第九話 ドイツ対イギリス その1
はい、皆さん。前回のお話の続きをします。
フランス降伏時にイギリス軍は何をしていたか?でしたね?
イギリス軍は陸軍も空軍もフランス本土には派遣されていませんでした。
それにはフランス・イギリス双方に原因があります。
まずフランスは資金・物資において多大な支援を合衆国から受けていました。
無償支援ではなく比較的低金利ではありましたが「借金」であり、いずれ返さなければなりませんでした。
フランスは第一次世界大戦と同じくドイツから賠償金を取り立てることで借金を返すつもりでした。
そのためドイツ打倒後の賠償金取り立てに関する発言力を大きくするために、フランス本土へのイギリス軍の受け入れを拒否したのでした。
もちろん、フランスはイギリス・合衆国との交渉の場で本音を言うことはなく「合衆国は資金・物資、イギリスは海軍、我が国は陸軍という役割分担にしましょう」と提案しました。
もちろん、合衆国・イギリスはフランスの本音を察しましたが、国内事情で欧州に兵力の派遣が当面できない合衆国はフランスの提案を受け入れました。
そして、イギリスは第一次世界大戦におけるフランスでの地上戦での大損害の記憶はいまだに生々しかったので、「海軍に専念できるのならそれでいい」と考えました。
さて、ここからは、ドイツ対イギリスについて語ることにします。
ドイツ対イギリスはドイツ海軍とイギリス海軍の戦いでもありました。
ドイツ海軍は開戦前「イギリス海軍に対抗できる海軍をいかにして作り上げるか?」に頭を悩ませました。
総合戦略研究所は、ドイツ海軍が戦艦を主力とした艦隊決戦を目的とした艦隊を作るのでは、イギリス海軍に戦艦の数でいつまで経っても敵わず。個艦の性能でイギリス戦艦を上回る戦艦を数隻建造しても数の差で押し切られるという研究結果を出しました。
ドイツ海軍は大型水上戦闘艦の建造をシャルンホルスト級巡洋戦艦で打ち切り、ビスマルク級戦艦は計画のみで「幻の戦艦」となりました。
余談ですが、軍事雑誌にはビスマルク級戦艦の想像図がよく掲載され、架空戦記でビスマルク級戦艦が活躍するのは定番になっています。
話を戻しますと、ドイツ海軍が次の策としたのが「潜水艦Uボートの大量建造」でした。
イギリス海軍を標的とするのではなく、イギリス本土に物資を運び込む商船を標的とし、イギリス本土を餓死寸前まで追いやることを目的としました。
これをドイツ海軍は基本方針としましたが、総合戦略研究所は戦争初期には効果が高いが、戦争後半になると合衆国が物量に物を言わせて護衛空母・護衛駆逐艦を大量投入して、Uボートの活動は封殺されると考えました。
それで、ドイツ海軍が考えたのは……。
時間になりました。
この続きは次回にお話いたします。
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