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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第5章 残虐非道の悪役令嬢
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5. 皇太子の命令

「いったい! どういうこと?」


 トンネルを掘り終わり。いざ突入する。と、いうタイミングで王都の門が開かれたのである。


 しかも、そこに居たのは、何も知らされていない門番がひとりっきり。


「そりゃあ。罠だろう。」


 真っ先に突入しそうなワオンがそう言うのだから、もう誰が見てもバレバレの罠だよね。


「でも『探索』魔法でみる限り、半径500メートル以内に誰もいないわよ。」


 普通ならこのままトンネルを利用して突入するのだろうけど、閉鎖空間であるトンネル内のほうがリスクが高いのよね。もし、トンネルの存在がバレていた場合、全滅しかねない。


「俺さまはトンネルを使用するぜ。こんなミエミエの罠に掛かるほど、おろかじゃねえよ。じゃあ、行ってくらあ。」


 ワオンって、本当に獣王の孫なのかしら、獣王なら嬉々として門に向かっていきそうなものなのに……。もしかして、私の罠にハマって強制的に下僕にしたのが尾を引いているのかしら……なんか、らしくないわね。


「では手はず通り、わしも先鋒を勤めるとしようか。」


 そう言って、ラスが帝国軍の約4分の1ほどの兵力を率いてワオンを追いかけていく。


 全く戦略もあったものじゃないわね。


「作戦通り、メリーはここで待っていてね。」


 事前に練ってあった作戦では、いまいち信用できない辺境伯軍とそれを圧倒する数の帝国軍を門の前に残して、トンネルの第2陣として私が帝国軍の精鋭数十名を率いて、第1陣の戦況を読みながら効率的な投入を繰り返すつもりだったのよね。


 とりあえず、これだけ残していけば王都から人が抜け出れず、長期的な戦略も立てられる。もともと、数で勝っている帝国軍の優位を崩してまで、突入しなくてもいいというのが帝国軍の現場指揮官の考えだった。


「嫌だ。」


「また、そんなことを言って!」


 作戦会議の際も散々ゴネていたのだ。その時は、トンネルの第2陣として突入することとトンネルが崩落しだしたら、部隊を置いてでも『転移』魔法で逃げることを条件に納得させたのだが……。


「このまま、ひとりで門から突入するつもりだろう?」


 珍しくメリーの勘が鋭い。


「……なんで分かったの?」


「なぜって、アレク分かってないのか? 必ず一番危険な役をやろうとするじゃないか!」


「そんなことないわよ。ほら誰もいないじゃない……ね。だから危険じゃないわ。行かせて!」


 とにかく、早く召喚の間に辿りついて阻止しなきゃ。これ以上、ユウヤの所為で泣くショウコさんを見たくないのよ。分かってよ!


「わかった。では一緒に行こう。もう2度とあんな光景を見たくないんだ! たったひとりで敵のど真ん中で倒れていた君を見つけたときのことを思うと胸が張り裂けそうなんだ。もう絶対にひとりで行かせない!」


 あとはどれだけ危険なのかを口を酸っぱくして言っても、逆にそんな危険なところへ行かせられないと反論されてしまった。


「ごめんね。もうこれ以上誰も失いたくないの。我侭な私を許して……。」


 私は『威嚇』スキルを発動するとメリーに軽くキスをして、飛び出していく。


「………………。」


 怒ってるだろうな。嫌われたかもしれない。でも、失う苦しみよりもマシなはず。


     *


「なんで、付いてくるのよ!」


 後ろから数十名の精鋭部隊がついてくるのだ。


「殿下のご命令ですから!」


「だから、作戦が変わったと言ったでしょ。貴方たちはメリーに付いていてあげて。」


「殿下はこんなこともあるだろうと事前に私どもにアレクサンドラ様に付いていけ。と、仰られまして。そのときは止めなくていいから、一緒に戦えと……。」


 や…ら…れ…た。こちらの行動など丸わかりだったらしい。


「わかったわ。でも私が指示をするわ。それでいい?」


 その場の全員が頷いたのを確認して、足早に王宮の後宮門に向かって走り出す。実は、後宮の複雑に入り組んだ作りのお陰で、私に与えられた居室が召喚の間に一番近いことが分かっているのだ。


 いまさら、あの門をくぐる事にことになるとはね……。


 召喚の間は、何重にも密閉された空間で『転移』魔法で移動できない。それが唯一、私の居室がある裏の壁は召喚の間の通路途中に繋がっている。と、裏の人間から情報を貰っている。


 どうやらユウヤが後宮の土地をブン取ったせいで、しわ寄せが王宮側にいき、王宮の端にあった召喚の間の周囲の土地が使われたらしい。当然工事は極秘に進められたが人の口に戸は立てられず、裏稼業の情報屋に眠っていた情報だった。


 そろそろ、ワオンたちトンネルを使って入った部隊が地上に出ているころよね……


 ド……ド……ド……ド…ド…ド…ド…ド・ド・ド・ド・ドドドドド・・・・


 突然、前方に土煙が上がるほどの人の暴走集団が現れた。


 なんだあれは?

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