私以外皆正解
不正解、正解、不合格、合格。
選択肢はすべて不正解。
人間検定五級すら不合格。
「人生は選択の連続で、間違いなんてない」
「人生は回り道」
「生きているだけ、ただそれだけでいい」
どこかで聞いたことある。
人の心なんて、他人の人生なんて、聞かなければわからないことだから、目には見えないものだから。私以外皆正解しているように見えてしまう。
成功者の言葉なんて何一つ心に響かない。成功するのは唯一人。成功者の言うことを聞いて、同じようにしたって、大抵の人が夢叶わぬままおとなになる。
才能なんて何一つない。
「努力することも才能だ」
何を言う。
「止まない雨はない」
「神は越えられない壁は与えない」
未来よりも今、詰まってるんだから。
止まない雨がないというのならば、止ませる方法を教えてくれ。
越えられない壁は与えないというのなら、越える方法を教えてくれ。
目には見えない選択肢を日々選び、不正解を選び続け、私の人生は下へ下へと沈んでいく。正解だと思っていた答えでさえ、不正解なのだ。
そもそも、生まれてきたことじたい不正解なのだ。
死こそが唯一の正解なのだ。
「お前よりも苦しい生活をしている人がいる」
「明日を生きられない人だっている」
できることなら私の命をその人達にあげたいよ。
成績優秀とか才色兼備とか、夢を叶えた人とか、人生充実してる人とか、皆、正解の道を歩いてる。
例えば、結婚式で流れる幼いときから新婦が結婚するまでの写真集とか。私はこういう正しい人生を選んできました、あなたの生き方は間違いです、私はこういう正しい生き方をしたから幸せです。って言っているように思えてしまう。
歪んだ考えなのはわかっている。
けれど私は、私以外皆正解の道を歩いてるように思えるんだ。