第五十五話 南部連合国対合衆国その24
はい、前回の続きを話します。
南部連合国海軍航空隊の一式陸上攻撃機の編隊は、航空魚雷を搭載していました。
戦闘機による迎撃を受けなかった一式陸上攻撃機は、対空砲火で数機が撃墜されましたが、航空魚雷を海面に投下し、雷撃は成功しました。
戦艦「ノースカロライナ」は海戦史上初の「航空攻撃により撃沈された戦艦」となりました。
この戦果を南部連合国は新聞・雑誌・ラジオで大々的に宣伝しました。
戦時中に日本・南部連合国合作で制作された戦意高揚映画「戦艦ノースカロライナを撃沈せよ!」は、日本・南部連合・ドイツで大ヒットしました。
少し話が脇道に入りますが、映画「戦艦ノースカロライナを撃沈せよ!」について話させていただきます。
日本・南部連合国合作映画となっていますが、撮影はすべて日本国内で行なわれました。
南部連合国は本土が戦場となっていたため映画撮影の余裕がなかったためでした。
映画の中の南部連合国の軍人は、日本に滞在していた南部連合国の俳優が演じています。
第二次世界大戦が起きる少し前、日本と南部連合国では、「南部劇」と呼ばれるジャンルの映画が流行っていました。
日本の歴史で言う幕末に北米大陸に渡った侍や忍者が、南部連合国人と協力して、合衆国と戦うというストーリーです。
日本の時代劇と合衆国の西部劇を混ぜ合わせたような映画で、現在でも敵を宇宙人や異世界人にしたアニメや特撮ヒーローでジャンルは続いています。
話を戻して、映画「戦艦ノースカロライナを撃沈せよ!」は、史実を元にしたストーリーであり、映画は、ターゲット・タイプ・Aで日本海軍軍人と南部連合国海軍軍人が協同訓練しているところから始まります。
日本人・白人・黒人がお互いを尊重し差別することなく訓練に励む場面が続きます。
合衆国の白人至上主義者に対する宣伝であることは言うまでもありません。
ターゲット・タイプ・Aは実物大の模型が製作されましたが、これが映画の制作陣を悩ませました。
ターゲット・タイプ・Aは軍事機密だったため、映画の制作陣には軍から何も資料が提供されなかったのです。
そのため映画制作陣は新聞の「小型特殊潜航艇」という言葉だけを頼りに、まったくの想像でターゲット・タイプ・Aの実物大模型を作り上げました。
その模型は小型潜航艇の艦底には戦車の無限軌道があり、甲板には戦車の砲塔がある「水陸両用小型特殊潜航艇」となっていました。
現物を知る私たちは思わず苦笑したくなりますが、スタッフたちの努力の結晶であり、意外と人気があり、現在でもプラモデルが販売されています。
続きは次回に話します。
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