第七十八話 合衆国西海岸進攻作戦 その7
はい、前回の続きを話します。
前回までは、映画の日本海軍特務陸戦隊について話しましたが、今回からは現実の特務陸戦隊について話を戻します。
第二次世界大戦における特務陸戦隊の任務の一つに、「パナマ運河破壊作戦」がありました。
その作戦は、特務陸戦隊を潜水艦でパナマに侵入させ、パナマの合衆国陸海軍司令部を襲撃、司令官と幕僚を殺害するというものでした。
それにより、現地の合衆国軍が混乱している隙をついて、日本海軍が極秘に建造していた潜水空母の艦載機により、パナマ運河の閘門を破壊するというものでした。
これはオトリ作戦であり、実際に実行することはありませんでした。
本命の合衆国西海岸での作戦の陽動として、このオトリ作戦は合衆国にわざと漏洩しました。
潜水空母の設計図も漏洩させました。
それがイ400型と呼ばれる潜水艦で、特殊水上攻撃機3機を搭載し、地球を一周半航行可能という長大な航続距離を誇りました。
しかし、イ400は実際には建造されていません。
合衆国本土空襲やパナマ運河空襲を目的として計画されました。
しかし、合衆国本土は同盟国である南部連合国から大規模な空襲が可能で、潜水艦からの少数の水上機による空襲では、あまり脅威を合衆国にあたえられず。
パナマ運河は破壊した場合には、戦後の海上交通への悪影響が大きすぎます。
そのため、イ400の建造は設計段階で中止になりました。
その設計図の一部を合衆国に漏洩したのでした。
合衆国はイ400の実在を信じ込み、パナマの防空体制を強化しました。
その分、合衆国西海岸に回される戦闘機・対空火器が減ることになったので、オトリ作戦としては成功したと言ってよいでしょう。
戦争中、パナマの合衆国軍は来ることのない日本海軍特務陸戦隊とイ400をずっと警戒していました。
戦後、パナマに日本海軍は来襲しなかったため、「無駄な兵力配置をした」と合衆国軍は非難されました。
しかし、合衆国は戦後に、「パナマ駐留の合衆国軍は日本海軍特務陸戦隊と交戦した」と公式発表しています。
その内容は、戦争中のある日の朝、パナマの太平洋側の砂浜にパトロールをしていた兵士が多数の足跡を見つけたという報告から始まります。
その足跡は、海から内陸に向かっていました。
兵士は直ちに上官に報告し、上官はパナマ駐留合衆国陸海軍合同司令部に報告しました。
司令部は夜間に日本海軍の潜水艦が接近し、人員を密かに上陸させたと判断しました。
続きは次回に話します。
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