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第六十三話 中華民国 その7

 はい、前回の続きを話します。


 ドイツ政府がどうして日本陸軍の現地部隊が満州地方を独立させようとした謀略を知ることができたのか、疑問に思う人もいるでしょう。


 それはドイツ国防軍情報部が中華民国で行っていた諜報活動によるものでした。


 欧州にあるドイツがはるか遠く離れた中華民国で諜報活動をしているのは、もちろん理由があります。


 第一次世界大戦で敗北し、海外植民地をすべて失い、軍備制限をされたドイツは貿易における資源の入手先と武器の売却先として中華民国を選びました。


 商売相手のことを調べるためにドイツ国防軍情報部が中華民国で諜報活動をしていたのです。


 日本・南部連合国と同盟を結んでからは、中華民国の重要度はドイツでは比較的低下しましたが、諜報活動は続けていました。


 それにより満州地方における謀略を知ったのです。


 さて、この頃、日本の政界・財界ではある理論が唱えられていました。


 それは「植民地放棄論」とでも言うものでした。


 日本が朝鮮半島を併合したのは、朝鮮半島が日本と敵対する国の影響下に置かれた場合、日本本土が軍事的に危機になるからでした。


 朝鮮半島に鉄道を始めとするインフラを整備したのは、朝鮮半島での日本軍の活動をしやすくするためでした。


 朝鮮半島北部では鉱業、南部では稲作に莫大な投資をしました。


 しかし、それに疑問を持つ者も多かったのでした。


 日本本土も北海道や東北地方は貧しく、インフラ整備のための投資を必要としていました。


 朝鮮半島より日本国内に投資すべきではないか?という意見も多かったのです。


 朝鮮半島における植民地経営は赤字でした。


 朝鮮半島への投資は軍事的に必要な最小限にすべきという意見も多かったのでした。


 それに一番反対していたのが日本陸軍でした。


 表向きの理由は「日露戦争で先達たちが血と汗で獲得した領土を放棄すべきでない」でしたが、本音は「役職を減らしたくない」でした。


 朝鮮半島を放棄することになれば師団がいくつか廃止される可能性があり、役職が減ることになります。


 満州地方に独立国をつくろうとした現地部隊の本音も「傀儡国に駐留させる日本陸軍の新たな部隊をつくれば役職が増える」でした。


 謀略をドイツ政府から知らされた日本政府から報告を受けた昭和天皇は激怒しました。


 陸軍の一部からは現地部隊をかばう動きもありましたが、憲法上日本軍の統帥権を持つ昭和天皇は、それに対してますます怒りを激しくしました。


 続きは次回に話します。

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