう。」
少女たちが、おれにお礼を言ってくれた。
俺は飛び立った後、近くのビルの屋上に降り立った。
あの子たちは、エドワードが内閣情報局に
連れて行ってくれるだろう。
議員の中に、少女売春の記憶が見えたのだ。
売春される前に助けたかった。
さすがに、俺には関係ないが見過ごすことは出来ない。
内閣情報局には貸しだ。
これで、T国の弱みを握った。
しかし、買う方もこの国のお偉いさんだ。
結局どうなんだ?
このあとのことは、国に任せる。
T国も、しばらくは、
この国で少女の売春はしないだろう。
俺は、スーツ姿に着替え、何事もなかったように
会社に向かうのであった。
「和也さん。役員会を開きます。
会議室へお願いします。」
日向に、会議の出席を頼まれた。
「今日の議題は、国のモデル事業の参加についてです。
和也君、説明をお願いします。」
日向が議長を務める。
「はい。
それでは、説明します。
テーマは、多様性です。
生態系を考えるとき、多様性が重要となります。
これは、人間社会でも一緒で
・・・・・・・・・・・・・
以上です。」
俺は50分かけて説明を終えたが・・・・
「難しい話ですね」
「そうね。何となくわかるのですが。」
「結果として、うちの会社の利点は?」
「なるほどね。和也君」
いや。
希美ちゃんだけが理解しているパターンが
一番怖い。
「つまり、
利益や効率化を求めていくと
人間がいらなくなる。
生き残るのは大企業だけ。
でも、収入の少ない人が多くなれば、
大企業も結局は潰れてしまう。
そこで、今回の事業が重要になるってことね。」
あれっ?????
希美ちゃんの話をスルーするはずが、
調子が狂うぞ。
「そ、そうです。
効率化といっても実は効率は良くないのです。
電気だって、遠くまで運ぶのに相当なロスがある。
食料だって、何だって。
家を建てるのだって、よく考えると効率は良くない。
ただ、安価になる仕組みなだけ。」
仕方ないので、希美ちゃんの話を補足した。
「つまり、実は効率化するということは
地産地消。
各地域での経済圏を作ることが重要で、
その為には、
各地域ごとに需要を解決する必要があり、
各地域に多様性の物や職業が必要ってことかしら。」
な、何で?
俺の言おうとしたことがわかるのだ。
希美ちゃんが・・・・・・・
ん?
何か、手に持っている紙を隠しているぞ。
あれは、もしかして、
俺のプレゼンの原稿。
どこかに無くしたと思っていたら。
泥棒社長だったのか。
まあ、いいか。
「理解出来ましたわ。」
「なるほど、多様な職業が必要なら
働くことが出来る。」
「うちの社員も働けるかもしれないね。」
「私の説明で、理解できたようね。みんな。」
希美ちゃんが偉そうにしている。
カンニングして良い点とったのに、
自慢している奴のようだ。
「それで、モデル事業は
うちの会社に長年協力くれているT町にしようかと。
ありふれた町だし、モニタリングには最適かと。
T町も乗り気になってくれています。
選ばれるかどうかは、わかりませんがね。」
俺は提案をまとめた。
「では、和也さん。国への申請を
T町と協力してお願いしますね。」
日向が、議事をまとめ、役員会は終了した。
おれは、すぐに資料の作成と、
T町との日程調整を行ったのだが、
その時、エドワードから電話がきた。
「和也さん。子供たち2人ですが、
私の子にしてよろしいでしょうか?」
「はい?
そっちの趣味があったの?」
「違いますよ。
国の方で、難民で認定して、
その後、永住許可なり帰化させる方向で検討
しているのですが、
どちらにしろ、
養育者が必要となるらしいのです。」
「あーそっか。
親に売られたわけだから国には返せないよな。
養育者は里親とかを探すのかと思っていたけど。」
「まあ、子供たちの気持ちが重要ですが、
私が帰化して養育する条件で、
子供たちの帰化と養子縁組を
特別に認めてくれる話になったのです。」
「ありゃすごい。
エドワードって信頼あるね。
エドワードはそれで良いの?」
「はい。
これも何かの縁ですし、
私には、家族がいません。
ですから、私の希望でもあります。」
「それなら、良いんじゃない。
でも、子育てって大変だよ、きっと。
俺もわからないけど。
しかも女の子・・・・・・
うん、とりあえず、小娘役員達にも話しておくよ
役に立つかもしれないからね。」
「お願いいたします。」
俺とエドワードの会話は終わった。
そして、小娘役員達に話すのだが
説明が難しい。
「実は、T国大使館から
10歳の女の子2人をさらって
国に預けたら、エドワードが、その子達の親に
なることになりました。」
「よく意味が解りません。和也さん」
日向が疑問を投げかけてくる。
「和也君、少女に興味があったの?
そこまで、病気が進行していたの?」
希美ちゃんが、話をややこしくする。
「違います。売春されそうになった少女を
うんこマンに変身して助けたんです。」
「あー。だから私に正義の味方の衣装を
お願いしたのですね。」
日向が、なんとなく理解してくれた。
「しかし、よくT国大使館から少女をさらう
ことが出来ましたね。
また、お知り合いでもいたのですか?」
倫花が、一番聞かれたくないところを聞いてきた。
「そ、そうなんだ。
ハハハ」
「また、危険なことばかり。
気を付けて下さい。」
琴美が心配してくれる。
「和也君。
T国大使館なら言ってくれれば私が
さらってきたのに。
結構、あそこの建物は理解できて来たのよ
最近。」
えっ?
希美ちゃん、どうやって忍び込んでいるの?
U国大使館の時もそうだったけど。
底力が見えない。
「ハハハ。
そうなんだ。
でも、今回は知り合いがいたからね。」
俺はそう言って誤魔化した。
本当に後でT国大使館に知り合いを
作っておこうと思う俺であった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
仕事が終わり
俺と小娘役員4人はエドワードの部屋に伺った。
エドワードは珍しく料理をしていたらしく
エプロン姿だ。
「あら可愛い子達ね。
お名前は?」
「・・・・・・・・・」
日向の言葉が理解できない。
なので俺が通訳する。
「マイ」
「エミ」
2人の子供は答えた。
どうやら、エドワードが名前をつけたようだ。
「和也さん。すごいですね。
T国の言葉がわかるんですか?」
日向が驚いた。
俺は爺が学習してくれるので、ある程度
他国の言語も話せるのだ。
エドワードもT国の言語は話せる。
「いらっしゃい。
和也さん。
これから、この子達に言葉を教えなくては
なりませんね。」
エドワードが楽しそうに話す。
結構、子煩悩だったのか。
俺は、初対面のように彼女たちに話しかけた。
「初めまして、和也と言います。
エドワードの友達です。
これから、宜しくね。」
「よろしくお願いします。」
「お願いします。」
2人とも緊張している様子だ。
「なんか、うんこマンに似てるね。」
「そうかもよ。何か似てる。」
「正体を隠しているのかもね。」
「うんこ星には帰っていなかったのかな。」
「後で、うんこマンか、聞いてみる?」
「駄目よ、内緒だって約束したじゃない。」
君達、聞こえているよ。
やばい。
うんこマンの正体がバレそうだ。
正義の味方は正体を隠しているから
かっこ良いのだ。
しかし、2人とも目が大きくて可愛い。
マイは美少女タイプかな。
エミは可愛い感じ。
そして、
役員達と言葉が通じなくて良かった。
内緒の約束はしたが
子供を抱えて空飛んじゃったからな。
話されたら大変だった。
エドワードが食事を運んでくる。
エビチリ
マーボー豆腐
春巻き
八宝菜
etc
ふっ。
なかなかやるではないかエドワード。
まあ、料理の素を使っているようでは
まだまだ、使用人にはなれないがな。
俺は、何故か対抗意識をエドワードに向けた。
「あら、エドワード、私たちの分まで」
「エプロン姿も素敵ですね。エドワード」
「本当。料理のできる男って素敵。」
こんなセリフを俺に行ったことがあったか?
マイとエミもエドワードになついている。
ハンサムボーイはモテるのだ。
「よく、この子達の親になろうと決めましたね。」
日向が、エドワードに尋ねた。
「実は、私も養子なのですよ。
養親には、色々教わって、
資産まで残してもらって。
ですから、これも何かの縁かと。
あと、結婚はあまり興味が無いのですが
子供は欲しかったので。」
エドワードが答えるが。
そうか。
この子達。
エドワードの財産を引き継ぐのか。
シンデレラガールどころじゃないな。
「結婚に興味ないのですか?」
日向が再度、エドワードに尋ねる。
「そうですね。
結婚したら、色々な女性と遊ぶことが
出来なくなるじゃないですか」
なんて、発言を爽やかに。
女性の敵ともいえる発言だぞ。
これで、みんなのエドワードの見る目が
変わるだろう。
ザマーミロ。
ハンサムボーイ。
「やさしいのですね。エドワード」
「そうね。気持ちはわかるわ。」
「浮気するなら結婚するなですよね。」
あれっ?
好印象なの?
そういうものなの?
だったら俺も。
「俺も、エドワードと同じかな。」
「和也さんは、そんな甲斐性がないでしょう。」
「女遊びも出来ないくせに」
「何人も女性を相手に出来ないでしょう」
何故か、説教された。
なんなんだ?
本当に、世の中って理不尽だ。
会話に入らない希美ちゃんは、
子供たちと遊んでいる。
言葉も通じないのに楽しそうだ。
多分、うんこマンごっこだ。
うんこマンビームとかやってるし。
それは女の子がやっては駄目だから。
というより、
うんこマンが内緒じゃなくなってしまう。
今日は、子供たちを交えて食事だ。
マイもエミも美味しそうに食べている。
箸を持つのも上手だ。
「エドワード、子供達には君が親になること
話したの?」
「はい。
それは一番最初に。
私たちは、親に売られたと・・・・・・
今度はどこに売られるのかと聞かれたので
生涯守ってあげると言いました。」
「自分たちが売られたのを知っていたの?」
「はい。
そしたら、
2人とも急に泣き出して・・・・・・・
ずっと怖かったと。
信じて良いのかと・・・・・」
「そりゃ、すぐには信じられないものな」
「ですから、
信じてもらえるように努力するよって
抱きしめました。
それから、ずっと大泣きでしたが
落ち着いたら、子供になることを
了承してくれました。」
俺とエドワードはこの国の言葉で会話した。
子供たちに会話の内容がわからないように。
やばい、涙腺が弱くなっている。
しかし、腹が立つ。
どんな事情があったとしても子供を売るなんて。
少女を買おうとする奴にも腹が立つ。
しかも、すべて金だ。
世界には、俺たちが知らないことが
沢山あるのだろう。
知ってしまえば、腹が立つことや
悲しくなることなども沢山あるのだろう。
では、知らなければ良いのか?
知らなければ、
それはそれで情報操作をされてしまう。
駄目だ。考えがまとまらない。
俺は、エドワードと会話を続けた。
「だけど、女の子だから
生理とか、
男ではわからないこともあるんじゃない。」
「そうなんですよ。
2人とも生理は始まったばかりらしく。
生理用品なども買ってきたのですが。」
「学習机とか、ベットとかも買わないと
いけないんじゃない。」
「学習机やランドセルなどは頼みました。
ベットは、とりあえず、私のベットで
3人で寝れば良いかなと思っています。」
「いやいや。
まずいでしょ。
生理始まっているんでしょ。
男と女が同じベットで寝るなんて。」
「だって、親子ですよ。
そんな気持ちになりませんよ。」
「いや、エドワードが
そんな気持ちにならなくたって
子供たちはわからないじゃん。
しかも、エドワードって裸で寝てるし。」
俺は、思ったことをエドワードに告げた。
「そうね。エドワード気を付けた方が良いわよ。」
「最近、エドワードも和也さんと同じように
ムラムラするときあるものね。」
「そうそう。最近、エドワードに魅力を感じる。」
ん?
最近。
もしかして。
「和也よ。精神エネルギーが大きくなると
メスの本能を刺激するのかもしれんのう。」
爺が、俺と同じ考えを話してきた。
なるほど。
であれば、俺の精神エネルギーを開放すれば
小娘役員どもはどうなるか。
フフフッ。
小娘ども、後で見ておれ。
「あの、お、お父さん。何を話しているの?」
「お、お、お父さん、食べないの?」
マイとエミがエドワードに話しかけた。
お父さんって言葉が照れくさそうだけど。
「・・・・・・・・・」
エドワードが泣いている。
「どうしたの?和也さん。」
エドワードが泣いたので、日向が俺に聞いてきた。
「多分、子供達にお父さんって呼ばれたからかな。」
日向、倫花、琴美ももらい泣きをし始めた。
そんな、泣いたら俺だって。
涙腺が壊れてしまう。
しかし、
心のない小娘がいた。
希美ちゃんだ。
「お父さんが、お父さんって呼ばれて泣くの?」
「希美、あなた人間の心があるの?」
「そうよ、エドワードの気持ちわかる?」
「辛い思いをしてきた子達が・・
エドワードをお父さんとして受け入れた・・・」
うわーん。
日向、倫花、琴美がまた泣く。
俺の心にも突き刺さる言葉。
子供たちが不思議そうに、この光景を見ている。
「どうしたの?お父さん。」
「私たち、何かした?お父さん。」
「何もしてないよ。
お父さんって呼んでくれて嬉しくて
泣いてしまった。」
ハンサムボーイが子供たちに正直に話した。
エドワードって繊細だったんだ。
希美ちゃんもバツが悪いらしく、唐辛子を
食べて泣こうとしているが泣けていない。
普通、ワサビでしょ。
ここは、話題を変えるしかないな。
「エドワード。
とりあえず、別々で寝た方が良いと思うけど。」
「そうですか。
では、子供達にも説明します。」
そう言ってエドワードはマイとエミに話しかけた。
「別々で寝た方が良いって皆が言うんだ。
今日は一緒に寝るけど、明日からは別々で寝ようね。」
「わかりました。」
「私も。」
なんか遠慮しているみたい。
一緒に寝たかったのかな?
その光景を見て小娘役員どもが
「一緒に寝た方が良いですよ、エドワード」
「そうね。気持ちが落ち着くまで」
「子供たちに寂しい思いをさせないで」
「和也君がいけないんだ。悪い奴だ。」
女って。
俺が悪者になるじゃねーか。
仕方なく俺は、
「すみません。
エドワード、一緒に寝て下さい。」
「ハハハ
皆さん心配してくれてありがとうございます。
子供たちが落ち着くまでは一緒に寝ますよ。」
そう言ってエドワードは子供たちに
「遠慮はしてはいけないよ。
親子なんだから。
自分の意見や気持ちは言ってね。
わがままとは違うのだから。
しばらくは、お父さんも一緒に寝たいから
寝てもいいかな?」
「うん。」
2人は同時に嬉しそうに返事をした。
あら、エドワード。お父さんっぽい。
何か、この親子うまくいきそうだ。
俺は安心したが、
しかし、
いつもいつも、俺を変態だの悪者だの
決めつけやがって。
フフッ。
そうだ。
俺の魅力を思い知れ。
俺は希美ちゃんに向けて
精神エネルギーを開放した。
・・・・・・
アレッ?まったく反応がない。
精神エネルギーで
メスの本能が反応するんじゃなかったのか?
日向、倫花、琴美で試してみよう。
俺は希美ちゃんに向けた精神エネルギーを
3人に向けた。
何か、3人が俺を見てモジモジしている。
少し、頬が赤らみを帯びているし、
口が半開きになってきている。
これ以上は危険だ。
俺は急いで精神エネルギーを回収した。
「和也さん、
一体何を先ほどからしているのですか?」
エドワードが俺の行動に気づき質問してきた。
「いや、実は、精神エネルギーでムラムラするか
試してみたんだ。
3人は何となく、そんな感じだったんだけど
希美ちゃんは全く効かない。」
俺は小声のT国で答えた。
「ハハハ。
なるほど、面白い実験です。
人によって効果が違うということですね。」
「そう。それを確かめたかったんだ。」
俺は決して希美ちゃんに仕返しをしようとは
言えなかった。
「なるほど、私の精神エネルギーが
大きくなっているので、
子供たちを心配したのですね。」
「そうなんだ。
でも、人によって違うなら
大丈夫じゃない。」
「ありがとうございます。
私も精神エネルギーを内に秘める
修行をしますよ。」
なんだか、誤解してくれたみたいで
良い方向に話が進んだ。
酒を飲みながら話は盛り上がっていったが
子供たちは眠った。
エドワードは自分のベットに寝かせた。
よほど疲れていたんだろう。
爺が記憶が見たが、何も知らない子供が
泣きながら親元から離されていく。
親も泣いていたようだが、
だったら、売るなよと腹が立つ。
しかし、
やむを得ない事情があったのかもしれないし
誰を攻めればよいかわからない。
俺は、うんこマンになれば正義の味方だが
正義の味方など、本当はいないのだ。
全ての人の共通となる正義自体が。
そんなこんなでお開きになるのだが、
3人がヤバイ。
先ほどの俺の精神エネルギーの影響で
エロモード全開である。
いつも仕返ししようとして失敗する。
「我慢も限界です。
今日は寝かせませんわよ。和也さん。」
「そうね。私も駄目ですわ。和也さん。」
「どうせなら、まとめてでも良いですよ。
和也さん。」
顔がヤバイ。
メスと化している。
やばい。
これはヤバイ。
俺はゴメンと心でつぶやき
精神エネルギーを3人にぶつけ
寝てもらった。
「いや。すごいですね。
和也さん。
精神エネルギーというのは。
本当に、私も修行をしなければならないと
思えましたよ。
これを、教えたかったんですね。」
「そうさ。エドワード。
力というのは使い道を間違うと
とんでもないことになる。
それを教えたかったんだ。」
俺の行動をエドワードに正当化した。
しかし、希美ちゃんは平然と呑んでいる。
少しくらい、俺に魅力を感じてくれたって
良いと思うのだが。
「3人は、寝ちゃったの?
部屋に帰ったら、呑みなおすからね。
和也君。」
「はい。承知しました。」
俺と希美ちゃんは3人を残して
俺の部屋に行く。
ん?
2人きりで呑み明かすのは初めてでは?
「希美ちゃん。
男と女が2人きりで一つの部屋というのは
危険ではないでしょうか?」
「あら?
和也君は、私を女とみてくれていたの?」
希美ちゃんは酔っぱらって絡んできた。
「あたりまえでしょ。
奇麗な女性として見てますよ。」
正直に答えた。
馬鹿だけどね、とは言えなかったが。
「えっ?・・・・・・・・」
何か希美ちゃんが照れているようだ。
あまり褒められたことがないのかな?
「私、酔っぱらっちゃった。
先にコタツで寝るね。」
「そうだね。
明日も仕事だから早く寝ないとね。」
希美ちゃんは、
いつものとおりコタツで寝たので
俺は毛布を掛けてあげた。
「ありがとう。」
はれ?
少し可愛く見えるぞ。
お礼を言うなんて、希美ちゃんらしくない。
コタツの中にいた子猫のランが
いつのまにか希美ちゃんに抱きかかえられている。
「ゆっくり寝てね」
俺がそう言うと
「・・・・・・・・」
希美ちゃんが何かつぶやいたが聞こえない。
ランに話しかけているのだろうか?
そして俺はいつものとおり、寒い台所で
寝るのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここは、高級ホテルの会議室。
いつものメンバーが集まっている。
スマイルデーモンズ幹部会である。
「ハハハ。やはり、
希美様の考えは我々には想像つかない。」
「はい。
わたしも、この事業の提案を見たときは
不思議に思いましたが。
翌々考えると、相乗効果のある事業が次々と
頭の中に生まれてきまして、
予算要求が数千億円になってしまいました。」
「いや、しかし、
今回、その予算に反対した官僚や議員どもは
許せませんな。」
「さよう。
やはり、何か巨大な力が裏にある気がしてならない。」
「そうなんです。
それで、どうやら、希美様は、その巨大な力について
情報収集しているようです。」
「さすがは希美様。
まずは情報収集。
相手の力がわからなければ、戦略を立てなれない。」
「我々に出来ることは無いのか?」
「我々の力なぞ、微々たるもの。不甲斐ない。」
「しかし、希美様は今、自身の戦力を蓄えているかと。
U国大使館にエドワードとか言う資本家の人脈
あと、今回の事業計画を策定した藤原というものも
希美様に言われたとおりに策定したのでしょうが
非常に優秀な社員と思われます。
それに、国の役人とも親交を強化しております。」
「なるほど。
戦力強化か。
我々も、闘いに備えて力を強化するか?」
「我々自身が強化する必要があるな。」
「つまりは、外資勢力やグローバリズム、
資本家にも負けない体制作りか?」
「非常に困難であり、命がけかもしれぬ。
フフッ。
男として、興奮するではないか。
生きている実感が半端でなくなってくる。
これも希美様のおかげじゃ。」
頭のおかしい連中が話し合っている。
しかし、彼らの行動力は半端ではない。
「まずは、この国からだな。」
「そうだな。それから世界を変える。」
そして、
彼らの馬鹿げた会議は朝方まで続くのであった。
第4話(仲間)が消えていましたのでアップしました。