第六話 ドイツ対フランス その4
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さて、前回でお話したドイツの民間企業が製造した「自動車運搬船」ですが、最初に注目した軍隊はドイツ軍ではなく日本軍でした。
それも日本海軍ではなく日本陸軍でした。
日本陸軍は大陸でのソ連との戦争の可能性を重視していましたが、アジアの欧米植民地への進攻作戦も想定しており、それは海を渡る作戦になるので、短時間で軍用車両が揚陸できる装備を求めていたのでした。
日本陸軍が試験的にドイツから自動車運搬船を購入し、離島での演習結果は良好でした。
それを以前お話した戊辰戦争・西南戦争における海上機動戦に注目した日本に人事交流のために来ていたドイツ陸軍将校が知り、フランス進攻作戦に役立てようと思ったのでした。
具体的に第二次世界大戦で行われた作戦は、次のようなものでした。
第二次世界大戦開戦の直前、地中海のフランス領海ぎりぎり外をドイツを出港した多数の自動車運搬船が航行していました。
それにフランス海軍はもちろん気づいていました。
臨検した結果、自動車運搬船に積まれていたのは中立国であるイタリア向けの輸出品の農業用トラクターと民間用トラックでした。
独仏関係は悪化していましたが、まだ戦時ではないのでフランス海軍は積み荷を没収することなどはできませんでした。
フランス海軍は上層部に報告しましたが、この情報は重視されませんでした。
フランス軍では陸軍が優先され海軍は冷遇されていました。
第一次世界大戦では、フランス海軍は勝利に貢献できず。
仮想敵国であるドイツは戦艦ビスマルクの建造が航空母艦が優先されたため中止となり、イタリアは一時ファシズム勢力が政権を獲得しようとしましたが失敗し、イタリアは国内の政治的混乱の中で中立を選び、イギリスはフランスの同盟国でした。
フランス海軍が欧州で戦艦を使って戦う相手はいないとフランス政府上層部は考えたのでした。
フランス政府首脳が「我が国は戦艦一隻より陸軍一個師団が必要である」と公式に発言しています。
フランス政府の陸軍優先政策のためフランス海軍は保有する戦艦を削減されただけでなく、日常的な訓練費用まで削減されたので、フランス海軍は士気も練度も低かったのです。
フランス海軍にとってはドイツとの戦争は「フランス陸軍の戦争」であり関心が薄く、フランス陸軍はマジノ線重視で海のことには関心ありませんでした。
その隙を突いて、多数の自動車運搬船は開戦後、フランスの砂浜に向けて一斉に突撃しました。
時間になりました。
この続きは次回となります。
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