愛に気付けたから
こんにちは飽那です。まだまだ拙い文章かとも思いますが、読んでいただけると幸いです。
ジャンル付けが難しいです……。
外に出たら、一面が真っ白だった。
一歩、踏み出す。
キシキシと音が鳴って、気持ちいい。
これは、雪。
ふわふわで、わたあめみたいな、そんなものらしい。
クラは、初めて見る。
クラがいたのは、雪が降らないところだったから。
「ふわふわ!気持ちいい!」
「クラ、そんなはしゃがない!」
お母さんだ!
本当は血がつながっていないらしいけど、クラはそれでもいい。
クラは、森に捨てられてたんだって。
そんなクラをお母さんは拾ってくれたの。
お母さんは、ユエルって言うらしい。
クラの名前は、お母さんが付けてくれたの。お母さんの出身地では、‘‘夢‘‘って意味なんだって。
そしてクラは、今日この地に引っ越してきたの。
初めて見る雪に、クラの心は幸せでいっぱい。
お母さんを置いて雪に飛び込む。
ふわふわで、冷たくて、幸せ。
ここで寝れそう!
そう思ってたら、お母さんんが近づいてきた。
きっと、クラの思ったことに気付いて、何か言いに来たんだ。
「今、ここで寝れそう、とか思ったでしょ?ここで眠っちゃだめよ?眠っちゃたら、死んじゃうかもしれないんだから」
やっぱり、そうと思った。
でも確かに、それはごもっともかもしれない。
クラは、雪に埋もれた体を起こして、返事をする。
「はぁーい」
少し、寂しい。
お母さんはとっても鋭くて、私の考えてること、なんでも気付いちゃうんだ。
だから、いたずらしようと思っても成功したことはない。
むぅ~っ!
出し抜かれてばっかでつまんない!
前に一度、そういったことはあるけど、まともに聞いてもらえなかった。
今日こそ、出し抜いてやる!
1、お母さんをこちょがしてみよう!
お母さんが座ってる椅子の後ろに回り込んで、首に手を入れようとしてみる。
そしたらいきなり、クラの手ははじかれた。
「ク~ラ~!今こちょがそうとしたでしょ!お母さんがこちょこちょ苦手なの、知ってるでしょ!?クラなんて、こうしてやる!」
こちょこちょが苦手なお母さんは、いつもクラがこちょがそうとしたら、仕返しにこちょがしてくる。
お母さん、こちょこちょが上手だから、いつも笑っちゃう。
今日も例外なく、
「キャハハハ!……ギャッ、やめて……やめて…くらさいぃ。おきゃ~さぁん」
「今日はこのくらいにしといてあげる。今度やったらただじゃ済まさないからね?」
そう言って、いつもクラを許してくれる。
こちょこちょは嫌だけど……。
よし、今度こそ!
2、お昼ご飯を作ってみよう!
クラは台所に来たらダメって言われてる。
だから、お料理をつっくて、驚かせてやる!
超絶おいしいお料理を作ってやるんだから!
キッチンに入る。
ん~どう作るんだろ?
初めてキッチンというところに入った。
今まで、入れてすらもらえなかったから……。
「クラ!なんでこんなとこ入ってるの!早く出なさい!」
み、見つかっちった……。
お母さんが起こった顔でこっちに来る。
「ご、ごめんなさい」
「ここには、危ないものたくさんあるんだから!一歩間違えば死んじゃうんだよ!?」
「は、はぁい」
「もうそんなことしないでね?お母さんからのお願いよ?」
「うん。もうキッチンは入らない」
「それでいいのよ?お母さんはご飯作るから、少し外ででも遊んでてね?」
3、……ん~、どうしよう。
お外にでて考えてみても、思いつかない……。
どうしよう……。
どれもお母さんに──
──えっ?
たまたま歩いたところは、雪で続いてるように見えるだけの道だった。
突然のことで、声も上げることなく落ちていってしまう。
幸い、そこまで高い崖じゃなかったのと、雪のおかげで、クラはまだ生きていた。
でも、雪埋もれて動けない。
寒くて、凍えてくる。
寒くて、どんどん震えてきた。
身体も、うまく動かない。
感覚も、なくなってきた。
あれ? どんどん、力が──
「クラ!クラ!」
お母さんの、焦ったような声で、目が覚めた。
「あれ?お母さん?」
「クラ!目が覚めたのね!?よかった、生きててくれて」
あ、そうだ。
考え事してたら、崖に落っこちちゃったんだった!
でも、どうしてお母さんがいるんだろ?
クラの考えてることが分かったみたいで、お母さんが教えてくれる。
「ご飯を作り終わってクラを呼びに行ったんだけど、どこにもいなかったから足跡をたどったの。そしたら、がけ下にクラがいるのが見えて。急いで降りたら、クラが冷たくて、死んじゃかったかと思って……。お母さん、とっても怖かったんだよ?よかった。生きててくれて……」
「ありがとう、お母さん。助けてくれて」
「当り前よ。クラは私にとって、大切な娘なんだから」
その言葉が、うれしかった。
今まで、心の底では怖かったから。
こんな捨てられたクラを、邪魔に思ってるんじゃないかって。
あれもこれもダメって言うのは、邪魔だからじゃないかって。
怖いから、ちょっかいかけて、反応されることに、クラは愛されてるんだって、思うしかなかった。
でも、違った。
クラは、お母さんにとって大切な‘‘娘‘‘だった。
嬉しい。
人のぬくもりって、こんなにあったかかったんだ。
怖かったけど、今はもう、幸せしか感じない。
お母さんの‘‘愛‘‘に気付けて、よかった。
「クラも、お母さん大好き!」
「ふふっ、ありがとう、クラ」
ここまでお読みいただきありがとうございました。誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです。アドバイスや感想も送って下さったら幸いです。