賢者様は今日も最強です
よし、やるぞ、今日こそ、今こそ決着をつけるんだ。
「あら、珍しいわね勇者様一人なんて、散らかってるけど中にどうぞ?」
いかん、このままではいきなり負けそうだ。
「どうしたの、立ってないで座りなさいよ」
「女賢者、い、いやミア!」
「な、なに、びっくりするじゃない」
やるなら今だ、今やらずしてどうする俺!
「俺達さ、魔王討伐前の訓練時代から、その、仲良くやってたよな?」
「そうね、勇者が異世界から来た当初は剣も握れなくてどうしようかと思ったけど、仲はよかったわね」
「俺が勇者としてやってこれたのもミアのおかげだと思ってる」
「まぁ、勇者もずいぶん頑張ったと思うわよ?」
うん、死ぬ気でやったから、と言うかマジで死ぬと思った事も多いし。いや今はそういう事じゃなくて…。
「あのっ、話があるんだ」
「なに?」
「俺は、俺達は、そろそろつきあってもいいんじゃないかなって! その、思ったりして」
「…なにそれ」
「い、嫌ならいいんだ、無理にとは言わない」
「ちょっとまって、なにそれ、大問題だわ、許せない! 勇者様…、いいえ、ヒロ! それ本気で言ってるの?」
あああ、やっぱりダメだったか、怒ってるものすごく怒ってる。
「しんっじらんない! なんて事!」
とりあえずあやまるんだ俺!
「ごめん! あのっ」
「ありえないわ! あんたがそんな事言うなんて!」
「だからその、いやなら」
「ヒロは黙ってて!」
「はい!」
「いい? 今それを言うって事は、あんた私とつきあってるつもりが無かったって事なの?」
え?
「異世界勇者召喚から5年、照れ屋なんだと思ってたけど、ま・さ・か! つきあってるつもりが無かったなんて!」
ええ?
「誰もなしえなかった極大魔法の成功を二人で抱き合って喜んだというのに!」
「あ、いやあれはその」
「陛下への謁見は常に二人で、おしどりカップルと言われているというのに!」
「え、それ初耳」
「私が広めたんだからみんな知ってるわよ! 知らないのはヒロだけよ! で? なに? 私達ただの友人だったって事?」
「え、いやそんな事は」
「お黙り! 返事は、ひとつでいいわ、いい? 私達は、つきあってたの? そうじゃないの?」
「つ、つきあってます! いえ、つきあってました! おしどりカップルでいいです!」
「よろしい! いい? 二度とこんな事私に言わせたら、許さないんだからね?」
「はい」
ああ、ダメだ、やっぱり彼女には惨敗だった。
END
脳内に突然ふって沸いた二人のいちゃラブ会話を纏めたもの。
1000文字以内超短編の習作です。m(_ _)m