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第七十一話 中華民国 その15

 はい、前回の続きを話します。


 中国国民党も中国共産党もどちらも相手を打倒するために装甲戦闘車両を一両でも多く手に入れようとしました。


 しかし、日本もソ連も中国大陸における戦争をコントロールするために、供与する戦車の数を制限していました。


 それで、中国国民党も中国共産党も戦車の自力での製造をしようとしました。


 まずは、農業トラクターの車体を利用して、戦車を製造しようとしました。


 中国国民党は日本から輸入した農業用トラクターで、中国共産党はソ連から供与された農業用トラクターを使いました。


 装甲鈑の自力での製造は不可能なので、ただの鉄板で車体を覆い、搭載したのは機関銃でした。


 ですが、どちらの陣営も試作を数両しただけで開発を打ち切りました。


 なぜなら、農業用トラクターそのものが自力生産ができず、食糧生産増加のためには、農業用トラクターを「戦車もどき」にして潰すことは損失だと考えられたからです。


 次に考えられたのが、トラックの戦闘用車両への改造でした。


 中国国民党はトラックをライセンス生産するための工場を合衆国から提供されていたため、トラックの自力での生産が可能でした。


 トラックの荷台に機関銃を載せただけの車両でしたが、中国共産党でT34戦車を配備されている部隊は少ないので、双方とも戦車のいない戦場では「武装トラック」は無敵でした。


 トラックの製造工場を支配地域に持つのは中国国民党だけだったので、中国共産党に対する優位が確保されたと思われました。


 しかし、それは一時的なものでした。


 中国共産党軍も戦場で武装トラックを使うようになったのでした。


 そのトラックはソ連製ではなく、中国国民党の支配地域の工場で製造された物でした。


 戦場で鹵獲された物にしては数が多すぎ、中国国民党軍はトラックの出所を疑いました。


 真相は単純なことでした。


 中国国民党の支配地域で製造されている民間用のトラックだったのです。


 軍用と民間用のトラックは同じ物でした。


 別々に製造することで製造コストを上げないためでした。


 中国国民党の支配地域の民間用に販売されたトラックが、中国共産党の支配地域に流れていたのでした。


 中国国民党から見ると「密輸」ですが、単純な話ではありませんでした。


 中国大陸における戦線は常に流動的で、先週は中国国民党支配地域だった町や村が、今週は中国共産党支配地域になり、また次の週は変わっているというのは当たり前でした。


 中国大陸における商人たちは、売却先がどちらの陣営かをいちいち考えてられない状況でした。


 続きは次回に話します。

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― 新着の感想 ―
[一言] >『武装トラック』 装輪装甲車の大半がトラックのフレームに装甲板の車体を載せたモノだった時代ですから、トラックを製造出来る施設と技術が有ればスカウトカー的なモノとかなら簡単に造れそうですね…
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