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第四十六話 南部連合国対合衆国 その15

 はい、前回の続きを話します。


 合衆国海軍が主力を西海岸に配備して、東海岸をがら空きにしていることに疑問を持った方もおられると思います。


 合衆国は東海岸をドイツに攻められる可能性を考えていなかったのか?


 結論から言うと、合衆国はその可能性は低いと判断していたのでした。


 ドイツとイギリスは休戦していましたが、あくまで休戦であり、ドイツ海軍はイギリス本土に向かう民間船の監視・臨検に全力を投入しなければならず。合衆国に戦力を向ける余裕はありませんでした。


 ドイツ陸軍にも余裕はありませんでした。


 降伏したフランスは全土がドイツ占領下に置かれました。


 パリに設けられた占領軍総司令部は、一時ヴィシーに避難していたフランス政府をパリに帰還させ、占領軍総司令部の指示の下でフランス政府が統治する「間接統治」にしました。


 フランス陸軍は戦車や重砲をドイツに接収され、フランス海軍は艦艇を港から出すことを禁止され、フランス空軍は許可を得た輸送機以外は飛行禁止でした。


 フランス軍内では不満が溜まりましたが、意外にもフランスの民間人たちの間では不満は少なかったのです。


 占領軍総司令部はフランス国内での食糧・燃料の安定供給に力を尽くしました。


 そのためフランス国内では嗜好品・贅沢品の不足は起きましたが、日常生活にはほとんど支障はありませんでした。


 選挙も行われ、新聞・ラジオも占領軍による検閲はありましたが、あからさまにドイツを非難しない限り報道は差し止められませんでした。


 一部でレジスタンス活動が起きましたが、外部からの支援がないため低調でした。


 イギリスに脱出したフランス軍の将軍が「自由フランス政府」を立ち上げましたが、政府首班が閣僚経験者などではなく、陸軍准将に過ぎなかったため、イギリス政府からもアメリカ政府からも「政府」とは認められず。フランス国内のレジスタンス組織からも認められませんでした。


 イギリスがドイツと休戦した時、自由フランス政府はイギリスからの退去を命じられると思いましたが、イギリス政府からもドイツ政府からも何も指示はなく、存在そのものが忘れられていました。


 占領下のフランスは予想よりも平穏でしたが、その平穏はドイツ陸軍が大兵力をフランスに駐留していることを担保としているのは明らかだったため、兵力を他に向ける余裕はありませんでした。


 このような状況から合衆国政府は「ドイツが東海岸に攻めてくる可能性は低い」と判断していました。


 さて、合衆国は南部連合国海軍についてはかなり低く評価していました。


 戦艦・空母は保有せず沿岸防御用の魚雷艇・潜水艇しか保有していない「沿岸海軍」にすぎず、「外洋海軍」である合衆国海軍が圧倒的だと考えていました。


 南部連合国海軍も同じように考えており、だからこそ海軍航空隊に力を入れたのでした。


 続きは次回に話します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 食料でかなりもめそうな気がしたが ソ連からの輸入だけでなんとかまかなえたということなのだろうか 問題はソ連がいつ牙をむくか向かないか
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