表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第4章 皇太子の戦い
38/59

8. 勇者の味方

 メリーは冷や汗なのかしきりに汗を拭っている。相当焦っているのだろう。だったら、そんな行動しなきゃいいのに……そこへメリーに手紙が届く。


「ユウヤが消えたそうだ……ここに転移してくるのかもしれない。気をつける必要がありそうだ。」


「随分と都合良く手紙が来るものね……まあいいわ……今夜はシッカリとイジメてあげるから期待してるのよ……」


 メリーの唾液を飲み込む音が響く。


「拙い! アレクサンドラ!! ユウヤは召喚の間に向かったかもしれない。」


 突然、ラスがそう忠告してくる。ラスが言うには、召喚の間に入れて、ある一定以上の魔力があれば『送還』魔法が使えるというのだ。その呪文は王家の古文書の棚の魔導書に書かれているという……


 今のユウヤの立場なら自由に持ち出せるものらしい……


「それは、無いわよ……あのユウヤが全てを投げ出して日本に帰るとは思えないわ……帰るのならロシアーニア国の国民を総動員して抵抗してどうにもならなくなってからよ……それよりも、恐いのは援軍を呼ぶことよ……その魔道書に『召喚』魔法の呪文は載ってないの?」


「ああ、もちろん載っているとも。まさか……」


「そのまさかよ。ユウヤに味方するかもしれない人物で敵に回したくない人間なんて、ひとりしか居ないわ……しかも条件によっては、ゴディバチョフも引き下がるかもしれないでしょ……少なくとも休戦しようとするはずだわ……違うと言えるメリー?」


 そうなれば、私は孤独になってしまう……考えたくはないが双方の国から全ての戦争の責任を取らされて処刑なんてストーリーもありえる話だ……なんと言ってもハイエス伯爵家の人間なんだ……多少理不尽な内容であっても双方の国民は納得するに違いない……


 自分の中の最悪の想像に悪寒が走る。思わず自分の両腕で自分の身体を抱きしめる……


「アレク、大丈夫?」


 震える私の身体をそっとメリーが後ろから抱きしめてくれる……


 しばらく経つと冷え切っていた自分の身体が暖まってきた……身体を半転してメリーの胸に顔をうずめる……メリーは何も言わず私の頭を優しく撫でてくれる……


 ――この腕を失いたくない。


     *


 暖かい温もりの中で心が落ち着いてくる……私が今やらなけれないけないことは、ユウヤを追って『召喚』魔法を使わせないようにすることよね……


「急いで跡を追わなきゃ……」


 でもどうすればいいの……『転移』魔法を使ってひとり乗り込むのか……ダメだわ。1対1で『威嚇』スキルが効かなかったら、一方的に殺される……


「『召喚』魔法ならば、多少時間は残されています……召喚の間は私が行った『送還』魔法用に整えられたままになっています……そこから『召喚』魔法用に場を整えるのなら、私でも最低5日は掛かります……ユウヤなら私の後任の王宮筆頭魔術師が協力したとしても10日くらいは掛かるでしょう……」


 そうラスが説明してくれる……


 10日間は無理でも7日間くらいは余裕がありそうね……それまでに目の前で既に逃亡者が出ているようなロシアーニア国軍を追って、王都を陥落し、王宮を陥落しなければならない……最低でも召喚の間を使えないようにする必要がある……


 破壊は無理……全てが終わった後にゴディバチョフが使いたいと言い出す可能性が高いわね……全力で阻止するつもりだけど……とにかくユウヤを今の立場から引きずり下ろせれば、使えなくなるはずだわ……


 それには、目の前のロシアーニア国軍を徹底的に叩き、恐怖を植え付ける必要がある……そうよ……黒い噂に恐怖……報復……それを結び付けるように……噂を流せば……辺境伯たちのように……こちらの味方になってくれる可能性もあるはずだわ……


 子孫たちには悪いけど……『黒い噂のハイエス伯爵家』から『残虐非道のハイエス伯爵家』に……『逆らう者には笑顔で狂気を与える』から『楯突けば皆殺し』などという噂がつきまとうことになっても成し遂げる必要があるのよ……

これで第4章が終わります。

次章はいよいよ残虐非道な文字通り悪役令嬢が目を覚ます・・・?

乞うご期待。再開は数日後を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ