第二十八話 日本対合衆国 その13
はい、早速、前回の続きを話しましょう。
日本海軍の南雲提督と合衆国海軍のスプルーアンス提督はどちらも水雷戦隊を指揮していました。
余談ですが、架空戦記でも二人は水雷戦隊を指揮して対決するという設定が多いのです。
ですが、私がこの前読んだ架空戦記では二人は空母機動部隊を指揮して対決するという設定でした。
史実を変える話が架空戦記の面白さですが、水雷が専門の南雲提督と主に巡洋艦部隊を指揮したスプルーアンス提督を空母機動部隊の指揮官にするのは架空戦記としても設定に無理があると思いました。
えっ!?何というタイトルか?ですか?
タイトルは「戦艦大和ミッドウェー海戦」です。
タイトルには戦艦大和とありますが大和は後方にいて海戦には参加せずに……。
えっ!?買って読んでみる?
それではネタバレになるので、この話はやめましょう。
話を本題に戻します。
艦隊戦における水雷戦隊の任務は敵の戦艦部隊に魚雷で攻撃することと、味方の戦艦部隊を雷撃しようとする敵の水雷戦隊を阻止することです。
南雲提督は積極的に合衆国戦艦部隊に向けて雷撃しようとしていました。
それに対して、スプルーアンス提督は南雲水雷戦隊からの雷撃を阻止しようとしていました。
それには理由があります。
開戦の少し前に日本海軍が秘匿していた「酸素魚雷」に関する情報が合衆国に漏洩していたのでした。
合衆国海軍が日本に潜入させたスパイ活動によるものです。
酸素魚雷の正確な性能に関する情報までは手に入れられませんでしたが、空気魚雷より射程距離が長く、雷速が速いことは確かでした。
そのためスプルーアンス提督は南雲水雷戦隊の阻止を優先したのでした。
日本側は酸素魚雷の情報漏洩については気づきませんでした。
もちろん、日本もスパイを合衆国に潜入させており、合衆国の情報を収集していました。
現在でも詳細は公表されていませんが、合衆国海軍省からホワイトハウスの大統領に送られる報告書を盗み読みすることが可能だったとも伝えられています。
それなのに日本が情報漏洩に気づかなかった理由は合衆国海軍が酸素魚雷の情報を秘匿し、仲の悪い陸軍はもちろん、ホワイトハウスにも情報を渡さなかったからです。
陸軍はともかく、ホワイトハウスにも情報を渡さなかった理由は、この頃、合衆国海軍内部では自軍の魚雷に欠陥があることが判明していました。
醜聞を怖れて公表していなかったのですが、酸素魚雷の情報をホワイトハウスに伝えると、そのことも伝えなければならなくなるので、責任問題になることを怖れてホワイトハウスには報告しなかったのでした。
それはともかく、スプルーアンス提督は敵の魚雷が自軍の物よりも高性能であることを知っており、南雲提督はスプルーアンス提督が知っていることを知りませんでした。
二人の対決については次回に話しましょう。
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