第三十三話 南部連合国対合衆国 その2
はい、前回の続きを話します。
ここで第二次世界大戦開戦前の合衆国と南部連合国の一般市民の意識調査について話しましょう。
合衆国市民に対するアンケートで「南部連合国の再併合を望みますか?」と質問すれば九十パーセント以上が「YES」と答えました。
しかし、「再併合のための戦争で自分の家や家族が被害を受けることを許容できますか?」と質問すれば九十パーセント以上が「NO」と答えました。
つまり、合衆国市民の多くは南部連合国の再併合は望んでいても、戦争により自分たちが被害を受けることは望んではいないのでした。
さて、次は南部連合国市民へのアンケート結果です。
アンケートで「南部連合国が合衆国に再併合されることを望みますか?」との質問には九十パーセントが「NO」と答えました。
そして、「合衆国が武力による南部連合国の再併合を企てたとして、自分の家や家族が被害を受けても戦いますか?」との質問には九十パーセント以上が「YES」と答えました。
南部連合国市民にとっては、合衆国が武力による再併合を企てるということは自分ための土地に合衆国陸軍が侵入してくるということであり、自分たちが武器を持って侵略者に立ち向かうということは当たり前と考えていました。
なぜなら、ほとんどの南部連合国市民にとって合衆国に再併合されるということは「悪夢」だったからです。
南北戦争後、南部連合国・合衆国の両国で黒人奴隷は解放されましたが、解放された黒人の待遇はまったく違いました。
ある歴史学者は「南部連合国は解放された黒人奴隷を『市民』にした。合衆国は解放された黒人奴隷を『奴隷以上、市民以下』にした」と著書に書いています。
南部連合国では黒人と白人の子供が同じ小学生に通うことは当たり前の光景であり、大学に入学する黒人も珍しくはありませんでした。
しかし、合衆国では黒人は初等教育すらまともに受けられない人々が多く。
彼らは読み書き・計算がほとんどできないため低賃金の労働に就くことしかできませんでした。
合衆国では黒人にも選挙権がありましたが、ほとんどの州で選挙人として登録するには筆記試験があり、不合格になる黒人が多かったのです。
合衆国の差別は黒人以外の有色人種にもおよんでおり、合衆国に移民した日本人が、あまりの差別の酷さに南部連合国に再移民するということも頻発しました。
南部連合国の白人のほとんどにとって黒人も日系人も自分たちの市民社会の仲間であり、自分たちの仲間が差別される社会など望んではいませんでした。
あっ、時間になりましたね。
次回は、南部連合国陸軍の戦闘車両について話す予定です。
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