第四十五話 南部連合国対合衆国 その14
はい、前回の続きを話します。
イギリス政府が提案した合衆国国内の日系人のカナダへの移動計画は、日本と合衆国どちらにも良い顔をするためでした。
日本と合衆国どちらが戦争に勝っても戦後は「好印象」が持たれることが期待できたのです。
カナダに移動した日系人たちは、カナダでの滞在は短期間しか認められなかったので行き先を決めなければなりませんでした。
イギリス船籍の船で希望する国に送られることになっていました。
最も希望が多かったのが日本行きで、次が南米への再移民、最も少なかったのは南部連合国への再移民でした。
戦場となっている南部連合国への希望者が最も少ないのは当然でしたが、あえて南部連合国への再移民を選択した希望者たちの最も多い理由は「南部連合国軍」への志願でした。
彼らはほとんどが若い独身男性でした。
戦後に日本や南部連合国で制作された映画やドラマでは「合衆国で迫害にあった日系人が南部連合国軍に入隊し、合衆国の人種差別主義者と戦う」というストーリーが多いです。
確かに、そのような動機で南部連合国軍に入隊した人もいたでしょうが、実際に一番多かった理由は「軍隊に入隊すれば南部連合国の市民権が比較的容易に取得できるから」でした。
もちろん、彼らの戦場での献身を否定するものではありません。
彼らの多くは若くして南部連合国の土へと還りました。
さて、話を戦争に戻します。
南部連合国対合衆国の戦争における合衆国海軍について話します。
合衆国海軍は主力を合衆国西海岸に配備していました。
日本軍がハワイを占領したので、西海岸への日本軍の上陸作戦に備えるためでした。
合衆国は自身が南部連合国に進攻すると、その隙を突かれて日本軍が西海岸に上陸されるのを怖れていました。
しかし、その危険はとりあえず遠のいたことが日本国内に張り巡らせた諜報網から分かったのでした。
日本軍はハワイ上陸作戦を成功させましたが、ハワイ守備隊の抵抗により、揚陸作戦用機材を多数失っており、再度の大規模な上陸作戦をするための機材を揃えるのに長期間かかることが判明したのでした。
合衆国海軍はハワイの奪還作戦を提案しました。
しかし、そのために必要な陸上兵力の提供を合衆国陸軍は拒否しました。
合衆国陸軍は南部連合国進攻作戦に専念したいので「余剰兵力はない」と返答しました。
合衆国政府は当初は日本とドイツを倒してから南部連合国を屈服させる戦略でしたが、先に南部連合国を武力併合することに戦略を切り替えていました。
続きは次回に話します。
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