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腐女子の悪役令嬢は復讐を果たせる?  作者: 一条由吏
第3章 恋する乙女の悪役令嬢
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7. 元婚約者の屈辱

再び『ざまぁ』です。

「いったい、どういうつもりだ! 何故、この私がただの平民の女を嫁に貰わなければならないのだ!!」


 ハミルトン王子が話があるというので、懺悔でもするつもりかと赴いてみればこの言い草。この王子、バカなのか。自分の立場がわかっていないのね……


「そのただの女に毎晩、アンアン言わされている人が何を言っているのかしら? 見張り役の兵士から苦情がきていましてよ……」


 ハミルトン王子の顔色が赤くなったと思えば赤黒くなっていく。


 へえ……一応怒る気概はあるのね……ハミルトン王子は、末子ということもあり気楽に生きてきたのだが魔王討伐で急に王位継承順位を上り詰めたと思ったらショウコさんたちが召喚され、ユウヤが魔王を打ち取ってからは日陰の身に甘んじてきたのだ。


 とても、気概のある人物とは思えない。見た目も気が弱そうだ。まあそれだからこそ私の夫に選んだのだけど……


「違うわ……貴方が王族から降婿して、ハイエス伯爵家の娘となったリモーネの伴侶となるのよ……貴方はあくまで婿に貰ってもらう存在なの……わかったかしら……」


 私はにっこりと笑ってみせる。相手には尊大な態度に見えているのよね……まあいいや……


「き、きさまぁ! そんなことが許されると思っているのか!! 私を何だと思っているのだ! ロシアーニア国の王位継承者だぞ!!」


 ハミルトン王子は精一杯虚勢を張ってみせる。どことなく視線がオドオドしているのは、私に意見する人間の誰もがそうなので気にしないでおく……


「黙らっしゃい! 捨て駒の分際で偉そうに!! 自分の存在価値というものをご存知無いようね……」


 私が怒りの言葉を発するたび、ハミルトン王子が……ビク……ビク……っとしている。可愛いわね……こういうところが好きだったのだけど……猫相手に意見している鼠のようだわ……こういうのを窮鼠猫を噛むって言うのかしら……猫と思って噛んだら、ライオンだったって顔だけど……


「……捨て駒だと……まさか……」


 ハミルトン王子の顔色が青ざめる…思っても見なかったって顔ね。私の怒りに触れたせいで怯えてる……なんてことはないわよね……


「そうね。各辺境伯の元には軍備を王都に寄越すように通達が回ってきているそうよ……貴方は捨てられたというわけね……まあ、自業自得だけど……」


 人質が人質の意味を成さないのであれば、殺すのが常道だけど……王族だからなぁ……なにか有効な使い道を探すかな……


「どこから、そんな情報を……」


 かなり証拠を残さないように動いていたらしく帝国の情報収集部隊からは一切無かった情報だった。


「知っての通りハイエス家は裏の人間と懇意にしているの。情報なんて幾らでも入ってくるわ……」


 実は違う。辺境伯が頭を下げにやってくるのよね。王都に軍備を送るけど抵抗はしないから、我が家に報復をしないでくれって……


 いったい、どれだけ恐れられているのよハイエス伯爵家は……


 お陰で情報収集の手間が省けてよかったわ。あとは各領地の裏の商売で活躍している人たちから、実際に動いた規模を収集して付き合わせるだけで済むもの……


「リオーネ、ごめんね。……邪魔になるようだったら……殺すしかないの……覚悟しておいてね……」


 魔王討伐では私が最初に前に出て『威嚇』で相手を足止めする戦法が有効だったので何万、何十万という魔族の死を目の前で見てきたのよね……たかだか、人ひとりを殺して落ち込むほど、私の神経はヤワにできていない。


 それこそ、母を平然と殺してみせるわ。だけど、あの人の天然は癒されるのよねぇ。しかも子供が宿っているのであれば……王族を皆殺しにした後……有効活用ができるしね……リオーネが孕んでくれると……もっと、良かったのだけど……もう時間が無さそうね……


 ハミルトン王子の存在価値なんてそんなものだわ……リオーネさえ許せば、母やリオーネが産んだ子供を育てる過程で……人格を破壊しておきたいところ……余り良い影響を与えなさそうだしね……


「……そうですね。お嬢さまと違って……お嬢さまに害なす存在を愛せるほど、寛容じゃないですから……」


 横に控えていたリオーネの口から了承の言葉を得た。


「ヒッ……」


 ハミルトン王子が悲鳴を上げる。ようやく、自分の命が風前の灯であることを悟ったようね。


「精一杯、リオーネを可愛がってね。浮気を疑われる行動をしたら……どうなるか、分かっているわよね……」


 ハミルトン王子が張子の虎のように頭をカクンカクンと何度も頷いていた。

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