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第六十八話 中華民国 その12

 はい、前回の続きを話します。


 日本陸軍では不採用となった戦車「チハ」は、57ミリ砲に重量約15トンと開発当時としては世界的な水準にありました。


 しかし、ドイツの四号戦車とくらべると搭載砲の換装などに発展余裕がなく、それが不採用となった理由の一つでした。


 しかし、日本陸軍内部では「チハ」にこだわる将校が多かったのです。


 これは戦術思想の問題でもありました。


 日本陸軍では戦車は「歩兵の支援兵器」でしたが、ドイツ陸軍では「機動戦の主役」でした。


 ドイツ陸軍の戦車を採用するということは、ドイツ陸軍の戦術思想も採用するということになります。


 日本陸軍でも戦車科将校がいっきに主役に躍り出ることになります。


 日本陸軍は歩兵科将校たちが一番大きな派閥を形成していました。


 歩兵科将校たちは自分の派閥の力が弱まるようなことに抵抗したのでした。


 もちろん、表向きは「ライセンス生産では自国の戦車開発能力が上がらない」「日本の狭軌の鉄道ではドイツ戦車の輸送は困難」などの理由を上げて、「チハ」を採用させようとしました。


 戦車科将校は派閥の力は弱かったので、一時期は「チハ」の採用が優勢になりました。


 しかし、それが逆転したのは、砲兵科将校がドイツ戦車の採用に賛成したからでした。


 砲兵科将校は日本陸軍では歩兵科将校の次に大きな派閥を形成しています。


 そこがドイツ戦車の採用に賛成した理由は、四号戦車の車体をベースにした自走砲を採用することに前向きになったからでした。


 四号戦車の車体の方が「チハ」の車体をベースにするよりも大きな砲を搭載できるのは明らかで、戦車と自走砲の車体を共用した方が生産効率が良いのも明らかでした。


 それで、四号戦車のライセンス生産が最終的に決定したのですが、そこで問題が発生していました。


 一部陸軍将校の暴走により、軍用車両製造メーカーに「チハ」を大量に発注していたのでした。


 それは「試作車両」の名目でしたが、メーカー側には制式採用されたように誤解されていました。


 陸軍将校は処罰され、強制的に退役することになりましたが、問題が残ったのはメーカー側でした。


 メーカーが「チハ」のために設けた製造施設が無駄になってしまったのでした。


 メーカーに損をさせないために製造施設は日本陸軍で買い取ることにしましたが、その製造施設をどうするかでした。


 それで注目されたのが、自治権を与えて将来的には独立国にすることも考えられていた朝鮮半島でした。


 続きは次回に話します。

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