第四十七話 南部連合国対合衆国 その16
はい、前回の続きを話します。
南部連合国海軍航空隊は、日本海軍航空隊を参考にしていました。
保有している機体も日本海軍航空隊の機体をライセンス生産した物でした。
大型戦闘艦を保有していない南部連合国海軍は、ある意味日本海軍以上の航空主兵主義者でした。
日本海軍が戦艦を主力とする艦隊決戦の「補助兵力」として海軍航空隊をスタートさせたのに対して、南部連合国海軍はスタート時から海軍航空隊を「将来の主兵力」とすることを考えていました。
戦艦を保有できない南部連合国海軍は、海軍航空隊に合衆国海軍の戦艦を撃破する能力を求めたのでした。
南部連合国海軍航空隊が想定していた戦闘は「合衆国海軍の戦艦が南部連合国の沿岸部にある都市を艦砲射撃しようとする時に、それを阻止すること」でした。
南部連合国海軍航空隊の機体は日本海軍の物よりも航続距離が短くなっています。
機体の防弾、燃料タンクの防漏を重視したため、日本の物よりも燃料タンクが小さくなっていたからです。
広大な太平洋を戦場としている日本海軍航空隊と違い、自国の周辺海域を戦場とする南部連合国海軍航空隊は、航続距離より機体の防御を重視したのでした。
さて、合衆国海軍は実際に戦艦による南部連合国沿岸部の都市への艦砲射撃を計画していました。
就役したばかりのノースカロライナ級戦艦一番艦「ノースカロライナ」を主力とする艦隊を投入しようとしていました。
戦艦「ノースカロライナ」はある意味で不運な艦でした。
合衆国海軍の新時代を象徴する戦艦の皮切りとなるはずでしたが、モンタナ級戦艦の建造が優先されたため、建造は予定よりかなり遅れることになりました。
ようやく竣工した時、一部の合衆国国内の新聞に「ノースカロライナ級戦艦は欠陥品である」と書かれました。
ノースカロライナ級戦艦は元々は十四インチ砲搭載戦艦として計画され、建造途中で十六インチ砲に変更されました。
そのため防御は対十四インチのままのため、そこを「欠陥品」だと指摘されたのでした。
戦艦「ノースカロライナ」の初陣が南部連合国沿岸部の都市への艦砲射撃となったのは「欠陥品などではない」と証明するためでもありました。
戦艦「ノースカロライナ」は、商船改造の護衛空母一隻と多数の駆逐艦と艦隊を組んで出撃しました。
それに対して南部連合国海軍航空隊はできるだけの機体を戦艦「ノースカロライナ」に向けようとしましたが、それは難しくなっていました。
なぜなら、南部連合国海軍航空隊の機体のほとんどが南部連合国領土に侵攻した合衆国陸軍に向けられていたからです。
続きは次回に話します。
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