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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第4章 皇太子の戦い
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7. 皇太子の幸せ

「ラス! ロシアーニア側の本隊はどの辺り?」


 早速、私はラスに向かって指示をする。


「おそらく、この会談の場の周辺で匍匐前進をしているところだと思います……」


「そう、貴方たちは私の目を見てはダメよ。わかっているわよね。」


 私は言い捨てるとその場から外に出て『フライ』魔法で急上昇する……まあ、見ようと思ってもテントが邪魔で見えないはずだけど……


 空から見ると多くの兵士たちが匍匐前進で進んでいることがわかる。その中でも、本隊の印である旗を持つ集団を見つけるとそこに向かって火力の最大級魔法を一つである『爆裂』魔法を打ち込む。


 これは単なる合図だ。周辺を揺るがすほどの爆炎が周辺の兵士たちを焼く尽くすかのように見えたが、それは一瞬でほとんど被害を与えていない……どうやら、本隊の中心人物たちには火耐性の指環が配られているようだ。


 だか、これは兵士たちを此方に目を向けさせるためだけのもので爆炎が収まった瞬間を狙い、上空から最大級の眼力を込めた『威嚇』スキルを放つ……この『威嚇』スキルの有効範囲は此方が見ているところじゃない、相手が私の目を視界に入れていれば効果を発揮する……


 発狂させるまでの効果を得たい場合は、かなり至近距離でこちらも意識をむけなければならないのだが、10分ほど相手を硬直させるだけならば、このやり方で十分だ……


 そのとき、何処からと無く激しい地鳴りが響く……この状況下でも身動きができる兵士たちが皆無ということは、ほとんどの兵士たちが硬直しているということである……


 そこに通常ではありえない光景が展開する。周辺の山々から、大量の水が流れ込んできたのだ……そう、山の中腹に例のくみ上げた水を貯蔵していた湖を、私の合図で決壊させた……


 この荒野はすぐ下に粘土層があるため、池が出来易い。荒野を一瞬にして沼地に変えることでそんな装備を持ってきていないはずの敵よりも有利な条件を得るために仕込んでいたのよね……


 まさか、こんな一番初めに使うことになるとは……できれば、温存しておきたかった……この貯水池を作り上げるのにどれだけの時間とどれだけのお金が掛かっているのか……それがすべておじゃん……泣きたくなってきた……


 どんどんと水が荒野に流れ込んでくる……地上に降りた私の膝まで一瞬にして水に浸かる。硬直で動けない兵士たちにとって、どんなに恐怖だろうか……大きな水溜りが出来上がった。15分ほどで荒野から水が引いていくと苦悶の表情で溺れ死んだ兵士たちの屍が姿を現した……


     *


 濁流の影響なのか、布製のテントはそこに無く。会談の机と椅子だけが残されていた……メリーもラスも居ない……


「私……注意したよね……なんで、こんなところで硬直してるのよー!」


 机の傍に居るはずのラスやメリーが少し離れたところで硬直して立っていたの……私は硬直が解けた2人を前に説教を始める……


「ほら、好奇心に駆られてだ……決してスカートを翻して上空に昇っていく姿が見たかったわけじゃないぞ!」


 私は今更ながら、スカートの裾を押さえる。


「見たの?」


 まったく男って動物は……わかっているわよ……ラッキースケベのチャンスが転がっていれば……ゲットしたいのが『男の性』なのよね……


「見えなかったよ……なあ、ラス。」


 こんなときに『威嚇』スキルは不便なのよね……睨み付けたくても睨みつけられないじゃない……


「冥途の土産に、いいものを拝ませて頂きました……」


 ラスは、くっきりはっきり見えていたようね……それよりも前に居るメリーは、ガン見していたに違いない……


 しかも誤魔化そうとするなんて……羞恥のため顔が火照ってくる。きっと顔なんて真っ赤になっているに違いない……


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