第二十六話 日本対合衆国 その11
はい、話を続けます。
ハルゼー提督が率いる合衆国海軍空母六隻を護衛しているのは巡洋艦・駆逐艦で、戦艦はいませんでした。
ハルゼー艦隊も対空レーダーは装備していましたが、戦艦の物にくらべて探知距離は短かったのでした。
ハルゼー艦隊の巡洋艦の対空レーダーは高い高度を飛行する日本海軍攻撃隊を探知しました。
それに向けてF4F戦闘機隊を差し向けました。
合衆国海軍も日本海軍と同じようにレーダーによる航空管制を導入していました。
接近した戦闘機隊のパイロットが肉眼で確認したのは零式艦上戦闘機と九九式艦上爆撃機の群れでした。
零戦はF4Fに対してこの頃は優位にありましたが、迎撃側のF4Fの方が数が多く、零戦隊は突破されてしまいました。
F4Fが九九艦爆を銃撃しようとした時、旗艦である空母「エンタープライズ」から緊急信が戦闘機隊に向けて発せられました。
内容は「直ちに低空に降りろ!雷撃機が向かって来ている!」でした。
低空を航空魚雷を抱えた九七式艦上攻撃機が合衆国海軍空母に向かっていました。
レーダーは低空では探知しにくいことが分かっていたので、零戦隊と九九艦爆隊を敢えて高空を飛ぶことで迎撃機を引き付け、低空を九七艦攻隊が進撃したのでした。
結果から言うと、日本海軍攻撃隊はハルゼー艦隊空母四隻を戦闘不能にしました。
空母「ホーネット」「ワスプ」撃沈、「サラトガ」「レキシントン」大破。
ハルゼー提督は残った「エンタープライズ」「ヨークタウン」の艦載機で攻撃隊を編成して小沢艦隊に第二次攻撃隊を送ろうとしましたが、キンメル提督から第二次攻撃隊を出すのを中止する命令が届きました。
キンメル提督は日本海軍の戦艦艦隊との艦隊決戦の制空権確保のために空母の戦闘機隊の温存を命じました。
ハルゼー提督は一旦は抗議しましたが、戦闘可能な空母が二隻だけという状況を考えて命令を受け入れました。
さて、小沢艦隊は充分な余力を残していましたが、ハルゼー艦隊を攻撃しようとはしませんでした。
この後、ハワイ空襲の予定があるので小沢艦隊も艦載機を温存していました。
日本海軍と合衆国海軍の戦艦部隊同士の艦隊決戦の時が近づいていました。
どちらも空母部隊を後方に下げ、戦艦部隊を前線に出しました。
上空を制空権確保のための零戦隊とF4F隊が飛び回っています。
小沢艦隊を護衛していた戦艦「大和」と金剛型戦艦四隻は、空母部隊から分離して戦艦部隊に合流。
日本海軍・合衆国海軍双方とも戦場で向かい合った戦艦の数は十一隻でした。
続きは次回にお話します。
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