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第五十話 南部連合国対合衆国その19

 はい、前回の続きを話します。


 ターゲット・タイプ・Aの乗組員が全員日本海軍軍人だったことから「南部連合国は一番危険な任務を有色人種である日本人にやらせた。表向きは平等を口にしながら南部の白人も有色人種を差別しているのだ」と戦中・戦後の合衆国の新聞・ラジオなどでは繰り返し報道されました。


 しかし、それは事実を歪曲した悪質なプロパガンダにすぎません。


 ターゲット・タイプ・Aの乗組員が全員日本海軍軍人だった理由は、彼らが運用に一番習熟していたからです。


 日本海軍で甲標的として開発していたころから関わっていたメンバーだったので一番長期間訓練を積んでいたからです。


 ターゲット・タイプ・Aが水上機母艦から発艦する前に、南部連合国海軍軍人側と日本海軍軍人側とで激しい議論がおこなわれました。


 南部連合国海軍側は自分たちのターゲット・タイプ・Aの訓練を受けている人員も乗り込ませようとしました。


 南部連合海軍でターゲット・タイプ・Aの訓練を受けていたのはほとんどが白人でした。


 もちろん、黒人もいました。


 この頃の一般的なイメージとして黒人は経済的に「貧しく」、白人は「裕福」というのがありますが、この黒人は実家が裕福で南部連合国海軍兵学校を卒業した士官で、妻が日系人で、結婚した時に仏教に改宗している人物でした。


 この時、彼らは所属している国が違い、肌の色が違い、信じる神も違いましたが、戦艦「ノースカロライナ」撃破という一つの目標に向けて邁進していました。


 結局、ターゲット・タイプ・Aに乗り込むのが全員日本海軍軍人になった理由は、出撃可能なのが五隻だけなので成功する確率を少しでも上げるためでした。


 五隻のターゲット・タイプ・Aは予想針路上の海域に展開、水上機母艦は退避し、戦闘終了後に戻り、乗組員を収容する予定でした。


 ここで、戦後に出版された戦艦「ノースカロライナ」乗組員の手記を引用します。




 この時、我々は先行きを楽観していた。


 近海で発見された敵艦は、商船改造と思われる水上機母艦一隻だけで、その艦は明らかに逃走していた。


 脅威にならないと判断したので、あえて見逃した。


 南部連合国の沿岸都市を「ノースカロライナ」の主砲で攻撃する最重要な任務があったからである。


 日が暮れるまで何もなかったため、どこかのんびりとした空気が艦内には流れていた。


 それを破ったのは見張員の報告だった。


「右舷の駆逐艦に水柱!雷撃を受けた模様!」


 後に分かったが、これが「ターゲット・タイプ・A」との戦いの始まりだった。




 続きは、次回に話します。

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