5. 獣王の孫の願い
「それでワオンは、何でわざわざロシアーニアまで来たの? それも帝国側の指揮下に入ってまで……」
獣人たちの扱いは難しいのよね。実際指揮してみると分かるのだけれど……各人が相当な実力の持ち主ということもあって、指揮されるのがイヤらしい。明らかに頭脳戦には向いていないのよね。
結局、好き勝手やらせるのが一番だと分かるまでは、はっきり言って滅茶苦茶、苦労したのよね。
「それは、お前を嫁に欲しいと思ってだな。」
それは、嘘だろう。ワオンは、あの手技に屈したというよりは『威嚇』に屈したのであって、まともにイイ声を聞けたのは初めの1回だけだった。獣人はどんな方法であろうとも1度屈した相手は従順になる性質を持っているのだが……手技に夢中になっていなかったことは断言できるのよね……
「本当のことを言ってちょうだい。何か欲しいんでしょ。帝国側に参加してくれたお礼に私にできることならしてあげる……」
まあ出来ることならね……。チラと横目で皇太子の顔を覗き見る。
「う……あのな。……あの手技を教えてほしいんだ。最近、嫁たちにマンネリだと言われて、以前の記憶を頼りに真似してみたんだが、好評で是非とも教えてほしいんだ。」
ワオンは下手に出ているつもりなのか、尻尾を股間に巻きつけている。そのボンボンに膨らんだ尻尾を触っても痴女扱いだから、ジッと我慢、我慢。
「うん。いいわよ。でも題材は居るの? 奥さんは連れてきてないんでしょ。」
「おうよ。皆、妊娠中だからよ。連れてくるわきゃねーだろ。代わりにこいつらを連れてきた。おう、入れ!」
そこに現れたのは、少年と言っていい年頃の獣人たちだった……私の好みはバレバレらしい。本当のど真ん中は保育園の年中さんくらいなんだけど、獣人たちの成長速度では一瞬らしくて見たことがない……ワオンの話では、片方を私がお手本に使って、もう片方をワオンが練習台に使うんだそうだ。
聞いただけで、涎が出そう。従順になった獣人ならモフモフもやり放題に違いない……
「いいの?」