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第六十一話 中華民国 その5

 はい、前回の続きを話します。


 前回話した二重スパイは現在でも名前は公開されていませんので、仮に「S」と呼びます。


 Sは中華民国海軍ではそれなりの地位にあり、ある程度の軍事機密にも触れられる立場でした。


 Sは自分から積極的に軍事機密を日本海軍に売り込みました。


 S自身には「国を裏切っている」という罪悪感はほとんど無かったようで、「副業」程度に思っていたようです。


 合衆国国務省は、Sを中華民国にいた頃から「二重スパイ」に仕立てていました。


 合衆国国務省は外交を担当していますが、だからこそ「情報収集」は欠かせませんでした。


 Sが日本海軍に情報を売っていることを知ると、彼に古典的なハニー・トラップを仕掛けました。


 金髪碧眼の肉体美にあふれた典型的なアメリカ美人を彼の側に送り込んだのです。


 表向きは、中華民国に長期滞在して取材をするアメリカの雑誌の女性記者としてSに接触しました。


 Sと女性記者はすぐに男女交際をするようになり、Sは女性記者に高額なプレゼントを何度も贈りました。


 Sは元々女性にモテるタイプではなく、女性記者に夢中になり、自分に繋ぎ止めるために必死でした。


 Sの海軍軍人としての給料とスパイとしての報酬ではすぐに足りなくなり、借金を重ねました。


 その借金が返済不能になった時点で、女性記者は屈強な男性を伴い、Sに正体を表しました。


 古典的な美人局ですが、現在でもこのような手段は多用されています。


 女性をターゲットにする場合はイケメン男性が送り込まれますので、男女問わず注意してください。


 さて、合衆国国務省はSに「借金を肩代わりするのと引き換えに二重スパイになる」ように要求しました。


 拒否すれば借金を抱えたまま日本海軍に機密を売った罪で逮捕されてしまうので、Sに拒否権はありませんでした。


 Sは機密を合衆国国務省にも渡すようになりました。


 そして、フィリピンのマッカーサーから教官の話が来ると、Sに志願するように命じました。


 Sのフィリピン行きが決定すると、女性記者と表向きは結婚させました。


 これで合衆国国務省は、夫婦に偽装したスパイをマッカーサーに疑われることなくフィリピンに送り込むことができました。


 合衆国国務省は「フィリピン独立」に最後まで反対しており、それが決定事項になってもマッカーサーの弱みを握ろうとしていました。


 Sはフィリピン陸軍海上部隊の指導教官として内部情報を国務省に密かに渡し、Sの妻となった元女性記者はフィリピン高官の妻たちとの社交で情報を収集しました。


 続きは次回に話します。

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