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小説を書こうにもネタがない!だが高校生探偵に仕事は舞い込む  作者: 荒木刑
第二章【高校生探偵と新たな組織】
20/21

【ネタをお探しかい?事件の犯人と『別れ』の関係性】

前回の続きです。


茂の思いや、過去が明らかになっていきます。

____朝の優しい光が、カーテンの隙間から薄暗い部屋へ注ぎ込まれる。

その光は机に突っ伏して寝ていた男の顔を寸分たがわず直撃する。



「......ん~...ぁ?...あさ、か?」



眠そうに眼を擦る男(まぁ俺なんだが。)は、少し危なっかしい足取りで一階への階段を下っていく。

一階からは、朝食を作る音と匂いが立ち上ってくる。


リビングのドアを開けると、朝食を作っていた茜里がキッチンから顔を覗かせていた。



「あ、起きたんだ。おはよう!茂。」

「...あぁ...おはよう...。」

「...また夜更かししたのね?」

「......悪い...。」

「本当に悪いと思ってるならちゃんと睡眠時間ぐらい取ってよ。まだ安静にしてないといけないのに...。」



...茜里の言う通り、俺の体は名無しの殺人鬼(馬鹿野郎)から受けた傷がまだ治癒し切っていない。

だから医者からは適切な睡眠時間を取りなさいと言われているが、ネタがあるうちに書かないと書けなくなってしまうのが小説なのだ。



「...気をつける...。」

「...ハァ...取り敢えず、朝ごはん食べちゃって。冷めちゃうから。」

「...おう...。」



茜里に言われるがまま席に着き、朝食を食べ始める。


今日の朝食は(ご飯、豆腐とわかめの味噌汁、キュウリの浅漬け、豆腐ハンバーグ)の4品だ。

それを食べながら、今日の予定を組み立てていく。


幸い、学校も丁度『夏休み』に入ったところだから鷹田さんの所に行くことが出来る。

今日は何もない『はず』だし、ちょっくら行ってくっか!



「あ、茂。」

「ん?」

「今日ってなにもない日よね?買い物付き合ってよ。」

「...え?」

「...だ、だからぁ...デートしましょって言ってるの!///」



...というわけで、茜里の買い物に付き合う(デート)こととなってしまった。

フラグなんて立てなければよかった......。


いまさら後悔してもしょうがない。後悔先に立たずとはこのことだな。



「ついでに鷹田さんの所にも寄ろうか。」

「...あぁ...そうだな......ん!?おお前!何でそれを知ってるんだよっ!」

「はいはい、良いから早くご飯食べちゃってよ。片付かないでしょ。」

「...分かった...。」



ちゃちゃっと朝飯を片付け、ササっと外出の準備を済ませる。

茜里はすでに準備ができているようで、玄関の所で俺を待っていた。



「...あ、やっと来た。」

「ゴメン、遅れた。」

「良いよ。早く行こ?」



茜里に手を引かれ、外へ出る。


......こんな風に日常を送れるなんて、思わなかった。茜里には散々心配かけちまったからな。

偶には、良いかもなぁ...こういうのも。



「あ!茂、あれ見て!」

「ん?」



茜里が指さした方を見ると、流侍と真那が腕を組みながら歩いているのを発見した。


おっとぉ?アイツらもデート中なのかな?後でイタ電して遊んでやるか。



「...真那たちも、デート、なのかな...?」

「...そう、みたいだな。」



真っ赤になって俯く茜里を出来るだけ見ないように答える。


そんなに恥ずかしがられるとこっちも恥ずかしくなってくんだけど!



「...ねぇ、茂?」

「......何だ?」

「.........な、何でもなぃ(小声)///」



...ッ!やっべぇ!今一瞬襲いかけた...。このままではマズイ、早くここを離れよう!



「...そろそろ、鷹田さんのとこに行くか。」

「......そ、そうね...///」



頭の劣情を振り払うように少し速足で鷹田さんの家へ向かう。

まぁ、茜里と逸れないように手を繋いでいたので、意味はなかったがな。


____鷹田さんの家が見えた時、ちょうどドアから出ていく人影を目撃した。

見たところ小柄な女性の様で、キリキリとした無駄のない動きから、軍人なのでは?

という予測へたどり着いた。



「......。」



ふと、女性の方から視線を感じた。まるで鋭い刃物のような視線は、真っ直ぐ俺の方へ向けられている。


俺、あの人に会ったことでもあんのか?

全ッ然記憶にねぇんだけど......



「?どうしたの、茂。」

「...いや、何でもない。早く鷹田さんのとこに行くか。」

「?う、うん...?」



疑問符を浮かべる茜里を他所に、俺は鷹田さんの家に急いだ。


少し目を離した隙に、眼光の鋭い女性は姿をまるで霧のように消していた。



「.........。」

「ねぇ、どうしたの?さっきからずっと上の空みたいだけど...?」

「...あ、いや、何でもないんだ。ただちょっと事件のことを反芻していただけでさ...。」

「そ、そうなの?具合が悪かったら何時でも言ってね?」

「あぁ、ありがとう。」



...茜里には悪いが、『白い嘘』という言葉もある。今日の所はそれで許してもらおう。


鷹田さんの家の前に着くと、前と同じように問いを掛けられた。



「......合言葉は?」

「...探偵は、ケーキを作るパティシエと同じようなものなんだ...で、良いか?」

「フフ、良いよ。入りな。」



了承を得てドアを開けると、酷く疲れた顔をした鷹田さんがソファーに座っていた。

その体は所々が煤けており、何かの揉め事があったことをうかがわせる。



「...やぁ、遅かったじゃないか?」

「......何が有ったんですか?」

「...少し、厄介なお客が来てね。御蔭でこのざまさ。」

「............。」



...あ~...多分、あの時の女性だな犯人は。鷹田さんの家から出てきた所も見たし、何より殺気の籠った目をしていた。

何の用事があったか何だか知らねぇけど...俺の恩人に手を出した罪は何れ絶対に償ってもらうからな!首あらって待ってろよぉ!!



「と、今日来た用件は何だい?茂君。」

「...あ、あぁ、そうだな。今日は、事件の情報が欲しくて...。」



鷹田さんにこれまでの経緯を話すと、少し考えた後本棚に向かい2冊のファイルを取ってきた。

題名には『事件ファイルVer3』、『集計情報:19』と書かれている。



「今渡せるのはこれくらいかなぁ...。」

「ありがとうございます。少しでもありがたいです。」

「いや良いんだよ。」



資料を受け取ると、パラリとファイルを捲り中に書いてある情報を読み込み始める。


相変わらず綺麗に情報が分けてあるなぁ...。俺もこんな風に資料を纏めた方が小説を書きやすいかも。少し参考にしてみるか。



「そうだ茜里君、何か飲むかい?」

「あ!大丈夫です!お気になさらずに!」

「アハハ、そんなに硬くならなくていいよ。自分の家だと思ってリラックスしてくれて。」

「あ、は、はぁ...。」

「珈琲と紅茶があるけど、どっちがいい?」

「え?えっとぉ...じゃあ、紅茶で、お願いします...。」

「了解。」



____数十分後、やっと2冊のファイルを読み終えた。



「......。」

「...如何だい?何か分かったことはあったかい?」

「......えぇ...すっごく参考に、なりました。」

「?どうかしたの?........茂?」



......大体、事件の根幹は分かったが、何だこの違和感は?名無しの殺人鬼(サイコパス)の時とすっごく似通ってる。まさか今回の犯人も......



「...прощальный(プラッシニアリー)...。」

「ッ!」

「...?」

「まさか!本当かい茂君!?」

「......はい、その可能性が高そうです...。」

「...茂、その、ぷらっしにありー?て、何?」

「......。」

「?」

「...そっか、茜里君は知らないのかпрощальныйのこと。」

「はい。何にも...。」



鷹田さんの説明を聞いていた茜里も次第に顔を白くさせていった。



「......ま、まさか...!」

「あぁ、あの時総理大臣を殺害したのが、そのпрощальныйだよ。」

「...じゃ、じゃあ、前に茂に大怪我負わせたのも...?」

「...そうだよ。」

「ッ!」



茜里はそれを聞いた瞬間、茂に抱きついて泣きそうな顔で止めに入る。



「茂ッ!止めて!こんな事件に関わるのッ!」

「......すまないが、それは出来ない。」

「ッ!何で!?また大怪我するかもしれないんだよッ!?」

「......それでも、俺がやらなきゃ新しい被害者が増えるかもしれない...今この瞬間にも誰かに危険が迫っているかもしれないんだ!」



茂の激しい剣幕に、茜里は泣きそうな顔をより一層深めた。



「......何で...何で、誰かのために...そこまで、犠牲になろうとするの...?」



そう言う茜里の頬には、一筋の涙が伝っている。



「.........。」



茂は、流れる涙を拭い、茜里を優しく抱きしめる。



「...茜里。俺はな......。」

「..............。」


「...あの時、お前に傷を負わせてしまった。」

「......。」



“あの時”というのは、柴木総理大臣暗殺事件のことだ。

茂は、茜里の肩に残る弾痕をずっと気にしているようだ。

あの時、自分がもっと早く動いていれば、もっと早く銃撃のことに気づいていれば、茜里に一生残る傷痕をつけることもなかったのにと。



「...だから、俺は誓ったんだ...。俺は絶対、犯罪者の身勝手で誰かを傷つけさせない、ってさ。」

「.........。」

「...俺は、ただ犠牲になるつもりはない。必ず犯人を捕まえてみせる。…約束だ。

「......絶対、絶対よ?もう...これ以上傷つかないで...!」

「............あぁ...約束だ。」

「...うん......うん...!」



...茜里の涙は、擦り減った俺の心に沁み込んで......少し、痛かった...。



次回もお楽しみに

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