第五十六話 南部連合国対合衆国その25
はい、前回の続きを話します。
引き続き、映画「戦艦ノースカロライナを撃沈せよ!」について話します。
映画のクライマックスシーンである戦艦「ノースカロライナ」の撃沈シーンについては、実物の十分の一の模型が製作され、撮影用プールに浮かべられました。
この戦艦「ノースカロライナ」の模型の製作についても映画制作陣は悩むことになりました。
軍は、戦艦「ノースカロライナ」についての資料も何も提供してくれなかったのです。
軍は、諜報活動により戦艦「ノースカロライナ」についてのかなり詳細な情報を手に入れていました。
造船所で建造中の「ノースカロライナ」を隠し撮りした写真もあり、現在ではネットで簡単に見ることができます。
しかし、もちろん、当時は軍事機密でした。
そのため、映画制作陣が、戦艦「ノースカロライナ」の模型を製作するのに参考にしたのは、戦前に合衆国から輸入された雑誌に掲載されていた「戦艦ノースカロライナの想像図」でした。
この想像図は、十四インチ砲三連装が前部に二基、後部に一基、という所は当たっていたのですが、艦橋がコロラド級戦艦のように籠マストでした。
その想像図をほとんどそのまま模型にしたので、本当の戦艦「ノースカロライナ」を知っている今の私たちには違和感がありますが、当時の観客にとってはリアルでした。
当時、戦艦「ノースカロライナ」撃沈シーンを実際の戦闘を撮影したものと思った観客が多かったのです。
そして、映画に出てくる航空機の一式陸上攻撃機とJu88爆撃機は、撮影には実機が使われました。
一式陸上攻撃機は日本海軍航空隊の物で、Ju88爆撃機は日本陸軍航空隊がドイツから参考用に少数輸入した物でした。
それを迎撃する合衆国海軍航空隊の戦闘機F4Fワイルドキャットは、戦闘機F2Aバッファローが演じました。
なぜ、バッファローが日本にあるのかと言うと、イギリス向けに輸出された機体が、フランスの戦場に派遣され、ドイツの電撃戦により、航空基地で無傷で鹵獲された物を日本海軍が技術検証用に引き取ったのです。
日本海軍は「バッファローは零戦より低性能」と判断し、興味をなくし、戦後、映画会社に払い下げられました。
映画会社は今も飛行可能なバッファローを保有しており、戦争映画でワイルドキャット役になるのは定番になっています。
さて、次回からは南部連合対合衆国の話はいったん休みにして、中華民国について話したいと思っております。
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