6. 皇太子のダメ出し
「ダメ、ダメ、ダメです。」
それまで静かに横で話を聴いていたメリー皇太子がダメ出しをする。
やっぱりね……。いくら技術指導だと言い訳をしても、皇太子から見たら立派な浮気に違いない。あーあ、できればハナ先にニンジンをぶら下がった状態のダメ出しは止めてほしかったなあ。
垂涎の男の子たちとモフモフするという夢が……
「アレクサンドラ、貴女はもう私のモノなんです。許せるはずが無い。」
うわー。モノ扱いされた。そうね、身も心も皇太子のモノだった……。いつかは愛欲の日々を送るだろう私たちにとって、浮気心は禁物よね……
「ダメです。お手本にするんだったら、私の身体を使ってください。」
えっ! 思わずズッコケるところだったじゃない!! ビックリしたな、もう!!!
ハミルトン王子の前でイイ声を晒したことで癖になったのだろうか……。こんなイケメン皇太子が露出狂だなんて……
ゾクゾクするわぁ。
まあ本人がいいって言うんだったら、いいわよね。たとえ、相手が国を代表する皇太子だと言っても……そして、私の悪名がまたひとつ増えると……
だから、そんな潤んだ瞳で見つめないでってば……
「本当にいいのかよ……」
隣でワオンがブツクサ言っている。プライドの高い獣人ではありえない光景だったのだろう……この男の子たちでも、ワオンを尊敬しているからこそ、身体を捧げれるのであって……こんなふうに快楽だけで、地位も名誉もある人物が……もう考えないでおこう……
「大丈夫よぉ……メリー皇太子の噂よりも……私の悪名のほうが早く広がるのよ……知ってるでしょ……」
痴女の『勇者』が居るって……獣王国で一晩で広がったものね……はあ……
そして物好きな獣人たちの視線に晒されたのよね……そこにちょっかい出してきた一人がワオンなのよね……
思わず遠い目をしてしまう……あれもいい思い出……なわきゃねーだろ……しくしく……