【ネタにしてみろぉ!夜霧の殺人鬼と世紀の名探偵】
今回、探偵と殺人鬼が対峙します。
___しくじった。本庁から急いで電車に乗って病院に着いたのはいいが、
終電の時間を計算に入れていなかった...。やってしまった......。
取り敢えず、茜里に今日は帰れないって連絡しておこう。
情報の真相を確かめるべく崎森雛が入院している隣町の病院に
向かったはいいが、終電の時刻をすっかり忘れ、病院に着いたのは
終電が過ぎた0時30分だった。
「......どうする!?この時間じゃ、まともなホテルに泊まれる可能性は低いぞ!?
(それに夜は流石に冷える......仕方がない、公園で野宿でもするか...。)」
そう思い、病院前の公園に足を向けた時だった。
「___ぁ、___が___あぁ___。」
「?なんだ?(公園の雑木林からか?声が聞こえる。)...行ってみるか...。」
街灯もない真っ暗な闇の中、本来静寂が満ちているはずのそこには、
日常では聞こえるはずも無い異音が響き渡っていた。
「ギ、が、ア゛ァァァっァァッ!!!!」
グチッ、ブツ、ぐちゃぐちゃぐちゃあッ
「アハハハハハハハハハハッ!!」
女性の放つ異常なほどの悲鳴、肉や臓器、骨を断ち、かき混ぜるぐちゃぐちゃ
という残酷な異音、それに残酷なまでに愉快そうな青年の笑い声だった。
「ッ!ヤメロォッ!!」
目の前の光景に我慢できず、ポケットから警棒を抜き、青年に殴りかかる。
霧本の声に反応したか否か、女性の両手を刺し止めていたナイフを抜き取り、
接近してくる警棒を受け止める。
金属同士がぶつかり合い、甲高い音を響かせる。
ガキーンッ
「お前!今自分が何してるのか分かってるのか!?」
「ハハハッ!何言ってんだよ、分かってるに決まってるだろぉ!?」
霧本の警棒をナイフで弾き、お返しとばかりに荒々しく、しかし的確に
急所を狙って刺突してくる。
それを警棒と体捌きだけでかわし、手を狙って警棒を振るうが、
その素早い動きを捉えきれず、空を切るばかりだ。
「ほらほらどうしたぁ!?噂の天才高校生探偵の名が泣くぞぉ?」
「ッ!あぶッ!っるせぇ!それに!なんで!俺の!ことを知ってるんだ!?」
「それは当たり前だろぉ!?ウチのリーダーを捕まえやがった探偵の事くらい
把握してなくてどうする?」
「リーダー!?やっぱお前!прощальныйのメンバーだったのか!?」
「そうさ!このナイフはそん時の名残でねぇ!戦場からの長い付き合いさ!」
「ッ!うぉッ!っぶねぇな!それよりも!お前に、聞きたいことが!ある!」
「何さ!」
「___お前が、ジャック・ザ・リッパーか?」
その発言で、青年の攻撃の手が止まった。
「......へぇ。ま、この状況を見れば当たり前だけどねぇ......。」
「......そのナイフ、この状況...素人目に見ても明らかだろうけどさ......。」
警棒を構えなおし、じりじりと被害者の女性を背中で庇うように位置をとる。
青年も位置を取りながら、霧本を見つめながら裏手にナイフを構える。
「......アンタが何を考えて、何故こんなことをしているのかは知らんが、
探偵として、一人の人間として、アンタを止めることが、今の俺の仕事だ!」
そう叫んだ霧本は、青年の肩を狙って警棒を振り下ろす。
「......フッ」
霧本の叫びを鼻で笑った青年は、振り下ろされる警棒をナイフで受け流し、
着ているコートの袖口から新しいナイフを取り出し、霧本に向けて振り下ろす。
「ッ!」
霧本は新たに出された攻撃に動揺してしまい、一瞬の隙を作ってしまった。
袖口のナイフをギリギリの体捌きで避けた霧本に、上から振り下ろされたナイフが
襲いかかる。
「......探偵、今の君では無理だ。」
霧本の警棒は、青年のナイフによって二つに両断されてしまった。
守るもののない霧本の脇腹に青年のナイフが突き刺さる。
さらに青年はナイフを突き刺すばかりでは飽き足らず、時計回りに抉り取る。
「ガっ、ゴフッ!」
霧本の口から血の塊が吐き出される。そのまま力が抜けた人形のように倒れる。
その血が青年のコートに当たり、赤黒いシミを付ける。
「......探偵。言っただろ?今の君では無理だ。」
「カハっ......アンタは、なんで、こんなことを...?」
「何故って?...ハァ...分からねぇのか?なんだかがっかりだが......。」
青年は、如何にもがっかりだ、という顔で深いため息をつく。
「...君は探偵だろ?それくらい自分で推理したまえ。そうだなぁ、
少しヒントをやろうか....。」
青年は、少し悩んだように首を捻る。
暫くそうしていた青年は、ようやく合点がいったのか地面に倒れている霧本に
向けてある言葉を投げかける。
「探偵、君は『別れの真実』を知っているか?」
「......別れの...真実......?」
「...フッ、君ならたどり着けるだろう。じゃあな、霧本茂君。」
意味の分からないことを告げると、霧本達に背を向け闇夜に紛れて消えていった。
霧本は、掠れた意識の中で青年の言った言葉を考えていたが、
次第に限界を迎え、暗い闇の中に意識が沈み込んでいった。
意識が沈みゆく中で、救急車とパトカーのサイレンを聞いた気がしたが、
それを理解する間もなく俺は気を失った。
次回もお楽しみに




