表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のコードネームは「D」  作者: 庵本探
12/24

第12話 力とは

 「何だと。理由を言え」

 理由を聞いても、相手は答えてくれない。

 既に、携帯電話は一方的に相手に切られてしまったのだから。

 

 「畜生。ふさけるな」

 

 この国の闇将軍、田中信一郎は激怒した。

 今回の仕事から降りる?

 もう連絡はしないでくれ?

 ジャックごときが、この俺を舐めやがって。

 俺を怒らせれば、この国での裏活動が出来なくなるというのに。

 何故だ?

 

 そうなのだ。

 ジャックたちは、

 自分達の諜報活動費の一部をを裏活動で稼いでいた。

 表に出ないお金を稼ぐために。

 主に麻薬であるが、他にも

 T国など海外輸出禁止のものをU国経由で密売。

 そして、禁止されれば、されるほど、

 ジャックたちにとっては金になる。

 まあ、諜報活動費と言いながら私腹を肥やしているのだが。

 

 当然、ジャック達にとって、

 諜報活動をする国のパイプ役が必要になるのだが。

 それが、田中信一郎であった。

 

 元浣腸マンのDVD事件もT国から田中信一郎へ依頼があり、

 田中信一郎からジャックへ連絡がきたのだ。

 情報を漏らすものは始末しろ。と

 当然、田中信一郎は、国家機関ともつながっている。

 公安だろうと警視庁であろうと。

 浣腸マンが公安に相談したのは失敗だったのだ。

 公安に田中信一郎ルートにつながる職員がいたからだ。

 

 田中信一郎は考える。

 

「ジャックは、もう駄目だ。

 今度、お会いするとき

 あの方に報告をして、別の者に変えてもらおう。

 まあ、ジャックは消されるだろうがな。

 本当に馬鹿な奴だ。

 しかし、どうするか?」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 和也と爺も考えていた。

 ジャックの記憶では、田中信一郎の居場所がわからない。

 携帯電の番号はわかるが、こちらから電話をするのは馬鹿だろう。

 ジャックには悪いが、田中信一郎とは手を切らせた。

 そして、田中信一郎は潰すから安心しろと伝え、

 何かあったら連絡しろと、携帯の番号を教えてきた。

 

「爺。ここは、スパイとしてどう動いたら良いと思う。」

「そうじゃな、コードネーム「D」よ。

 とりあえず、儂もスパイとして、

「コードネームが欲しいのじゃが」


 名前も無いのに、コードネームが欲しいんだ。

 俺は、あまり考えずに

「爺のコードネームは「G」で良いんじゃない。

 GOD(神)の「G」、かっこいいじゃん。」

「おおおお。かっこよいの{G」

 ん?爺?G?爺?G?・・・・変わらんじゃないかい。」


 俺は、「G」をスルーして考える。

 どうするか?ジャックとは電話番号を交換したし、

 精神エネルギーで監視をしていいるから、

 身の安全は多少確保できるだろう。

 何かあっても自業自得だ。

 ジャックは俺の中で仲間ではないから、どうでも良いのだが、

 俺の都合で、立場が悪くなっているので多少、助けてやりたい。

 

 因みに、このジャック。爺に頼んで結構、過去まで遡って

 記憶を見てもらった。

 もしかしたら、希美ちゃんのお父さんの件と関わっている可能性

 があるからだ。

 しかし、何も無かった。

 もし関わっていたら・・・・・・・・・・・・・・


「なあ、爺。田中信一郎に電話してみるか?」

「どういうことじゃ?

 儂らのことを調べてくれと言っているものじゃぞ」

「ああ。そうしてもらおう。

 もし、電話に出たら・・・・・・・・・・・・・・」


 俺と爺は作戦会議をする。

 

「ふむ。いつも感心するが、「D」は策士じゃのう」

「いや、「G」がいるから、考えられるんだよ。」


 俺たちは、心の中で笑いながら実行に移す。


  ・・・・・・・・・・・・・・・・


 見たことのない電話番号からの着信だ。

 普段なら出ることは絶対に無い。

 そう。普段なら。

 しかし、今はわけがわからないことが起きている。

 この電話を出れば何かがわかるかも。

 田中信一郎は電話に出ることにした。


「もしもし」


 田中は、自分の名前は名乗らない。


「田中信一郎さんの電話でよろしいでしょうか?」


 俺の名前を知っている。やはり。


「はい、そのとおりですが。」


 田中信一郎は、相手の対応を待つ。


「私、株式会社のぞみ従業員、藤原和也と申します。

 実は、田中さんが、

 うちの会社にちょっかいを出しているようなので。

 まあ、私ひとりで、すべて潰していますが。

 面倒くさいので、お話合いが出来ればと思いまして。」


 田中は愕然とする。こいつひとりで?

 藤原和也。こいつが元凶?

 こいつを潰せば良いのか?

 こいつがいなくなれば、俺の普段の生活が戻るのか?

 馬鹿な奴。

 陰でコソコソやっていれば少しは長生きできたものを。


「色々と知っているようですね。

 まあ、勘違いをしていることも多そうなので。

 一度、お話をしましょう。

 場所など希望の場所はありますか?」


 田中信一郎は、単純な思考しか出来なくなっていた。

 どこで会っても良い。

 いや、会う前に始末しても。

 早くこいつを消したい。


「いや、もし、今日、田中さんの御都合がよろしければ、

 田中さんが指定する場所で結構ですよ。

 ひとりで伺うので安心してください。」


 ハハハハッハ。今日。しかもひとりでだと。

 何十人でも連れてきて良いぞ

 俺の知らないところで愚連隊のようなものでも組織したのか?

 少し計画を潰したぐらいで自信過剰になっているのか?

 まだ、こいつ若いな。

 まあ良い。お言葉に甘えようではないか。

 

 田中信一郎は、頭を回転させ計画を練って和也に話す。


「では、お言葉に甘えて。

 ホテルワールド・・・・の最上階5001号室で

 午後1時で如何ですか?」


 フッ。良かった。乗ってくれた。

 和也は安心した。

 自分の名前だけ教えて、電話を切られたらどうしようかと。

 ただ、田中も

 俺が適当な名前を言っている可能性も否定できなくて、

 俺の話につられるとは思っていたのだが。


「ありがとうございます。では、後程」


「和也。いや「D」。

 良かったのう。電話に田中が出て。」

「そうだね。「G」

 今度は、機関銃も出てくるかもしれないよ。」

「さすがにそれは無いじゃろうが。

 あっても問題は無いじゃろう?「D」」

「そうだね。」


 俺たちは安堵した会話をして、とりあえず

 極旨屋のラーメンを食べに行くのでった。


午前12時45分


 俺たちは、ホテルワールド・・・・のロビーに着いた。


「ふーん。ホテルのロビーって、こんなに殺気づいてるんだっけ?」

「そうじゃのう。たいしたものじゃ。

 これだけの人数が。

 暇な奴が多いのじゃのう。」


 20人はいるだろうか?

 俺たちへの視線が熱い。

 何があっても対応できるようにか?

 まあ、何十人だろうが、何百人だろうが関係ない。


 俺と爺はエレベーターに乗り最上階の50階のボタンを押す。

 しかし、高級ホテルだな。

 ここの宿泊料一晩は、俺の家賃2年分くらいあるんじゃねえか。

 そう思うと腹が立ってきた。

 風呂入って、寛いで、寝るだけだろう。一緒じゃねえか。

 そんなことを思いながら。

 最上階に到着。さてと。


 俺たちがエレベーターから降りると。

 エレベータはすぐに下に向かった。

 連係プレーかな?

 そして、各部屋からゾロゾロと色々な人が出てくる。

 100人くらい?

 幼稚園の演芸会ではないのだから、

 そんなに、息を合わせて出てこなくても良いのに。

 客は俺一人しかいないのだから。


 田中信一郎は、5001号室の部屋で待つ。

 廊下で、藤原和也とかいうものを始末しても良いのだが、

 色々と聞きたいこともある。

 自分の力を誇示させて、心を折ってやろうかと。

 まあ、命乞いするなら、使ってやっても良い。

 いくらかは使えそうな人間ではありそうなのだから。

  

 「ガチャ」

 扉が開く。


「初めまして、田中信一郎さん」


「?」


「お前ひとりか?」


「そうですけど。何か?

 そちらのソファーにかけてもよろしいですか?」


「え?いや。え?」


「ああ。廊下に出てきた方々は、何故か、私を抑えようとしたので

 ぶち倒しておきました。

 弱すぎですね。あれならうちの社長の方が強い。

 あたなを殺す準備運動にもならない。」


 田中信一郎は、走り出して廊下に飛び出す。

 廊下は地獄絵図のようになっていた。


「なんじゃこれ?

 何が?何が起きた?」


 そして、俺を見るが、まだ現実が見えていない。

 俺を殺す?

 俺が殺される?

 逃げなければ。

 しかし、田中信一郎は足が動かない。

 これまで経験したことのない恐怖。


「さて、お話をしましょう。

 田中さんは、そのドアの入り口で私とお話をするのですか?

 お客に対して失礼だと思うのですが」

 俺はそう言って、一瞬で田中のもとに移動して、

 ソファーにぶん投げた。


 俺もソファに戻り、ぐったりと高級ソファーを味わいながら

 和垂れかかった。


「さて、わたしが勘違いしているところがあるということですが

 どのようなことでしょうか?」


「・・・・・・・・・・」


 田中信一郎はまだ現実が見えていない。

 何を話せば良いのか。

 こんなはずではなかった。

 今までは、自分の描いたことが現実となった。

 しかし、今は違う。

 しかも、俺がこの場で死ぬかもしれない。


「お話ができないのなら、私から。

 あなたが、デュランという方から指示をうけて、

 株式会社のぞみを潰すことになったことは、わかりました。

 聞きたいのは、

 これからも、株式会社のぞみを狙うのかということです。」


 爺が記憶を見てくれたのだが、今回はいつもと違う。

 このデュラン。

 相当な奴である。この田中信一郎が崇拝するほど。

 人あらざる者、という感じだが。

 いつものとおり、恐怖を植え込んで、どうこうできるか

 疑問なのである。


「お前は、何者なんだ。本当に人間なのか?

 あの方でも。そこまで。

 いや、あの方はもっとすごい。

 ハハハハハ。

 私を殺したければ、殺せ。

 そのかわり、おまえもただでは済まぬ。

 わたしは、何も話さない。」


 やっぱり。

 別に話を聞かなくても爺が記憶を盗んでいるから

 構わないのだけど。

 田中信一郎の記憶の中で気になることがあった。


「あっ。そう。

 なら、仕方ない。

 デュランに田中さんから色々話を聞いたと言って。

 会うことにしよう。

 今はデュランはスイスにいるんだろう?」


「何故、お前がデュランさんのことを。

 や、やめろ。俺が裏切ったことになるではないか?

 ふざけるな。

 それだけは、止めてくれ。」


「では、どうする。

 俺は、お前らの邪魔をする気はない

 ただ、うちの会社にちょっかいを出すなら、阻止するだけ。

 それだけなんだけど」


 しばらく、田中信一郎は考える。そして


「もう。勘弁してくれ。

 どうして良いか。俺にもわからない。

 お前たちの会社は危険なんだ。

 あの方の理想の社会を実現するために。

 お前たちに邪魔はさせない。」


「ほう。

 戦争やテロのない世界

 という社会ですか?」


 田中は固まる。こいつは何もかも知っている。何で?


「何で、それを?」


「すごいですね。

 確かに、戦争やテロのない社会。

 すばらしい。確かに理想的な社会だ。

 目的はすばらしい。

 しかし、それを実現する為の手段が私の正義と違いますね。 


 ・文化の違いを無くす。

 ・世界中の人々の思想を同じにする。

 ・情報を管理する。

 ・人間を管理する。

 ・人と人のつながりを無くす。

 ・国という概念を無くす。・・・・・・


 この手段さえも理想ためなら正しいと?」




「おまえらでは、理解できないのだよ。

 崇拝な考えが。

 理想を実現する為には、正しさなんて関係ない。

 犠牲だって仕方がない。

 大部分の人間は管理された方が

 幸せなんだよ。

 理想を実現する為には、力が必要なんだよ。力が。

 あの方には力がある。

 知識と金が。」


 俺と爺は頭にきた。


「ふざけるな。

 お前の言い訳なんか聞きたくない。

 単に、自分の良心に言い訳しながら、

 お前が私腹を肥やして生きているだけじゃねえか。

 人の幸せを勝手に決めつけているだけじゃねえか。

 その為に、人の正義を抹殺しているだけじゃねえか。

 その為に、泣く人が・・・・・・

 ふざけるんじゃね―――。」


 俺は怒鳴った。


 田中はびっくりして固まっている。


「お前・・・・

 野々村真一、栗山智之、記憶が残っているだろう。」


 そう、希美ちゃんのお父さんと、

 お父さんの同僚の人だ。


 田中信一郎は思い出す。

 国の中でも大きな力を持つ財務省。

 2人とも、こちらの計画を邪魔する奴等だった。

 著名な専門家による洗脳、海外の偽情報、

 内閣やマスコミからの圧力

 これらに屈せずに反論してくる。

 そして、こいつらに同調する官僚どもが増えていく。

 消さなくてはと思った。存在を。・・・・そして。


「何を知っているかしらないが

 俺は何もやっていない。」


 俺は頭がブチ切れそうになった。

 殺すことは簡単。いや、簡単ではない。

 俺の正義に反するから。

 しかし。

 この怒りをどうしたら?


「和也よ。

 体を入れ替えよ。

 この儂がこいつを。」

「・・・・・・・」


 違う。

 俺が手を出さなければ俺の正義が守られるわけではない。

 爺が殺せば、俺がやったわけではない。

 そんな言い訳・・・・

 こいつと一緒じゃねえか。


「爺、ごめん。

 心配かけたね。もう大丈夫。」


 俺は落ち着いた。

 いや、落ち着いたふりを自分自身に見せつけた。

 そして、

 間接的に人を殺して、自分の正義を語っている奴にはせめて。

 と思い。


「爺、頼みがある・・・・

 出来るか?」

「うむ。儂も賛成じゃ。

 初めてだが、やってみよう。」


 そして、


 田中信一郎は、倒れこんで体を縮めて震え続けている。


 爺に頼んだのは、

 田中信一郎に間接的に指示されて殺した奴らの記憶。

 どのように殺したのか。

 残虐な殺し方を見せている。

 直接人を殺したことが無く

 自身に危機が無く、優雅に暮らしている田中のような

 精神エネルギーの小さい奴では精神が持たないであろう。


 爺が見た、C国の黄金龍会の奴等の記憶だ。

 あわせて、ジャックと同様に頭の中で拷問した。


 暫くすると、

 頭から毛が抜け落ち、よだれを垂らし、

 股間を濡らした田中信一郎の姿があった。

 精神が崩壊したようだ。


 殺してはいないが、結果は同じようなものだったか?

 しかし、この結果は、俺の正義に反していない。

 いや、反していたか。心が痛い。

 結果、小娘4人組の危険はしばらくないだろうから

 目的は達成した。

 しかし。


「カツラさんが、新しいカツラを開発しているから期待しろよ」

 

 こいつの精神が少しでも正常に戻ることを期待しながら、

 俺はそう言って、部屋を後にしたのであった。




「爺。悪かったな。

 嫌な事させて。すまない。俺がやったことだ。」


「いや、和也よ。儂だったら、殺しておったわい。」


「自分の正義と人の正義は違う。

 だから、争うのは仕方ないと思っているんだ。

 だけど、自分の正義が正しいと思い込んで、相手の正義を

 力づくで消してしまうのは違うと思っている。」


「ふむ。田中信一郎にしたことが、力づくで消してしまったと。」


「そうだね。どうしたら。良かったんだろう?」


「わからん。

 しかし、考えて、考えて、苦悩するしかないじゃろう。

 仕方なかったで終わらせないことじゃな。」


「うん。」


 俺は、爺の言葉を心に置いた。



次の日


「和也さん、元気がありませんね。大丈夫ですか?」

 日向が心配して俺に声をかける。


「和也さん、疲れたのなら精力ドリンクありますよ。

 それとも、お布団轢きますか?」

 倫花が元気をつけてくれようとする。

 あと、会社にお布団はありません。


「和也さん、えと。大丈夫ですか?」

 うん。琴美は可愛い。


 何とか日常が戻ったような感じである。

 皆の顔を見ると元気がでてくる。


 まあ、田中信一郎が崇拝するデュランについては、

 もう少し、

 俺の中で答えが出てから動くことにした。

 答えは見つからないかもしれないが。


 俺は確かに力を得た。

 今なら邪心を持ちながら覗きも出来る。

 しかし、俺の正義が許さないからやらない。

 俺の修行の原動力だったのだが。

 

 俺は変わったのか?

 力を得て、変わってしまったのか?

 お金持ちになって変わる者もいる。

 権力を持って変わる者もいる。

 人脈を持って変わる者もいる。

 知識を持って変わる者もいる。

 栄光を持って変わる者もいる。

 力とは?

 

 ダメ男だったのに。

 ダメ男らしくない。

 そして昨日の件で

 俺が嫌いなことを、俺がやってしまった。

 そんなことを自身に問いかけている。

 

 そんなことを考えていると

 俺の携帯電話が鳴る。

 ジャックだ。

 畜生、

 また、何かあったか?


「ジャック。

 どうした?

 何かあったのか?

 大丈夫か?」


 ジャックは疲れた声で


「あのう。屋根裏で、社長を見つけたので、

 捕まえようとしたら、逃げられました。

 今回で3回目です。

 和也さんから、いい加減、注意してほしいのですが。」


 ハハハハハ。

 笑うしかない。

 本当に希美ちゃんは、面白すぎる。


「ごめんね。ジャック。注意しとくよ。

 でも、何回も屋根裏潜られるなんて、もう少し

 大使館も考えた方が良いんじゃない。」


 俺は、笑いをこらえながらジャックに話した。


「ハハハハハ。まったくです。

 大使館の屋根裏で

 ご飯を食べるなんて、普通、想定していませんからね。

 今度は、屋根裏にお茶でも置いときますよ。」


「すまない。今度、ゆっくり話そう。」


 俺はそう言って電話を切った。

 まったく希美ちゃんは、いつも変わらない。

 ・・・・・・

 きっと、どんな力を得ても。

 

 そして、何となく見えた。

 やっぱり俺はダメ男であること。

 いつも失敗ばかりなこと。

 いつも悩んでばかりいること

 いつも・・・・・・

 本質は何も変わっていないこと。

 そして、俺が俺でありたい思うこと。


 希美ちゃんに感謝するべきかな、


 すると、逃亡中の犯罪者である希美社長が

 何事もなかったように会社に帰ってきた。

 いや、やはり、埃だらけで蜘蛛の巣が頭についている。


「希美ちゃん、いや社長、

 U国大使館の屋根裏に潜るのは、もうやめてください。

 ジャックからお怒りの電話が来ましたよ。」


 俺は、ジャックとの約束どおり注意した。


「だって。あそこの屋根裏、落ち着くのよ。

 最近は、守衛の人とも仲良くなって。

 梯子も貸してくれるの。

 受付だって、私はもう、顔パスよ。」


 えっ?大使館の人たちが協力してくれてるの?

 もう、それって、スパイじゃないじゃん。

 


 

 


 

 

 


 

 

 

 



 


 


 



 




 

 




 

 

 

 

このあと、大きな組織が動きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ