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第二十話 日本対合衆国 その5

 はい、前回の話の続きをします。


 日本海軍は、四十六センチ砲搭載戦艦大和型四隻を建造することを国民に向けて公表しました。


 艦名を「大和」「武蔵」「信濃」「甲斐」とすることも公表され、完成予想図も新聞・雑誌などで公開されました。


 当時は戦艦が戦略兵器であり、戦艦の強さが国の力を示すものでもあったので、完成予想図の素人目に見ても力強く感じられる戦艦の姿には、一般国民からは大好評でした。


 少年向け雑誌では完成予想図を元にした紙製の組み立て付録がつけられたりして、子供たちの間でも大和型戦艦は建造される前から大人気で、大和型戦艦を題材にした小説や絵物語が書かれたりもしました。


 ですが、この完成予想図が曲者でした。


 完成予想図を専門家が分析すると、大和型は連装砲塔四基八門の速力二十七ノットの戦艦となります。


 実際には、三連装砲搭三基九門、速力三十ノットの戦艦なのですが、合衆国海軍はこの欺瞞情報に完全に引っ掛かりました。


 日本海軍がいくつもあった大和型戦艦の計画案の一つには主砲八門、速力二十七ノットのものもあったので、これが「真実」と思い込んでしまったのです。


 大和型戦艦が四十六センチ砲搭載戦艦だと公表された時、合衆国海軍はパニックに襲われました。


 公表以前は、合衆国海軍は日本海軍の新型戦艦は四十センチ砲搭載戦艦だと判断していたので、合衆国海軍が建造する予定の新型戦艦、ノースカロライナ級、サウスダコタ級、アイオワ級、モンタナ級すべてが四十センチ砲搭載戦艦で、四十六センチ砲搭載戦艦の計画はまったくありませんでした。


 合衆国議会や一般市民にも多大な影響を与えました。


 日本が持つことになる四十六センチ砲搭載戦艦に真っ正面から対抗できる戦艦が合衆国には無いということが大問題だと見なされるようになったのでした。


 合衆国海軍はモンタナ級の設定を一部変更して、四十六センチ連装砲四基八門の戦艦として建造することを発表しました。


 しかし、合衆国議会と国民はそれに不満でした。


 合衆国海軍は、ノースカロライナ級、サウスダコタ級、アイオワ級、モンタナ級の順番に建造する予定だったので、モンタナ級の完成は大和型にくらべてかなり遅くなることが明らかだったのです。


 すでに建造がかなり進んでいるノースカロライナ級とサウスダコタ級はともかく、アイオワ級は建造中止にしてモンタナ級の方を優先すべきだという意見が大きくなっていきました。


「アイオワよりモンタナを合衆国は必要としている」


 とのスローガンが新聞の一面の見出しを飾ったりもしました。


 続きは次回にお話します。

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