第七十二話 合衆国西海岸進攻作戦 その1
はい、前回の続きを話します。
中国大陸における中国国民党と中国共産党による内戦ですが、みなさんもご存知の通り、現在でも続いています。
現在、国際的に中国を代表する政府と認められているのは、中国国民党の「中華民国」です。
中国共産党は「中華人民共和国」を名乗っていますが、国家として承認しているのはソ連だけです。
よく誤解されているのですが、中国は「二つの中国」という分断国家ではありません。
まともな政府と言えるのは「中華民国」と「中華人民共和国」の二つだけですが、それらが実効支配していない地域が多数あるのです。
奥地にはカルト宗教に支配された村もあります。
多数の勢力により分割された「モザイク国家」と呼ぶべきでしょう。
中国で一番安全な地域は国際連盟により、日本が信託統治している満州特別区です。
次に安全なのが中華民国の上海などの沿岸部の都市です。
それら以外の地域では安全は保障されていないので、みなさんは中国に渡航する際には注意してください。
さて、第二次世界大戦に話を戻して、次に日本軍による合衆国西海岸進攻作戦について話をすることにしましょう。
占領したハワイを拠点として合衆国西海岸に進攻する作戦は「神武東征」と名づけられました。
この作戦は現在では公開されていますが、目的は「陽動」でした。
南部連合国に向けられている合衆国軍を西に引き付けるのが目的でした。
そのため作戦では合衆国西海岸への空母による空襲や戦艦による艦砲射撃を主な作戦としていました。
海軍陸戦隊と陸軍水陸両用師団を上陸させて目標を破壊したら短期間で撤収させる作戦は立てていましたが、日本陸軍による合衆国西海岸の恒久的な占領は考えてはいませんでした。
日本の国力では占領を維持するのは不可能と判断したのでした。
そして、完全な囮作戦として計画されたのが、「パナマ運河破壊作戦」でした。
パナマ運河は言うまでもなく、合衆国の海洋戦略において大西洋と太平洋を最短距離で船舶を移動させるための重要な地域です。
合衆国が南部連合国に戦艦や空母の保有を禁止した理由の一つは、南部連合国海軍にパナマ運河を攻撃する能力を持たせないためでした。
日本はパナマ運河を本当に破壊する予定はありませんでした。
戦後の海上交通に与える悪影響が大きすぎると考えたからです。
しかし、軍事上の選択の幅を広げるため、戦前から「頭の体操」としてパナマ運河破壊作戦は計画していました。
それは、潜水艦でパナマに特殊部隊を潜入させる。潜水艦の艦載機でパナマを空襲するなどでした。
それらの作戦をわざと合衆国に漏洩しました。
続きは次回に話します。
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